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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
四章 魑魅魍魎
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豚と鬼

時刻は午後三時。ダンジョンの外で活動している筈のスキアーから報告が入った。


「どうした。問題か?」

(知恵ある魔物が話しをしたいと申しているのでござるが、どうしたものかと)

「種族と数、・・・あとは、強さは?」

(豚が46頭でござった。手合わせしたわけではござらんので強さは測りかねますが、そこまで強いわけでは無いようでござったな)


豚・・・オークか?

殲滅してもいいんだが会話が成り立つようだし話しを聞いてみるのもいいかも知れない。


「取り敢えず包囲と警戒だけはしといてくれ。気取られるなよ」

(かしこまった)


時間を稼ぐつもりでゆっくりと歩く。

46体のオークごときに遅れを取るつもりは無いが、どうしたものか。

ダンジョンマスターの技能で『大聖堂』の状態を確認するが、やはりオークの様だった。ダンジョンから外は見えても領域外なので鑑定が通らない。少しずつでも拡張しなければいけないな。


「レイ、ヴェーデを呼べ!」


騎士達は『大聖堂』に居るのを確認しているので心配しなくても構わないだろう。


レイとヴェーデの二人にはオークの事を聞いてみたい。

俺の中でオークのイメージは姫騎士とか性騎士、エルフのお友達で、魔物の中では中堅辺りだろうか。


「旦那様。何の騒ぎですか」

「だ、旦那様!?それは後で聞くとして!聞くとして!何事ですか」


ライトアーマーが二人を連れてきてくれたのでオークに関してのイメージを聞いてみる。

ヴェーデがレイの発言に驚いていたが、後回しにしたようだ。絶対に聞かれてやらないが。


「オーク?初めて聞く名前ですね」

「そうか、ヴェーデはどうだ」

「オークには技術者が居ませんので技術者を捕まえて巣穴に取り込むと言う話しは聞きます。恐らくは『大聖堂』を建てた人物を探しているのでは?」


武器や住居を人間に作らせているのか。思ったよりも頭いいな。

人間を襲って技術者を攫うという事はそれなりも戦闘力もあるわけだ。


「人間との関係は?」

「良好では無いですね。収穫時期になると食料を求めて村を襲いますし、害獣に違いないです」


ほう、殺して構わないのか。巣穴には技術者が居るだろうから何匹か逃がして巣穴の特定だな。


(俺が到着後、マインの指示に従い戦闘を開始しろ。何匹か逃がして巣穴を特定。ハヤブサは追跡をしろ)


地上に居る守護者に連絡をしてエレベーターに乗った。

『一階層』の橋を渡り、またエレベーターに乗る。扉が開くのに合わせて陽の光が扉の隙間から入ってきた。そういえば『大聖堂』にはこの頃行ってなかったかもしれない。


エントランスに近づくとフロントアーマーが2体とスキアー、騎士達がやってきた。


「包囲は」

「完了してるでござる」

「わかった」


オークの姿が確認出来る程度には近づいた。それに伴って漂ってくる異臭。これはオークの臭いか?泥臭いとか男くさいとかが色々組み合わさって変な臭いになってる。鉄の剣に小綺麗な腰布と、それなりの格好をしているのにこの臭いとは如何に。


「ぴギィ・・・ここの主はお前か」

「そうだ」


変な鳴き声だな。それは置いおくとして目的を聞こうか。


「これをつくった、ピぎぃ!やつは、だれだ」

「俺だが?」

「いのちが、おしければ、ついてこい・・・ふごっ」

「殺れ」


話しを聞いていたが思ったよりも馬鹿だった。

自分の方が立場が上だと思ってるのだろう。普通はそうだろうが、今回は相手が悪かったな。


怒り気味の表情をしたマインの号令と共にフロントアーマーがオークの背後から襲いかかる。

後ろに控えていたオーク達が振り返って迎撃しようとしたところに左右からハヤブサが襲いかかる。


何匹か俺に向かってくるが、ソレらはガブリエナの氷柱に貫かれ動きを止めた。

この調子だと俺の出番は無いかな。


俺の考えの通り少しの間に戦闘は終わり、死体とMPを残して戦闘は終わった。


「死体は一箇所に集めろ!スキアー、ハヤブサは?」

「既に放ってるでござる」


それなら夜までには巣に行けるか。オークは夜目が効くのかは分からないが、楽に勝てるだろう。


積み重なったオークの死体に油を撒きながら問う。


「オークとはどこら辺で会った」

「ここから南の方面でござる」

「南か」


パペル殿の話しでは砦とニェーバの街とを繋ぐ道は森を二分するように通っている。

南の森と北の森。ダンジョンは北の森に位置していて、オーク共は南から来たと言っていた。

道の周辺はゴブリンや狼、深度が深くなるとオークの縄張りということだ。

南の森の方が小さいので、北の森にいる俺達はオークよりも強い魔物に遭遇する危険がある事になる。魔物もヒトの言語を話す事が出来るのならば知能もそれなりにあるだろう。


死体の山に炎を灯しながら領域を拡げていった。


MP200(+2300)→2500

MP2500(-100)→2400


地上にダンジョンを創る時にはMPを2倍消費したが、今回はそんなことは無かった。

最初だけ2倍になるのだろう。規模は、『大聖堂』を中心とした2km四方の正方形だ。正方形内は一応はダンジョンという事にはなっているが、森の様子に変化は無い。領域内を変えることは可能であるし、ダンジョンは別空間扱いになるはずなので外に影響は出ないだろうが、人との取引が始まった以上は無茶な真似はしない方がいいだろう。


領域を拡げたことで、大体の事は対処可能になった。俺の活動範囲も広がったし、外でも『人宮一体』は使える。

羽虫一匹すら逃さずに知覚するので頭がキャパオーバーだと痛みで伝えて来るが、しばらくすると一定以上の大きさの生き物以外感知できなくなった。ダンジョンがやってくれたのだろう。



陽が完全に沈んだ。

巣穴は山の中の洞窟で、逃げ道なのか、入口の他に2つの入口も見つけてある。

100体いるフロントアーマーを25体ずつの小隊に分け、3つの隊で入口を封鎖させる。残りの25体は『大聖堂』で留守番だ。

残念ながらオークの巣は領域内では無いので俺は参戦出来ないが、代わりにマインが指揮を執る。


そんな俺は戦闘が既に始まっているだろうか、などと考えながら『大聖堂』周辺の森の散策をしている。

何故に夜の森を散策しているのかというと、フロントアーマーが出払ったのを見て手薄になったと思ったのか、領域内に潜む相手を感知した為である。相手を見る限りではオークに大量の髪の毛と顎鬚を生やした様な容姿をしている。


名前 : オグル

種族 : 人型・怪物

HP125

MP75


凶暴で残忍な性格をしており、人の生肉を好物とする。その一方で臆病な面も持っている。


鑑定結果を見る限りでは負ける気はしない。

数は3。ついて来ているギフト一人でも殲滅出来るだろう。

だが、今回は『神憑り』を使って戦闘したいので、ギフトが出る幕はないだろう。


説明文に書いてあるように臆病なのか、背中を見せているのに一向に襲ってくる気配は無い。

そのままオグルは俺を襲うことなく去っていった。


「どう思う?」

「統率している個体が居るか、知能が高いかのどちらかだと思いますが」


オグルの不審な動きをギフトに尋ねてみると納得できる理由が帰ってきた。

確かに、偵察をしに来たのなら戦闘を行う理由は無いからな。


・ジャンル選択[空]

・造形『フクロウ』

・細部設定 技能『幻術』『気配察知』『視力強化』『闇魔法』

消費MP63


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


2400(-63)→2337


「アイツらを追ってくれ」


追跡様にフクロウを創造して放つ。俺の事を探っていた様だが逆に探らせてもらうぞ。


森の魔物達が俺に接触し始めて来ている。確かにこんなにエンカウントしてれば開拓村なんて一瞬で消えてしまうだろう。

道があるのは砦へと行軍した際のもので、その時には魔物達は王国軍を襲わなかったのだと思う。


今日はもう帰るか。

明日にはオークとオグルの報告も聞けるだろう。


「ギフト、帰るぞ」

「わかりました」


『大聖堂』からわざわざ歩いてここまで来たが、帰りは『人宮一体』で一瞬だ。

『人宮一体』は熟練度がMAXなってから床や壁に沈ぬのではなく、消える様な感じでスピーディーに一体化出来るようになった。ダンジョンから受け取る感情も強く感じられる様になり、領域内の把握も俺の意識に呼応して自動で行われる。先程の生体感知の様に。

これで俺がこの星に来た時から持っている技能は全て習熟した事になる。後でステータスを確認しておこう。


マイン「オグルぬっ殺す( ゜д゜)クワッ」

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