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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
三章 共同戦線
31/145

奪還戦前日 (『大聖堂』、『一階層』、『二階層』、『三階層』地図あり)

 レイを助け出し、アブラムの襲撃があった翌日。

 騎士達は早朝に王都へと向かって出立した。

 クレイドルには日本酒を贈呈したのだがかなり喜んでいた。


 今日はレイのダンジョン奪還へと向けての戦力補充と、DMOの力なしにどこまでの物が作れるかを試したい。


 ダンジョンマスターの能力で椅子や旗が作れるのは分かっている。コレがダンジョンモノによくある、宝箱の正体なのだとしたら行動の幅が広がる。


 現在のMPは8501。レイのダンジョンでの戦闘で大幅に回収できたMPを上手く活用しなくては。


 まず、レイを襲っていたダンジョンマスターの魔物達だが攻撃力は高くなかった。トンボが厄介だが対処できる範囲だ。

 今回は機動力は求めてないので馬はもう要らない。


 槍持ちをいくらか創るべきか。シールドアーマーも三体しかいないし追加してもいいかもしれない。


・ジャンル選択[死]

・造形『鎧』

・細部設定 技能『弓術(ブースト+100)』

消費MP155


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『スナイプアーマー』


 8501(-6975)→1526

 45だッ、違う45体創造する。固定砲台として創造したので台と呼びかけたが体で間違いない。


・ジャンル選択[死]

・造形『鎧』

・細部設定 技能『盾術』『槍術』

消費MP60


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『シールドアーマー』


 1526(720)→806

 お馴染みのシールドアーマーは新しく12体創造する。

 コレでシールドアーマーは15体だ。



・ジャンル選択[空]

・造形『インプ』

・細部設定 技能『気配察知』

消費MP44


 806(660)→146

 インプも15体になるように創造する。

 インプは人間の子供程の大きさで全身が黒く、ピンと張った耳に充血した目にふっくらとした腹部で(かぎ)状の尻尾を持っている。

 この守護者は周囲の警戒用だ。用途は後で説明する。


 スナイプアーマー45体をを3体ずつ、15の小隊に分け、シールドアーマー、インプを1体ずつ付ける。

 盾、攻撃、警戒が揃った。コレである程度の連携がとれるだろう。

 この部隊は俺とは別途に動いてもらう。夜襲やゲリラ戦の際には結果を出してくれるはずた。


 武器の配布をしなければならないので、丁度いいし、ダンジョンマスターの力でどこまでの物が出来るか試してみよう。


 簡単に弓の形を創り、少しずつ整えていく。

 玄はどうしようか。試行錯誤していると糸も製作可能なことに気付き、一応弓としての働きは果たせるようになった。


 アーチェリーの様にスコープサイトを付けた方がいいのだろうか。お試しとしてつけてみよう。

付ける場所が分からないのでスナイプアーマーに構えてもらって大体の位置を教えてもらった。場所は調整して随時変えていくと思う。


 あとは、なんだ?重りか?

 重りは棒状にして、スコープサイトと重りとで持ち手を挟むように設置する。


 矢は強度の問題で(やじり)()(胴体部分)は無理矢理くっ付けてある。鏃は鉄、()は竹を使っているので、繋ぎ目はその二つの色が混ざった様な色になっている。

 矢羽(やばね)は鷹の羽を使う。確か120°づつズラしてた気がする。


 「試射してみてくれ」


 スナイプアーマーが試し打ちをする。

 一応飛びはしたが、距離がもの足りないな。あと、反動が少し気になる。


 重りをもう一つ追加して、矢羽の角度も調節する。

 鎧の胸当ても少し平らにしようか。巨乳は弓を打ちにくいと聞くし、鎧でも胸は平らな方が良いだろう。


 「さあ、どうだ」


 二度目の試射。

 うーん、俺では善し悪しが分からない。

 距離で言えば『三階層』の大広間の端から端までは届く。

 大広間は大体200mぐらいか?床から斜め45°に打って天井と壁の接着面に当たったので、400mは飛ぶ計算になる。

 技能による補正がかなり掛かっているはずなので弓そのものの改良が必要になってくるな。


 『四階層』に降りて再実験。

 2km四方なのでどこかにぶつかる事も無い。


 「・・・あ」


 矢は放物線を描き、無事に飛んだ。その代償としてスナイプアーマーの左腕のコテがパーツを撒き散らしながら飛んでしまった。


 飛んでいった矢には目もくれず、ガシャン、ガシャンと音を立てながら45体のスナイプアーマー達が飛散したパーツをしゃがんで集めている。中々にシュールだな。

 俺も手伝うとしよう。


 結界、矢は600m程飛んでいた。

 『弓術』だけでなく『身体能力強化』もあれば腕も飛ばなかったのでは無いだろうか。飛距離も更に伸びたはずだ。


 その後、重りをもう一つ追加し、スナイプアーマーの腕周りの鎧が外付けという形で強化された。

 ダンジョンマスターの能力を使えば、MPを消費するが好きなものを創れることが今回の件で分かった。DMOで購入するよりも断然MP消費が低い。


 弓をスナイプアーマー45分製作して、矢も各員に100本ずつ行き渡る様にする。矢筒を作り忘れていたので急いで創り、皮のベルトで鎧に固定でさせる。

 シールドアーマーにもタワーシールドと槍を装備させ、小隊での動きを確認しながら午前中を終えた。


 午後からはレイを救出に行った守護者達と午前中に創った守護者達との合同訓練を行った。

 『四階層』の太陽を意図的に月にして夜間での戦闘訓練だ。

 俺自身も乗馬に慣れなければならないので参加している。


 「散開!」


 号令とともに互いに距離を取りながら馬を走らせる。『人宮一体』で上空から確認しても綺麗に距離を取れている。


 「集結!」


 再び号令を掛けると元の隊形に戻る。『人馬一体』のお陰で思った通りに動いてくれるのが大きい。


 スナイプアーマーを後ろに乗せ、馬上での射撃もやらせてみたのだが、特に問題は無かった。

 鎧の総重量は20kg程。大盾を持つシールドアーマー以外のアーマー系であれば二人乗りも余裕で可能だ。


 魔法の練習も行い、『土魔法』の習得に成功した。

 『土魔法』は土を生み出したり操るだけではなく、金属も精製する事が出来る。だが、生み出した金属は自然界の物とは異なり加工には適さないと鑑定に書いてあった。熟練度が上がれば変わってくるのだろうがそれはまだ先の話しだ。


 □


 「・・・深夜に繋ぐのでいいのね?」

 「よろしくお願いします」


 夕食後に、ふと現れた神と話し合い、奪還戦は本日の深夜に行う事になった。

 レイは神と話し、助けて貰ったお礼と事情の説明を受けている。


 彼女も今日は『守護者創造』の技能を使って守護者を創っていた。

 どのような条件で創ったのかは分からないが、レイが以前から連れているゴーレムと殆ど同じ造形だ。

 違う点といえば、鉄板を銅の紐で縛った凹の様な形をした鎧と、同じように作られた肩当てをしているところだろう。

 どうやら鎧は本体と融合しているようで脱着は不可能だが、防御力という点で見れば申し分無い。


 武器は鉄製の剣と槍だ。

 剣は大きいものではなく、反りのない両刃のドスの様な形をしている。それらは朱漆の鞘に収められ、左腰の部分と融合している。

 槍の穂先には分厚く真っ直ぐな両刃の刃が使われている。柄を合わせての長さは1m20cm程と短いが、取り回しはしやすそうだ。


 レイの守護者の数を数えておこう。

ゴーレム(武装なし)×7

ゴーレム(武装あり)×13

合計13体となるのだが、(武装なし)と記したのが俺と合流前から居るゴーレムで、(武装あり)とあるのが合流後に創られたゴーレムだ。

呼びにくいのでゴーレムの正式な名称を聞いてみたのだが、それぞれにに名前があるらしく覚えるのは諦めた。


 時刻は23時53分。

 24時00分には神がゲートを広げてくれる手筈になっている。


スキアー new

ハヤブサ ×50 new

ブリッツ(公爵『第二階層統括公位』)

ガーゴイル ×8

フランメ new

スナイプアーマー ×45 new

シールドアーマー ×3(+12)→15 new

インプ ×15 new

ギフト(公爵『第三階層統括公位』)

マナフライ ×15

マイン(侯爵『戦力指揮統括候位』)

ライトアーマー ×24(+15)→39

クローフィ(侯爵『宮廷魔道士指揮統括候位』)

ワーカーバット ×20

アクル(伯爵『宮廷魔道士第二席伯位』)

リェース(公爵『第四階層統括公位』)

妖精 ×10

馬 ×15 new

アイリード

ディア

マーゲン

麒麟(きりん) new


 守護者 合計243体

 俺のダンジョンにいる守護者全員が今回の奪還戦に参加する。

 馬には戦闘能力が低い、または戦場が悪い守護者に優先して乗ってもらうようになっている。

 ギフト、マーゲン、レイが先の理由で乗ってもらう。マーゲンは包丁で戦うようだが、程々に頑張ってくれ。

 マインには指揮官として馬に乗ってもらう。ライトアーマー5体も馬に乗せ、マインと全体の護衛の役目を任せる。

 武装しているゴーレム(以下 : ゴーレムβ)3体はレイの護衛だ。

 残り3体の馬については後で説明する。


 「目的は敵対象の殲滅だ。ダンジョンの中心部にアクルが陣を張れれば敵の援軍はやむだろう。そこにレイを連れていきダンジョンの主導権を奪う。レイがダンジョンを操作できれば勝ったも同然だ。各員、最善を尽くすように」


 守護者達を前に軽く演説を行う。今回彼らには俺よりもレイの護衛を優先するように伝えている。

 俺は『変形』を使ったフランメを纏うので護衛など必要無いのだ。そこが今回の作戦のキモにもなる。


 「完全に潰してもいいのよ・・・?」

 「もちろんですよ。殲滅が目的ですからね」


 彼女はいつ現れたのか。

 神の声を背後に受けながら、麒麟(きりん)に一歩を進めさせる。


 フランメの重さが戦場に向かう事を尚更に意識させる。

 さあ・・・行くぞ。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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