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7話「森での生活~午後~」

 午後の行動は何パターン化に分かれる。

「町に出たりするんだけどね、私も。あなたを伴ってじゃあ、ちょっと怖いし」

 それは俺が信用に置けないという意味だろうか。尋ねると、ソフィアはちょっと困った顔をした。余談だが、俺はソフィアのこのちょっと困った顔が好きになりかけていた。整った眉がひそめられ、考え込むように「うーん」と声を漏らす。大概彼女は自信に満ちて逞しい様子なので、率直に言うとギャップ萌えである。

「それもなくはないんだけど、あなたは呪いか障害か知らないけど記憶に欠損があるわけでしょ。もし町で変な言動をすれば私まで命が危なくなりかねないの。まだ不安があるのよね」

 

というわけで専ら土魔法のお勉強会が開かれている。

「いいのか? 俺は光の魔法使いなんだろう?」

 すると、彼女はちょっと黙って

「いいのよ。別に」

 と呟いた。


 が、これが上手くいかない。

 人が行う土の魔法と言うのは基本的に3つの要素から成り立ち、魔力を放出する媒介「マジックアイテム」、魔力を生み出す「燃料」、そして「詠唱」が必要だそうだ。土の魔法は膨大なのでこの条件を満たさないものもあるらしいが。


 例えば、俺は初歩の風を起こす魔法をやろうとした。やり方は簡単で、既にソフィアが作った『風呼びの粉』と言う粉をまき散らしながら定められた呪文を唱えれば良いのだ。この場合マジックアイテムが燃料そのものなので、必要なのは詠唱だけだ。が、呪文を唱えても粉は風を起こさず無残に地面に落ちた。一度地に落ちた『風呼びの粉』は二度と使えないらしい。


「土の魔法なのに、地面に落ちたらダメなんておかしーな」

 と言って笑ったらソフィアに大激怒された。

「この粉一つ作るのにどれだけの労力がかかったと思ってるの! ふざけないで!!」


 しかし、何度やってもどんなに簡単な魔法すらできなかった。ソフィア曰く「しゃべることができる者なら誰だって、それこそ幼児でもできるはず」らしい。

「あなたが魔法を使えないのは、きっと記憶喪失と関係があるのね。たぶん、何らかの呪いにかかっているのよ」

 という、そう結論付けた。そうなのか。


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