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呪いと共に

作者: 神名代洸

私はずっと呪ってきた。


そう、もうかれこれ20年ほど経つだろうか…。


それはかつてのクラスメイト。教師。


名前なんか誰1人覚えてなんかいない。


その程度の薄っぺらい関係だっただけの事。


それからだ、人間関係についてまるで考えなくなったのは。

人間が嫌いになった日、それは現れた。


どす黒い感情からかそれは真っ暗な塊だった。


目らしきものは一つだけあった。

だが恐怖も何も感じなかった。

震えたよ。歓喜でね。

呪いを成就してくれるのかもと期待したんだ。

だけどそれは叶えるためには対価が必要という。


大事なものを一つだけもらうと言うそれに大事なものはないと答えた。それは嘘だった。【死】だけは嫌だった。


呪われて当然の奴らの死んでいく姿は見たかった。


だから代わりの対価を考えた。そう、自分の両親の命だ。大事かと言われたら…どうだろう?うまく答えられないな。産んでくれただけの母親。育てる為に働いてくれた父。ただそれだけの感情しかない。

心が壊れてしまっているのかなとも考えたが、特には…。

だからいいやと思ったんだ。



塊は対価はもらう。

決まったな。


そう言って消えた。




それから数ヶ月後、まず母親が不治の病に倒れた。

その時はもうすでに契約のことは忘れていた為、皆と同じように悲しむふりをした。

涙は出なかった。


そして一年後、父親が突然倒れ帰らぬ人となる。

その頃になって頭の隅に何か思い出していた。

大切な何かを…。




私の周りで騒がしくなっていたことなど全く気づかなかった。誰も教えてはくれなかったから。

一人、また一人と謎の死を遂げていく様を見逃していた。そのうちにある一人が言ったんだ。コレって…何か関係ない?

そう、それはあるクラスメイトだけが死んでいることに気づいたのだ。

そのクラスメイトの友達が言っていたのを聞いたのだ。


「私のクラスの子さ…呪われてるんじゃないかって思う時があったんだ。だっておかしいよ?クラスメイトだけが次々と死んでくなんて。私も呪われてるのかも。」


そう言っていた彼女はこの世にはもういない。

駅のホームから飛び降り自殺をしたのだ。

クラスメイトの三分の一が亡くなるなんて普通ありえない。だからそう思ったんだって。



私が知ったのは合同葬儀の案内で。

亡くなった人の中に私に嫌がらせしていた子がいたのを知って思わず悔しがる。


だが、警察も馬鹿じゃない。

捜査の目が自分に向けられてるのは知っていたが、面倒にだけは巻き込まれたく無かったのでそのままにしておいた。


そんなある日、警官が2人自宅にやって来た。

例の度重なる不幸な事故の件についてだ。

その頃にはもう呪いの事が頭をよぎっていたが、対価は支払ったのだから関係ないやと思った。けど、当時何があったかだけは伝えた。



そう、【イジメ】だ。



自分もそうだが、被害にあっている子は他にもいるはずと伝えると警官はその場を去っていった。すぐに捜査が始まるだろうと考えたが、証拠は何もない。

捕まらない。

そうたかを括っていた。





暫くしてまた警官がやってきた。

過去の話で私が言っていた事を思い出したとクラスメイトの1人が言っていたと。

それは……【呪い】だ。

現実離れしているだろうことは警官達も分かってはいたが、それ以外に考えられないと。

その時令状と共に家宅捜索が行われた。

そこで出てきたのは事細かく綴られた私自身が書いていた恨み言の書かれたノートだった。20年も前のノートだったから内容までは…な訳がない。覚えているのは青春時代に地獄を見たということだけ。

警官はそのノートを持っていった。

それ自体は犯罪の証拠とはならない。

なぜなら皆不可解な死を遂げていたから。

誰一人として遺書がない事が不可解さを増している。

中には行方不明のままのものもいるらしい。

笑いたい気持ちを抑え下を向いて泣いてるふりをした。




何日かしてあの塊が現れた。

呪いは成就する。

最後まで。?ん?最後まで?

そう私自身までらしい。

まぁ、願いは叶ったからいいかと夜、布団に入る時遺書を書いて眠りについた。


長い長い眠りに……。


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