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ぼっち探偵・リトル2  作者: oga
進撃の事件
16/17

追求

 その日の夕方、磯山先生の住むマンションのエントランスにやって来た。

インターホンを鳴らす。


「はい、磯山です」


 出たのは先生本人だ。


「あ、先日お伺いしたリトルです。 あの、スマホを忘れちゃったみたいで、中に入って探してもいいですか?」


「スマホの忘れ物ですか。 分かりました」


 自動ドアが開き、中に入ることが出来た。

エレベーターで9階に向かい、呼び鈴を鳴らす。


「どうぞ、上がって下さい」


「失礼しまーす」


 先生が自室に入っていき、私も続く。


「……? こっちには多分無いですよ」


「……先生、実はスマホの件でここに来たわけじゃないんです」


「……」


 私は先生を見据えて、こう告げた。


「アイカワさんを殺した犯人は、磯山先生、あなたではないでしょうか?」


「……」


 しばらく沈黙があった後、磯山先生は少し引きつった表情で、口を開いた。


「何で、そんな風に思ったんですか?」


「順を追って説明します。 まず、先生には動機があります。 キッカワさんの証言で、あなたは日常的にアイカワさんから嫌みを言われていた。 それが積もりに積もって、今回の殺人に至った、そう私は考えています」


「……僕はアイカワさんに恨みなんか抱いていませんでしたよ。 先輩だし、よくあることです」


 やっぱり、素直に認めるわけないわよね。

それなら……


「……警察犬がアイカワさんの自宅で、あなたの匂いを特定しました」


「け、警察犬? 匂いで犯人を特定するなんて、聞いたことないですよ! 毛髪や指紋なら分かりますけど…… それに、僕にはアリバイがあるじゃないですか!」


 明らかに動機している。

身振り手振りが大きくなって、慌てている風だ。


「先生は深夜0時、この自室でネームを書いており、担当者は別室にいました。 玄関に向かうには、その別室を通る必要があり、担当者にバレてしまいます。 しかし、ある方法を使えば、バレずに外に出ることが可能です」


 私は、一旦玄関に戻り、空気入れを拝借してきた。


「……」


「マンションの向かいにある御神木に、ペットボトル付きのロープもありました。 このことから、先生はペットボトルロケットで、御神木にロープをかけたと思われます」


「……!」


「ロープをかけ、ベランダの手すりに反対側のロープを結び、傾斜を利用して、ハンガーか何かを使って滑るように木に飛び移った。 アイカワさんを殺害した後、編集者に何か買ってくるよう連絡を入れ、その隙に部屋に戻った、違いますか?」


 ペットボトルロケットというアイデア。

これは、磯山先生だから思い付いたものだ。

まるで、作者がエレンになって宙を移動したかのように。


「……先生、自首して下さい」


「……ぐっ」


 先生はうめき声を漏らし、その場に崩れた。


「せっかく、漫画家になるって夢が叶ったのにっ…… 何で、我慢出来なかったんだっ……」


 先生の目には涙が滲んでいた。

……先生の漫画には、何者かに対する憎しみや、苦しみといったものが多く描かれている。

理不尽な仕打ちに対する自分の気持ちを、登場人物に投影させていたのかも知れない。


 後日、先生は警察に出頭した。


 


 



 

認めるの早っ

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