38_姑の小言がうるさい
俺はフレヤに乾いた布で、体を拭いてもらうとエルシアに抱かれて風呂から書斎に戻ってきた。
「あら、サクラ。どうしたの?」書斎に入るとサクラが、大きな机の前に立っていて、エルシアが声をかける。
「はい、請願書をお持ちしました。」サクラが振り向いてエルシアに答える。
「う~ん、今週はどれぐらいかしら…」エルシアが大きな机に向かって歩き出しながら、声を上げる。
「ん!サクラ、ちょっと多くない?」大きな机の上に置かれた請願書の束を見つめて、エルシアがサクラに声をかける。
「はい、ちょっとだけですよ。っと、アイゼンが申しておりました。」サクラが淡々とした声で答える。
「今週分にはくだらない内容は、入ってないわよね。」エルシアが声を上げる。
「どう言うことですか?」サクラがエルシアに質問をする。
「最近の請願書の中に、旦那が仕事から真っ直ぐ家に帰って来ないとか、姑の小言がうるさいとか…、そんなのが混じってるのよ。これは、そう言ったものじゃないんだけど…」エルシアが大きな溜息をついて答える。
「それで、エルシア様はそれらの請願に回答されたんですか?」サクラがエルシアに質問をする。
「一応ね…、旦那が帰って来ないのは、”旦那さんが仕事に行くとき、帰ってきたときに笑顔で「行ってらっしゃい」、「お帰りなさい。」と言うようしなさい。”って、姑の小言に関しては、”姑があなたを自分の子どもだと思って、言っている言葉だから、自分の母親からの言葉だと思いなさい。”って回答したわ。」エルシアが答える。
「フフフフ」サクラが笑い声を上げる。
「サクラ、なにがおかしいのよ。」エルシアがムッとした感じで、サクラに声をかける。
「いえ、エルシア様はご立派な領主様です。改めて、そう思いました。」サクラが優しく声をかける。
「な、なによ…、それ…」エルシアは顔を赤くして声を上げる。
「それでエルシア様、報告書のほうは?」サクラがエルシアに質問をする、
「えっ!」エルシアがサクラの方を向かずに、小さな声を上げる。
「フレヤのところに、レーニャちゃんを迎えに行ったってことは、出来上がっているってことですよね?」サクラがエルシアに質問をする。
「え、えぇ、も、もちろんよ!」エルシアがサクラに口ごもって答える。
「それでは、明日にでも帝国に届けるように、おあずかりします。」サクラがエルシアに声をかける。
「え、いや…、あっ!明日は帝国から使者が来るじゃない、その使者に直接渡すわ。」エルシアがサクラに答える。
「そうですか、かしこまりました。」サクラがエルシアに少し頭を下げて、声を上げる。
「うん、今日はレーニャを探して、疲れたからもう寝るわ。サクラも下がって良いわよ。」エルシアはサクラに声をかけると、スタスタと寝室の扉に向かって歩き出す。
俺はエルシアの肩に上って、サクラを見ると口を押えて少し笑っていた。
『ん?サクラ、なにがおかしいんだろう。』俺はサクラを見つめて心の中で呟く。
「それじゃ、サクラ。おやすみなさい。」エルシアが寝室の扉を開けて、サクラに声をかける。
「おやすみなさいませ。」サクラはエルシアに頭を下げて、声を上げた。
『おやすみなさ~い。』俺は「ニャ~」とサクラに声をかけると、サクラは顔を上げて、俺を見つめて、優しく微笑んだ。
『ヤベー!惚れてまうや~ん。』やっぱりサクラの笑顔は可愛いと、改めて思った。
「レーニャ、それじゃ、おやすみなさい、」エルシアは寝室に入ると、ベットに横になって俺の頭を撫でる。
『あっ!あっ!あぁ~、気持ちいい~』俺はエルシアに撫でられて、気持ちよくなる。
「フフフフ、レーニャ。」エルシアが今度は俺の喉の辺りを優しく撫でる。
『あぁ~、気持ちいい~』俺は「ゴロゴロ」と喉を鳴らして、少し眠くなる。
『ん?エルシア、眠らないのか。』俺はエルシアに「ニャ?」と質問をする。
「シー。」エルシアは俺を見つめて、口に人差し指をあてる。
「ガチャ!」と音がして、寝室と書斎の間の扉が開く。
『あっ!サクラだ!』俺はサクラを見つめると、サクラは口に人差し指を立てて俺に微笑むと扉を閉めた。
『なんだ?』俺はエルシアを見つめると、目をつぶってスヤスヤと寝息をたてていた。
『あっ、サクラはエルシアが寝たの確認したのか。』俺は心の中で呟いて、エルシアの枕元で丸くなる。
『サクラも美人だけど、エルシアはなんか違う綺麗さなんだよな~』俺はエルシアの寝顔を見つめて、心の中で呟く。
『えっ!』急にエルシアが両目を開ける。
『エルシア、寝たんじゃなかったのか?』俺は目を開けたエルシアに「ニャ?」と質問をする。
「レーニャ、シー!」エルシアが口に人差し指をあてて、囁くように俺に声をかける。
『えっ!なに?』俺は首を傾げて、エルシアを見つめる。




