16_今回のMVPは~
「はぁ~」エルシアが俺を見つめて、溜息を漏らす。
『なんだ、エルシア、溜息ばっかりついてると、早く老けるぞ!』俺はエルシアに「ニャー!」と声をかける。
「レーニャ。傍にいらっしゃい。」俺はテーブルの上を歩いてエルシアの傍に行くと、優しく俺の頭を撫でる。
『あっ!エルシアは老けないのか…』俺は心の中で呟く。
「エルシア、聞いたぞ。アルベルタのこと、本当にありがとう。」殿下がアルベルタを抱いて、エルシアの傍に来て声をかける。
「あぁ、殿下。」エルシアが椅子から立ち上がろうとするのを、殿下が手で制止する。
「隣に座っても、良いか?」殿下がエルシアに確認する。
「はい、問題ありません。」エルシアが答えると、殿下が椅子に座って、アルベルタを膝の上に載せる。
「あっ!レーニャ!」アルベルタが殿下の膝の上で、テーブルの上の俺に声をかける。
『アルベルタ~』俺はアルベルタの前に行って、「ニャ~」と声をかける。
「よしよし。」アルベルタが俺の頭を小さな手で撫でる。
『う~ん、癒される~』俺はアルベルタに撫でられて、幸せな気持ちになる。
「ハハハハ、ホントにレーニャは面白い猫だな~、すっかり、アルベルタの友達だな。」殿下が楽しそうに声を上げる。
「はい、レーニャは私の親友です。」アルベルタが嬉しそうに、俺を撫でながら声を上げる。
「ところで、エルシア、今回の件、どのように閉めるのだ。」殿下がエルシアに声をかける。
「そうですね~、ハンゾウが賊を全て倒したとか…」エルシアが困った感じで答える。
「おいおい、ハンゾウを超人にでもするつもりか、ハンゾウの見立てでは、賊は全部で70から80人と聞いている。」殿下が声を上げる。
「その位の数であれば、ハンゾウが倒したことにしても、問題は無いかと…」エルシアが声を上げる。
「おいおい、若いときのハンゾウであれば、それぐらいの話を盛ることができるが、今は、どこからどう見ても老人だぞ。」殿下が呆れた声を上げる。
「そうだ、ハンゾウの孫が、活躍したというのはどうだ?ハンゾウからも、孫と仕事をすることが、出来るとは思ってもなかったと、嬉しそうだったぞ。」殿下がエルシアに声をかける。
『ハンゾウの孫?あっ!サイゾウ?ゾウ…、ゾウつながり?』俺が心の中で呟く。
「ハンゾウの孫は草でございます。出自を明かすのは、お許しください。」エルシアが殿下に頭を下げる。
「そうか…、そうだ、レーニャが大活躍したと…、無理か…」殿下が俺を見つめて、声を上げる。
「はい、さすがに、無理がございます。」エルシアも俺を見つめて、声を上げる。
『俺も、そう思う。』俺は心の中で、殿下とエルシアに同意する。
「エルシア様~、おはようございます!」フレヤが元気に声を上げて、指令室に入ってきた。
「あっ!フレヤ、おはよう。」エルシアがフレヤに声をかける。
「あっ、殿下、アルベルタ様、おはようございます。」フレヤが頭を下げる。
「フレヤ、おはよう!」アルベルタがフレヤに声をかける。
「おはよう、フレヤ。」殿下もフレヤに声をかける。
「あっ、レーニャ。おとなしくして、いなかったんだって。」フレヤが俺を見るなり、怒った表情で近づいてくる。
『いや、それは私にもいろいろと事情が、ありまして…』俺は近づいてくるフレヤに「ニャ…」と声をかける。
「まったく、この子は、アルベルタ様、怖い思いはしませんでしたか?」フレヤがアルベルタに心配そうに声をかける。
「大丈夫だ、フレヤ。それにレーニャをそんなに怒らんでくれ、レーニャが私を助けてくれたのだ。」アルベルタの話を聞いて、フレヤが目をパチパチとする。
「それより、フレヤ、レーニャにもおはようだろう。」アルベルタがフレヤに声をかける。
「あっ!そうでございますね。レーニャ、おはよう。」フレヤが俺を優しく見つめて、声をかける。
『おはよう、フレヤ!』俺はフレヤに「ニャー!」と声をかけると、フレヤが笑顔になる。
「そうだ、フレヤ、フレヤの言った通りに、レーニャが魔法を使ったのだ!」アルベルタが嬉しそうに声を上げる。
「レーニャが魔法を…」フレヤが驚いた声を漏らす。
「うん、そうなのだ!私が…、」アルベルタがフレヤに話を始める。
「こら、アルベルタ、ハンゾウと約束しただろう。」殿下がアルベルタに声をかける。
「あっ!」アルベルタが両手を口にあてると、フレヤがキョトンとした顔でアルベルタを見つめる。
「フレヤ、後でお話しするね。」アルベルタがフレヤに声をかける。
「わかりました、楽しみにしています。」フレヤが笑顔で、アルベルタに答える。
『それにしても、眠くなってきたな…』俺が大きなあくびをすると、エルシアと殿下もあくびをする。
「あら、ヤダ、レーニャのあくびがうつっちゃった。」エルシアが口を手で押さえて、声を上げる、
『ダメだ…、眠い…』俺はそのまま気を失う。




