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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第4章 4日目
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27_秘密基地


アイゼンは部屋の外には出ずに、真っ直ぐに部屋の壁に向かって歩いている。

『どこに向かってんだろう。』俺はエルシアの腕の中から、前を歩くアイゼンの禿げ頭を見ながら心の中で呟く。

アルベルタは殿下と手をつないで前を歩いている、時々後ろを振り返って俺と目が合う。

『ホントに可愛いなぁ~、家に持って帰りたくなっちゃうなぁ~』俺は嬉しそうに歩く、アルベルタの背中を見て心の中で呟く。


アイゼンが部屋の壁を触って、なにか操作をしたと思ったら、「カチャ!」と音がして壁が手前に少し開いた。

「ささ、殿下、アルベルタ様、こちらでございます。」アイゼンが開いた壁の隙間に手を入れて、壁を手前に大きく開く。

「おぉ~」殿下が驚いた声を上げて、キョロキョロと開いた壁を見つめると、アルベルタも一緒にキョロキョロする。

『えっ!えっ!え~!』俺も開いた壁を見つめて、キョロキョロする。


「エルシア様、ご案内をお願いします。」アイゼンがエルシアに声をかける。

「わかりましたアイゼン。」エルシアは静々と、殿下とアルベルタの前に行く。

「殿下、アルベルタ様、ハンゾウもここは、初めてだったわね。」エルシアが振り向いて、殿下、アルベルタ、ハンゾウに声をかける。

『あっ!ハンゾウいたんだ。』俺は殿下とアルベルタの後ろに、ハンゾウが立っているのに気が付いて、心の中で呟く。


「それでは、私の後ろに着いてきてください。」エルシアは声をかけると、踵を返して開いた壁に入って行く。

『えぇ~、なんだここは、秘密基地か?秘密基地なのか?』俺がエルシアの腕の中で、辺りをキョロキョロと見渡すと、上下左右が均一な石のレンガで出来た通路になっていて、天井の石が明るく光っている。

「少し、滑りますので、足元に気を付けてください。」エルシアが振り向いて声をかけると、「ドスン!」と音がして殿下が尻もちをついていた。


「殿下!大丈夫ですか?」エルシアが慌てて殿下に声をかける。

「エルシア、もう少し早く教えてほしかったな~、ハハハハハ…」殿下はエルシアに声をかけると、大きな声で声で笑い出した。

「殿下、申し訳ありません。」エルシアが殿下に声をかけて、頭を下げる。


「殿下、ここを歩くときは、黒い石のところを歩いてください。」エルシアが殿下に説明する。

「おぉ、黒い石は滑らないのか?」殿下が床を見つめて質問をする。

「はい、おっしゃる通りです。うむ、わかったぞ。アルベルタもわかったか?」殿下は頷くと、隣にいるアルベルタに声をかける。

「はい、お父様、アルベルタ理解しました。」アルベルタが尻もちをついている殿下に、ハキハキと答える。


「殿下、お手を。」エルシアが尻もちをついている殿下に手を差し伸べる。

「こら、エルシア。私はもう子どもではないのだぞ、それに尻もちをついて、女性に手を貸してもらったなど、それこそ、私の品位が下がる。フフフフ…」殿下はエルシアに声をかけると、優しく微笑んだ。

「殿下、大変失礼いたしました。」エルシアも微笑みながら、殿下に声をかける。


「よしと、エルシア案内を続けてくれ。」殿下が立ち上がって、エルシアに声をかける。

「はい、かしこまりました。」エルシアは再び踵を返すと、また歩き出す。


俺はエルシアの後ろを歩く、殿下とアルベルタが気になったので、エルシアの腕から肩に登って後ろを見る。

殿下は慎重に黒い石を選んで、恐る恐る歩いてくるが、アルベルタは黒い石を選んで、ヒョコヒョコと楽しそうに歩いてくる。

『なんか、アルベルタの方が、上手に歩いてるな。』俺は後ろを歩く2人を見つめて、心の中で呟く。


「殿下、アルベルタ様、到着でございます。」エルシアが振り向いて、殿下とアルベルタに声をかける。

『なんだ!ここ…』エルシアが振り向いたことで、俺の目の前には部屋の全貌が飛び込んでくる。

部屋は広く、天井も壁も床も全て石のレンガで出来ていた。

『あっ!大きなテーブル。』部屋の真ん中に大きな、丸いテーブルが置いてあり、テーブルを囲むように背もたれのある椅子が並んでいた。


「ほぉ~、ここはなんなのだ、エルシア…」殿下が驚いた声を上げて、エルシアに質問をする。

「はい、この部屋は、昔カツラ卿に父が作らせたものです。」エルシアが懐かしむように答える。

『秘密基地だぁ~!探検だぁ~!』俺はエルシアの肩から、腕に降りるとそのまま床の上にヒョイと飛び降りる。

「あっ!こら、レーニャ。」エルシアの俺を呼ぶ声がしたが、俺はトットコ部屋の奥へと走って行く。


「すみません、殿下。直ぐに捕まえますので…」エルシアが殿下に声をかける。

「よいよい、しかし、面白い猫だなぁ~、知らない場所に来ると猫は警戒すると、聞いていたが、まるでこの部屋を探検しているようだ。」俺は部屋の端まで行くと、部屋の壁を見つめてキョロキョロする。


『スゲ~なぁ~これ…』俺は綺麗に規則正しく並んだ石レンガの壁を見つめて心の中で呟く。


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