脱獄計画 2
ガイドのお姉さんに連れられやって来たのは、格子状の檻が何個も連なったフロアだ。
「ここは、窃盗などの軽犯罪を犯した囚人を収容するエリアとなっております。 収容能力は、およそ1000です」
みんな、物珍しさで写メを撮っていく。
ちなみに、囚人は文化祭に参加しているか、それ以外のものは仕事をしているため、現在ここにはいない。
(一つの檻は、10畳くらいの広さかしら?)
見たところ、何人かがひとまとめにグループ分けされ、生活しているらしい。
一つの檻に10人が入るとなると、100個もの檻が、このコアを中心に取り囲むように設置されていることになる。
(正直、知らない人と生活とかしたくないわよね……)
しかも、生活は超規則正しく、ご飯を食べ、プライベートな時間を1時間ほど過ごしたら勝手に消灯される。
スマホをいじる時間すらまともにないなんて、とても私には耐えられない。
「では、次のフロアに行きます」
中央部分にある階段を使って、下のフロアへと向かう。
地下は1階とはうって変わって、天井も低く、重苦しい雰囲気だ。
「こちらは、殺人を犯した者が収容されるエリアとなっております」
「……」
ここにある部屋は全て個室のようで、番号が扉の前に記されている。
兄さんは、このフロアのどこかに収容されているハズだ。
私は、こっそり持ち出したメモに、簡単な図面を作成し、番号を書き記していった。
(扉から出てすぐの番号が、025。 左に進んで026、027……)
部屋を一周し、数が1から100まであることが分かった。
更に、これらの扉の鍵は、同じフロアにある管理室にあることも分かった。
(大体知りたいことは分かったわ。 後は、現実に戻って作戦の整理ね)
現実に戻ってくると、これから必要なものを頭の中で整理した。
(まず、兄さんが国外に逃げるために必要なパスポート。 これは、正規の方法で作ったら足が着くから、違法なものを用意しなければならないわね。 国外に脱出する方法を知ってるエキスパートを探すとして、次に必要なのは、替え玉……)
脱出が成功した所で、逃げ出したことがばれたら何の意味もない。
兄さんにそっくりそのまま姿を変えた、替え玉が必要になる。
(これに関しては、公園のホームレスと交渉して、替え玉になってもいいって人を確保するのがよさそうだけど……)
刑期を全うするまでいてもらわなければならない。
尋常な額のお金では足りないだろう。
「パスポートと逃走経路。 そして、替え玉」
……お金、どうしよ。