母親の失踪
僕は姉から現金10000円を手渡された。
それは母が家を出る前に僕達姉妹に残していってくれたお金だそうだった。
僕は見放しといてお金だけ残すなんてなんてやつだ、と思っていた。
だからそんなお金真理ちゃんとのカラオケやご飯代に全て使ってしまった。
誰にも言えない、なんてことは無く次の日には笑顔で「母親が失踪した〜」なんて笑い飛ばしてみんなに話してやった。
もう僕はヤケになっていた。
真理ちゃんはとても心配してくれた。
心が話を聞き付けて僕のところまで来てくれた。
久しぶりに話す話が母親の失踪...。
でもなぜだか心と話すと涙がポロポロと出てきた。
僕だって大好きだった母親がいなくなってしまったのはショックだった。
昔、母親は僕達姉妹に言っていた。
「もしもパパと離婚することになってもあんた達は絶対に連れていくから安心してね!」
僕はその言葉をずっと信じていたから裏切られて悲しかったんだと思う。
心は静かに聞いてくれて最後に「辛かったね」と一言呟くと抱きしめてくれた。
そのあとまた笑顔でみんなの前に戻って必死に笑顔を保ち続けた。
そして母親がいなくなってから少し経った頃、僕はどんどん壊れていった。
本当にあった話です。