表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

母親の失踪 2

とある夏の日、父親と元々あまり会話がなかった僕は耐えられなくなって家を飛び出して友達の紅葉のお家に避難していた。


紅葉のお母さんはよく僕の話を聞いてくれて、ある意味カウンセラーのような人だった。


小学校から仲の良かった紅葉も心配してくれて僕は暖かいココアを飲みながら落ち着こうと必死に頑張っていた。


紅葉のお母さんが「お家の人には連絡したの?」と聞くので僕は「していない」と答えた。


心配させては悪いからと紅葉のお母さんが姉に電話をかけた。

姉は早く帰ってきて、と僕に言った。


僕は家が嫌いだったから帰りたくなくて駄々をこねたがそれも虚しく家に帰ることになった。


帰ると姉が玄関の前で体育座りをして待っていた。

そして泣きながら「ユウキまでいなくなっちゃったらと思ったらいても立ってもいられなかった...」と言いだした。


僕はもう限界だった。

泣きながら姉に訴えた。


姉はバイトがあり家にはあまりいなかった。

父親も仕事があるのであまり家にいなかった。

独りぼっちの家がどれだけ寂しいか、泣きたい時に泣けなかった僕の気持ちが、何も教えてもらえなくて考えても答えの出てこない難題がどれだけキツかったか。


姉は静かに聞いていてくれた。

ヒートアップした僕は過呼吸を起こしどんどん力が抜けていくのを感じた。

手足が痺れて頭が重くなり呼吸がまともに出来なかった。


姉は必死に冷やしたりお茶を持ってきたりしてくれた。


僕が電話を取って母親に留守電を入れた。


『いつになったら帰ってくるんだよ、こっちの身にもなってくれよ。なんで、なんで出てったりするんだよ!!!!』


そして僕はSNSのタイムラインに「家出をしたい。ホームレスでもいい。ここから逃げ出したい。」と書き込んだ。


その数日後、母親から連絡があり父親に謝り姉に謝り僕にも謝ってきた。


そして今はちゃんと母親は家にいる。

あの後大変だったが母親は遠くで仕事をして一人で暮らしていた話を聞いた。

そして、借金を作ってしまったのが原因で家出をしたのを聞いた。

母親の口から。


やっと心の重荷が取れた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ