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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
一章 虚々実々
9/145

主要な

 『一階層』の大広間に着いた。

 創造を毎回この部屋でしているので、今回も来てみたわけだ。


 今必要なのは数だが、俺のMPでは少しずつしか増えていかない。マナフライ量産でもしてみようかな、と本気で思ったりもしたが、結局、創造系、使役系の守護者を創ることにした。


 一つ懸念材料がある。

 創造系の守護者が創造した守護者は俺に従うのか、という事である。

 法律で、ダンジョン全域を指定してあるので俺に従うと思うが、やってみないと分からない。


・自身で創造

・ジャンル選択[陸]

・造形『人型(女)』

・細部設定 技能『守護者創造』『指揮』『MP増加』『MP消費削減』性格『従順』


・技能の変更

 技能『守護者創造』は専用技能なので選択出来ません。『従者創造』に変更しますか?

 消費MP98


 こんなものか。技能盛りだくさんなのと、性格を追加した。

 『守護者創造』がダンジョンマスター専用技能なのには納得だが、似たような技能があって助かった。


 創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『マイン』


 «はい»を選択。お馴染みの魔法陣が現れた後、姿を見せたのはスラッと長い切れ目の女性。藍色(あいいろ)の髪を腰の上の辺りまで伸ばしていた。

 まぁ、コイツも全裸だが。


 (マイン、客を一人連れてきている。合わせてくれ)

 (かしこまりましたわ)


 「久しいなマイン」

 「お会いしとうございましたわ。カモメ様」


 マインはそう言うと俺の胸へと飛び込んできた。

 彼女は服を着ていないので感触が、ゲフンゲフン。


 「長らく会っていなかったな、仕方あるまい」


 これは演技だと自分に言い聞かせ、マインの背中に腕を回す。

 彼女の肌は絹を触っているようだ。


 「マイン。お前の役目は分かるな?」

 「もちろんですわ。国は滅びてしまいましたが、カモメ様が居てくださいませば何度でもやり直せます。ぜひ、お手伝いさせて頂きたく存じますわ」


 心の中で打ち合わせをしつつ会話を続けていく。

 不自然な間を開けないように並行作業を行わなければならないが、マインはよく付いてきているな。


 「それなのだが、今度は他の国と協力体制を気づこうと思っているのだ。栄華を誇っていた我が国は既に無く、情報も無い。備品は賄えているが、今後どうなるか分からないからな」

 「・・・かしこまりました。カモメ様が仰るならば(わたくし)達は従うだけですわ」


 マインは悲しそうな表情をした後、俺から離れ、膝を付いて応えを返した。

 取り敢えず、目の毒なので服を購入して渡しておく。ギフトは布一枚だが、マインに渡したのは普通に下着やシャツだ。

 ギフトも公爵に似合う様な服を用意してやろう。


 「では、ギフトに合流してくれ」

 「失礼致しましたわ」


 マインが大広間の扉へと向かっている背中を見ながら、MPを確認。

 起きた時は100ぴったりだった。やはり自然回復では上限があるようだ。朝食の後にマナフライからMPを回収したのでMPに余裕はあった。

 この時点でMPは142。


 そこからマインの創造でMPを98消費したので、残りは44。気絶、強制睡眠どう呼んでも良いんだが、それらが襲ってくる事も無い。


 いい加減に自分の服を買おうか。

 血塗れのシャツもそろそろウンザリしてきた。

 やはり威厳がある奴の方がいいのだろうか。

M Pと相談しながらリストを見ていく。


 下は靴下と下着、黒の生地に薄い黒のラインが入ったズボン。

 上は肌着にYシャツ、赤いベスト。

 靴は、底に鉄板が入った厚手のブーツを。


 リストで選んでいる途中でMPが足りないことに気づいてマナフライを召集したが、それでもギリギリだ。

 『謁見の間』に商品が届くように設定しておく。


 それと同時に、糸が切れたように崩れ落ちた。


 □


 ヴェデッテ・カルタ side


 朝食を済ました後、ヒタヒタと足音がするな。と、思って扉を開けてみると畔木さんがいました。

 畔木さんはギフトさんを連れ歩いているイメージがあるのですが、一人でどこに行くのでしょうか。


 彼の後を付いていくと大広間に到着しました。

 私とアルトゥーロさんも大広間には行きましたけど、ソコとは別の広間みたいです。


 こんな何も無い所で何をやるんでしょうか。

 畔木さんの話を聞いている限りでは、ダンジョンマスターというのはダンジョン内なら全知全能に近いらしいです。

 隠れている私の事も見抜いてそうですが、大事なことならギフトさんに人払いをさせそうですし大丈夫でしょう。

 大事な場面に遭遇してしまった場合には、国に報告をしなければいけません。敵地に居る以上、伯爵家三女としての勤めを果たしましょう。


 魔法陣が現れたと思えば女性の人が立っていました。

 召喚した?いえ、確か創造でしたか。

 しかし、どうして裸なのでしょうか。


 「久しいなマイン」

 「お会いしとうございましたわ。カモメ様」


 創造されたマインと言う方は、畔木さんと面識がある様です。


 (!)


 マインさんが畔木さんに抱き着きました。そういう関係なのでしょうか。親しい仲なのだとは分かるのですが・・・。ギフトさんとの三角関係に発展したりしないでしょうか。


 「長らく会っていなかったからな、仕方あるまい」


 思ったのですが、創造しているのではなく記憶の中のモノを再現しているのでは無いでしょうか。

 それならばマインさんと面識があるのも頷けます。


 「マイン。お前の役目は分かるな?」

 「もちろんですわ。国は滅びてしまいましたが、カモメ様が居てくださいませば何度でもやり直せます。ぜひ、お手伝いさせて頂きたく存じますわ」


 国は滅び、畔木さんだけが生き残った。

 放浪を続ける内にダンジョンマスターとしての力を得た彼は、かつての仲間を再現した。

 もし、そうであれば・・・悲しいですね。


 ですが、目的は何でしょうか。

 仲間を再現し、ダンジョンを広げ、国を形成する。

 それは問題ありません。建国に私の国の手助けを借りれば、恩が出来ます。


 その後は?建国した後、攻めてきたらどうしましょうか。

 畔木さんの国に、私の国に以上の戦力があったならどうしましょう。


 「それなのだが、今度は他の国と協力体制を気づこうと思っているのだ。栄華を誇っていた我が国は既に無く、情報も無い。備品は賄えているが、今後どうなるか分からないからな」

 「・・・かしこまりました。カモメ様が仰るならば(わたくし)達は従うだけですわ」


 彼の言葉に思わず息が漏れました。

 争う必要が無いのであれば、それに越したことはありません。

 祖国が動くかは分かりません。ですが父も居ますし、積極的に争う事はない筈です。


 「では、ギフトに合流してくれ」

 「失礼致しましたわ」


 国の使者が来ない限り、私から畔木さんに話をする事は出来ません。

 早ければ今日の午後。遅ければ明日の朝。

 早く使者が来ないでしょうか。


 考え込んでいましたが、少し静かになりました?

 会話は終わったのでしょうか。


 私も部屋に戻りましょう。あれ?

 畔木さん、倒れて無いですか?


 急いで駆け寄り、身体の状態を確認。


 ・・・心臓は・・・動いてる。

 呼吸も大丈夫。これは、寝てるのでしょうか。


 ふと、昨日の夕食の会話が脳裏をよぎりました。


 「それは・・・。お力の方はよろしいのですか?」

 「無理はしていない」


 確か、このような内容だったはずです。

 「無理はしていない」

 あの時は何を無理するのか分かりませんでしたが、ダンジョンマスターの能力には何らかの制限があると考えてよいのでしょうか。


 報告する事が増えてしまいました。

 そんなことよりも畔木さんが可哀想に見えます。

 自身の身を削ってまで、仲間を思うお気持ちは素晴らしいものです。

 ですが、それは畔木さんの記憶であり実際に居るわけでは無いのです。


 彼の頭を膝を乗せ、頭を撫でます。

 こんな若いのに苦労しているのですね。


 その一時はギフトさんが畔木さんを探しに来るまで続きました。

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