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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第4章 4日目

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23_山の神様の使い


「エルシア、それが山で保護した猫か?」椅子に座った男性が、エルシアに声をかける。

「はい、カゾの村の近くの山の中で保護しました。」エルシアが椅子に座った男性に説明する。

「名前はつけたのか?」椅子に座った男性が、俺を見つめて質問をする。

「はい、レーニャと名付けました。」エルシアが俺の名前を答える。


「レーニャか、良い名前だ。ほら、アルベルタ。この子の名前は、レーニャっていうんだよ。」椅子に座った男性が俺を指して、女の子に優しく声をかける。

「お父様、もう少し近くで見たい。」女の子が声を上げる。

「サクラ、レーニャをアルベルタ様の前へ。」エルシアが声をかけると、サクラは屈んで両手に載せた俺を女の子の前に差し出す。


『うわぁ~、この子近くで見ると、メッチャ可愛い~、お人形さんみたいだ。』俺は目の前の女の子を見つめて、心の中で呟く。

「初めて会う、私はアルベルタ。レーニャ、お前に会えたこと、幸いとする。」女の子が可愛い声で、俺に声をかける。

『アルベルタって名前なのか。俺はレーニャだ!よろしくなぁ~』俺はアルベルタに「ニャ~」と声をかける。

「お父様、レーニャ、私にご挨拶したよ。」アルベルタが嬉しそうに声を上げると、その場がホッコリする。


「エルシア、レーニャに触っても良い?」アルベルタがエルシアに声をかける。

エルシアは椅子に座った男性に目をやると、男性が黙って頷く。

「大丈夫でございます。サクラ、もう少しレーニャをアルベルタ様の近くへ。」エルシアがアルベルタに答えて、サクラに支持を出す。

サクラがアルベルタの手の届く位置に俺を差し出す。


アルベルタは黙って、俺を見つめると右手を上げて、恐る恐る俺に向かって、手を差し出してくる。

俺は少し俯いて、アルベルタが触りやすいようにする。

『あれ?触ってこない。』俺が顔を上げると、アルベルタが差し出していたはずの右手を引っ込めていた。

『あれ?どうしたの。』俺はアルベルタを見つめて、首を傾げる。


「どうした、アルベルタ、触りたかったのではないのか?」椅子に座った男性が、優しくアルベルタに声をかける。

「アルベルタ様、大丈夫ですよ。」エルシアが片膝をついて、サクラの腕の中の俺の頭を優しく撫で始める。

『あっ、あっ、気持ちいい~』俺はエルシアに撫でられて、気持ちよくなる。


「エルシア、私が触っても大丈夫なの?」アルベルタが不安そうにエルシアに質問する。

「はい、アルベルタ様手を出して、私の撫でた後を優しく撫でてください。」エルシアが俺の頭を撫でながら、アルベルタに声をかける。

「あっ!エルシア、こうか?」アルベルタが俺の頭を小さな手で、撫でているのがわかった。

「はい、お上手でございます。」エルシアが優しくアルベルタに答えた。


「レーニャは可愛いなぁ~」アルベルタが俺を撫でるのをやめて、俺を見つめて声を上げる。

『可愛い~、あっ!』俺はエルシアを見ると、バツが悪そうな顔をしていた。

「エルシア。」アルベルタがエルシアに声をかける。

「な、なんでございますか、アルベルタ様。」エルシアは優しく微笑んでいるが、明らかに顔が引きつっている。


「レーニャを私に譲ってはくれないか?」アルベルタがエルシアに質問をする。

「そ、それは…」エルシアが俯いてしまう。

「アルベルタ、レーニャはな、普通の猫ではない。サイタマオオヤマネコと呼ばれるヤマネコだ。」椅子に座った男性が、アルベルタに声をかける。

「ヤマネコ?」アルベルタが椅子に座った男性に質問をする。


「あぁ、それもオオヤマネコだ。今は子どだから、こんなに可愛いが、大人になったら、アルベルタよりも大きくなるんだぞ。」椅子に座った男性がアルベルタに優しい声で説明する。

「私よりも大きくなっちゃうの?」アルベルタが俺を見つめて、声を上げる。

『そうだぞ~、大きくなるぞ~、怖いぞ~』俺はアルベルタを見つめて、「ニャ~」と声を上げる。


「フフフ、やっぱり可愛い~」アルベルタが俺を見つめて、微笑んで声を上げる。

『あれ?脅かそうと思ったのに…』俺は心の中で呟く。

「いいかいアルベルタ、サイタマオオヤマネコは、この地域では山の神様の使いと、呼ばれているんだ。それがどうな意味かわかるかい?」椅子に座った男性がアルベルタに質問する。


「う~ん…、お父様、わかりません。」アルベルタが可愛い眉間に皺を作って考えるが、椅子に座った男性に声をかける。

「アルベルタ、いいかい。山の神様の使いということは、山を守るという使命があるんだ。だから、決して人間がそれを、飼うことは許されないことなんだ。但し、レーニャは、不幸にも家族を失って、こんな小さな体では、今は山を守ることはできない。エルシアはレーニャが、山が守れるぐらいに大きく育てて、山に帰そうとしているんだよ。」椅子に座った男性が、アルベルタに優しく説明をする。


『へぇ~、そうだったんだ。えっ?』俺は首を傾げて、固まった。


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