01_目覚めると…
高熱を出して寝込んだ翌日のような、頭の芯がフワフワとする感じで目を覚ます。
『はて、ここはどこだ?』考えがまとまらない頭で心の中で呟く。
大きなあくびをして、辺りを見渡すが薄暗くてよく見えない。
『ん?誰かいるのか?』体に温かいぬくもりを感じる。
よく見ると、遠くに光が見えている。
『あれは、出口かなぁ~』立ち上がろうとすると、バランスを崩して四つん這いとなった。
『あれっ?なんで四つん這い?』と思ったが、この立ち方が一番安定していた。
とにかく、光の方へそろそろと歩き出してみた。
『あっ!もう直ぐ出口だぁ~』と思った瞬間、光を何かの影が遮った。
『んっ!なんだ?』と思って、光を遮っている影をジッと見つめる。
『あれは、角?』影の頭の部分に、2つの三角の尖った物が見える。
『えっと…、ここは地獄ですか?』俺は大きな影を見つめて、心の中で呟く。
『えっ!えっ!なに?なに?怖い、怖い!』大きな影は、どんどん近づい来るが、体が思うように動かない。
身をすくめていると、影は近づいてきて俺の頭をペロンと舐めてきた。
『はっ!』と思った瞬間、首の辺りを中心に上に持ち上げられた。
『あぁ~』なんか落ち着いて、いい気持である。
気が付くと、今まで俺が寝ていた場所まで、連れて来て下ろされた。
薄暗い中で、俺を連れてきた影をよくよく見ると、それは大きな猫だった。
「ミャーミャー」俺が寝ていた場所から泣き声が聞こえると、もぞもぞと小さな猫が3匹現れた。
『えっ!えっ!なにこれ?』と思っていると、小さな猫たちは大きな猫のもとに殺到する。
大きな猫は近づいてきた小さな猫たちを舐めると、その体を横にした。
小さな猫たちは、大きな猫のお腹の辺りに顔を埋めだす。
その光景を見つめていると、大きな猫と目が合う。
大きな猫の目は優しい光を放ち、おいでと言ってるように感じた。
『ん?』俺は自分の両手を見つめる。
『えっ!この手は…、猫の手?…、えっ!俺…、猫なんだ!えっ!てことは、この大きな猫は…、俺のかぁちゃん…』状況がまったくのみ込めていないが、俺は自分が猫であることに気が付く。
『かぁちゃん!』と声を上げたら、「ミャー!」と声がでた。
『あっ、腹減った。ヤバい、俺もかぁちゃんのミルク飲まなくちゃ!』そう考えて、かぁちゃんに近づいてお腹の辺りの乳首を探す。しかし、かぁちゃんのお腹の辺りには、毛玉のような3匹がとりついてなかなか、見つけることができない。
『ええぃ、ままよ!』と覚悟を決めて、3匹の毛玉をかき分けてかぁちゃんの乳首を探す。
かぁちゃんのお腹の辺りを、クンクンと嗅ぐと乳首があることがわかった。
『いただきまーす!』俺はかぁちゃんの乳首を口に含んで吸い始めた。
生暖かい液体が喉の奥から、胃の中に入ってくるのがわかる。
うまいのかどうかはわかないが、かぁちゃんのミルクが俺の空腹を満たしていくのがわかった。
しばらくすると、空腹が満たされてそのまま意識が遠のいていく。
『ダメだ、ね、眠い…』薄れゆく意識の中で、『かぁちゃん…』と呟いて意識を失った。