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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
五章 力戦奮闘
48/145

五星が1つ歳星

本日は四話同時更新です。

 日が沈む前に、偵察に出していた『大聖堂』の守護者達が帰ってきた。


 「どうだ?」

 「確認出来たでござるよ。中には入らなかったでござるが、あれはダンジョンの入り口でござった」

 「入り口の様子はどうでしたか?」

 「入り口?」


 スキアーの報告を受けているとルーチェが会話に割り込んできた。

 それにしてもダンジョンの入り口なんか見て何が分かるというのだろうか。


 「黒い何かに覆われてござって先は確認出来なかったでござるが、周囲は洞窟内と同じ様であったかと」

 「なるほど・・・地面があるのは確かですね」

 「何か分かったのですか?」

 「ダンジョンの入り口によって一階層の様子がある程度分かるものなのですよ。エバノ様の様なダンジョンなら地下に伸びる石造りの階段、みたいにね」


 アバビムのダンジョンは洞窟内にあるので地下ではなく、くぐり抜けるタイプという事か。

 周囲が洞窟内と変わらないということは、ダンジョンの床には土が敷かれていると見て間違いないらしい。


 「なるほど。では、出立の日程ですが、明日で構いませんか?」

 「ええ、私も準備させておきましょう」


 今日の夕食はカツ丼だった。


 MP2,510(+7,885) → 10,395


 □


 未だ太陽が姿を見せぬ時間帯。そんな時間から行軍は始まった。

 キャモ

 シールドアーマー×10

 ルーンフェンサー×30

 ブリッツ

 フランメ

 スナイプアーマー×45

 クローフィ

 ワーカーバット×20

 アクル

 ミストーカー=デス×29

 スペクルム

 麒麟(きりん)

 ガブリエナ

 合計142体の守護者を引き連れて山道を歩く。

 俺は麒麟に乗っているが。


 俺の領土は森の中だけだが、教皇様に許可を得て領域を広げながら進む。ルーチェ曰く、「バレなければ構わないのです」とのこと。それでいいのか教皇よ。


 レイは俺を迎えに来た時に連れていた守護者に乗って行軍している。

 鑑定で見てみれば、HP、MP共に 590 だった。それ以上の数値を持つ守護者が他にも5体。その中の一体に至っては 1900 もある。

 どこからこんなにMP持ってきたのだろうか。ガブリエナよりも高い消費量だぞ。


 MP10,395(-200) → 10,195



 「『神憑り』に制限時間はあるんですか?」


 慣れない山道を歩きながら気になったことをルーチェに聞いてみる。

 フェイクをボコった時には勝手に効果が切れていたので気になっていたのだ。


 「戦闘が終了するか、死ぬかしないと解けないと思いますよ」

 「ありがとうございます」


 時間で解除されないのは気分的に楽でいいな。


 □


 目的の場所に到着した。

 滝を『支配域掌握』で二つに割り、間を通る。フェイクは『水反射』のおかげか水面に立っている。濡れても居ないようだ。羨ましい。


 洞窟に全員が入ったところで滝を元に戻し、小さい太陽を創る事で光源を作る。


 ダンジョン内に置いておいた俺の守護者用の甲冑を取り出して守護者達に配る。俺はフランメの鎧だ。


 ルーチェはヴェルジェンド鉱で出来た鎧を。フェーデは鎧を持ってきていると言っていたが、所々にヴェルジェンド鉱を用いた鎧のようだ。どちらかと言うと動きやすさ重視のみたいだ。


 リアスは左右の腰に1本ずつ、太ももも同じ様に1本ずつ、手にも1本ずつ。計6本の剣を持っている。リピードリーもあるので7本になるのか。チェインメイルと、肘当て、膝当てしか防具らしいものは身につけていない。


 レイにはルーチェと同じ様な形の鎧を俺が創った。強力な守護者を見たあとでは意味が無いかもと思ったが、念のためだ。


 「では、アバビム討伐戦を開始いたします。各々が力戦奮闘すれば勝てぬ戦いではありません。死力を尽くすように」


 ルーチェの音頭によりダンジョンへの侵入を開始する。

 キャモが俺の1歩先を歩き、シールドアーマー、ルーンフェンサーと後に続く。俺が先陣を切るというのは些か緊張するが、守護者達も居るんだ、問題ないさ。


 ダンジョンの入り口、黒い壁を抜けると、早速キャモから念話が入った。


 (敵影ナシ。酸素濃度、気温、地形ともに問題ありません)

 「わかった。『一夜城(ワン・デイ・キャッスル)』」


 俺の視界が開ける前にキャモから報告が入ったので魔法を唱える。

 脚が1歩目で地面を踏むと、そこを起点として石の城が地面から迫り上がる。

 一瞬にして要塞の装いとなったダンジョン入り口。そこに後続の守護者達が続々とやって来る。

 一足先に城壁に登り、周囲を確認すれば、目の前には白い階段に繋がれた浮遊島。俺達が居る場所には浮遊島へと続く階段しか無いようだ。


 「まずは侵入成功ですね」

 「ココにはあの階段しか無いようですね」

 「御二方、あれは・・・」


 遅れてやって来たルーチェとフェーデとで話していると、城壁の外に霧が集まり人の形を取った。

 誰かなんて言わなくても分かる。『人宮一体』に似た技能をダンジョン内で使えるのはただ1人。


 「来てやったぞ、アバビム」

 「よぉー、何時ぞやの主天使じゃないか!お、座天使に権天使も居るのか。俺一人に豪勢なこったな」

 「地獄をよく抜け出しましたね」

 「おっと、誘導尋問は効かないぜ?座天使の権能は知ってるからな」


 アバビムは「それじゃあ、最下層で待ってるぜ」と、言葉を残すとダンジョンに溶けて行った。


 「どう思いましたか?」

 「邪魔はしない。そう言っている様に聞こえましたが」

 「自分が出るまでも無いという自身の現れでしょうか」


 取り敢えず進まなくては始まらないだろう。

 だが階段を登っている途中に攻撃されると防戦一方になってしまうし、矢が届く様な距離では無さそうだしな。


 「旦那様、私の守護者を使いましょう。サイセイなら飛んで行けます」

 「あぁ、木のやつか」


 レイの守護者の1体、サイセイ。

 本体は木のようだが、見る度に姿が変わっている。龍だったり、虎であったりと様々だ。


名前 : サイセイ

ジャンル[他]

造形『樹木』

HP590

MP590


・技能

変幻自在

 相互成長[熟練度10.00]☆

 木魔法[熟練度10.00]☆

 育成魔法[熟練度10.00]☆

 方陣魔法[熟練度10.00]☆


 『変幻自在』で姿を変えているのだろうか。翼で飛ぶのでかなり揺れるだろうが上出来だ。


 「何人まで乗れるんだ」

 「何人でも乗れますよ。大きさも変えられますから」


 それじゃあ魔法が使えるヤツには乗ってもらおうか。俺は酔いそうなのでパスだが。


 「私、乗ってみたいです!!」


 教皇様よ、アンタは大丈夫なのか?見るからに酔いそうなキャラなのだが・・・。

 結局サイセイに乗るのはレイとスナイプアーマー45体、クローフィ、アクル、ルーチェだ。


 「イヤだー!乗りたくなーいー!!か、エバノ〜!」

 「切り捨て御免・・・」


 アグルがごねていたが仕方ないんだ。コラテラル、コラテラル、


 「ディア、俺とブリッツが最初に行くから防御は任せるぞ」

 (りょう~かい!)

 「主よ、私が先に行きますのでお下がりください」


 タワーシールドを持っているシールドアーマーを先頭にすると詰まってしまうので俺とブリッツが先に行くことになった。

 ブリッツが危ないと文句を言ってくるが、飛行隊が居るのだから先頭が一番安全だと思うので無視する。

 守護者達よ、今日は文句が多いぞ。


 「しかし・・・」

 「じゃあ競走だな。ほら、行くぞ!」

 「ちょっ、主!?」


 俺とブリッツが階段を飛ぶように駆け上がり始めるのと、サイセイが飛び上がるのは同時だった。

 胴体を上下させながら翼を動かすサイセイに、アクルの悲鳴が聞こえた気がする。


 (カモメのバカーーー!キャー、助けてーーー!)


 ・・・気のせいだ。魔法はちゃんと打ってくれよ。


 サイセイが俺達を追い越すと、浮遊島から線が飛んでいくのが見えた。いや、線では無く矢の様だ。


 (クローフィ、レイに直進させろ)

 (かしこまりました)


 クローフィに指示を出し、ブリッツに視線を向けると、彼も俺の方に視線だけ動かしていた。俺のやりたい事が分かって居るのだろう。

 なんだ、ブリッツ!やれば出来るじゃないか!


 「「『束縛の魔眼』」」


 2人分の束縛の力は空を裂く幾数の矢を止めた。

 相手さんはいつまでも動かない矢の群れに痺れを切らしたのか、第2陣の矢を放つ。だが、それらは止まった矢にぶつかり、サイセイまで届くことは無い。


 敵も馬鹿では無いらしく、階段に警備を回していた。

 ようやくやって来た警備は俺達を見て、上空のサイセイが俺達を島へと無事に上陸させる為の囮だと思ったのだろう。

 盾と槍を持った奴らを横に並べる事で壁を作り、階段までで食い止める積もりのようだ。


 ようやく敵が魔法を使い始めたのは、俺達が階段の七割に来た頃だった。


 「・・・少し遅かったな」

 「『雷の雨(チュンダー・ライトホース)』」


 相手の魔法が届くという事は、コチラの魔法も届くという事だ。

 レイが魔法を唱えると、無数の無音の稲妻が天から降り注ぎ、まだ見ぬ敵陣地を焼く。


 俺達が到着する寸前まで稲妻は止まらず、階段を登り着る頃には浮遊島の敵はほぼ全滅していた。

 どうやら浮遊島には街があったようだが、今はその面影すらない。焼き爛れた廃墟そのものだった。


 「殲滅に移るぞ、必ず小隊を組んで行動すること。接近されれば終わりだと思えよ」


 俺の言葉と共に四方に散らばる守護者達。

 さて、残った俺はどうしようか。サイセイの着地点でも作るかな。

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