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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
三章 共同戦線
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地上部と『大聖堂』

 全員の鎖を解くと気温は元に戻った。

 一先ずは安心していいだろう。守護者達にも異常は無かった。


 外に出る事は可能だが、ダンジョンが機能を停止する。


 結果としてはこうだろうか。お陰でモグラ生活は脱せそうにない。

 別に自給自足出来るし、そもそも外に出る用事も無いので普通は問題が起こらないのか。


 久しぶりに人口のものではない風を感じられたので良しとしよう。


 地上部にダンジョンが作れないか試してみようか。

 MPは三千を超えているしMPが足りないということはないだろう。不可能ならばソレはソレで構わない。


地上部『一階層』

規模 : 未設定

建築物 : 聖堂

素材 : 石英

消費MP1000


 本来なら五階層目であるので消費MPは500のはずなのだが、倍の1000になっている。

 地上部だと倍になるのか?

 余裕があるので拡張出来るが普段ならば絶対にしないであろう。


 地上部『一階層』は聖堂にしようと思う。

 地上に城を作っても、地下に城が存在しているので意味が無いように感じたからだ。

 どうせ地上部に作るのであれば見栄えが良いやつにしようと言うことで聖堂になった。


 ただ問題なのが規模だ。

 ダンジョン内は俺の領内だが、地上部はそうではないだろう。領主なり国なりが治めている筈なのだ。

 作れば国との取引先にも出来るし、権威の象徴にも出来るし、と、一石で何鳥にもなるんだが問題が起こるとなるとそれも変わってくる。

 ヴェーデに聞いてみるか。


 「という訳だ。意見が聞きたい」

 「・・・初めから仰って下さい!」


 起こり気味に返されてしまった。

 流石に一日に二度もやられたらそうなるか。


 「ここら辺一帯を治めているのは領主か?それとも国か?」

 「一応は国でしょうか。ニェーバの街、ココから最寄りの街ですね、ソコを治めているの貴族の領地は森の手前までです。開拓村を幾つか送っているという話しは聞きますが全て失敗に終わっています」


 なるほどな。国内にあるので国の領土となっているが、ほぼ手付かずということか。

 失敗しているのは強い魔物でも現れたのだろうか。そんなもの敵ではないし問題は無いが。


 そもそもヴェーデが何故そのような情報を知っているのだろうか。

 父親、パペルの技能構成を見る限りでは文官の様だったのでそこからの情報か?


 「じゃあ、俺が『森が俺の領地だ』と、言い張るのは可能か?」

 「林業をしている方達から抗議が来そうですが、国としては嬉しいのではないでしょうか。森だけでなく、周辺の土地も渡して本格的に国として動かそうとしてくるかもしれません」


 開拓するには危険すぎるが、資源が欲しい。なので、貿易で取引先しようとしているのか。

 そうなるとノーマリー王国以外の情報もほしくなってくる。

 それは時期尚早か。まだ決まったわけじゃないしな。


 許可が降りたことだし地上部『一階層』を創ろうか。


地上部『一階層』

建築物 : 大聖堂

素材 : 石英→大理石

 消費MP1000


 規模の欄を埋めるのは諦め、適当に設計を進めていく。

 石英から大理石に変更したが特に意味はない。大理石の方が高そうだなというだけである。


 現実では有り得ないような設計をしていくが、知識が無いので許して欲しい。

 影や光を利用してソレっぽい天井になったのはいいが、設計図を見ればとんでもない事になっている。

 天井がかなり高いので設計の酷さはバレないとは思う。


 それじゃあ新改装の創造開始だ。

 マインからライトアーマーを数体借り受け、地上部へと向かう。

 地上とはいえダンジョンの一部であれば機能停止は起こらないはずだ。


 地上部に上がり、Uターンしてダンジョン内に戻るが冷気は感じない。守護者達が念話に応じてくれるので機能停止もされていない様だ。


 地上部は設計通りだ。

 大理石の柱に床。影と光の組み合わせで天井には花の様な模様が浮き上がっている。

 聖堂内を見渡せば、大理石の中でも光る部分がある。その正体は装飾としてつけた金だ。どうやらメッキではなく純金っぽい。傷つけられないので検証は出来ないが。


 『大聖堂』は上から見ると (じゅう) の様な形をしている。

 十 の下の部分が入口でエントランスがあり、右へ行くとホール、左に行くと小さな湖がある。そして中央は聖堂へと通じている。


 ホールはダンスをしたり、豪勢な食事をとったりと使用用途は幅広い。

 湖は、身を清めて聖堂内に入れ。というメッセージだが、正直どうでもいい。ロマン建築である。

 聖堂には木でできた長椅子を置きたかったのだが、戦闘になった場合に邪魔になるので置いていない。地下『一階層』行きのエレベーターがあるのもココである。


 他に報告する事は無いかと散策しているとある事に気が付いた。

 『大聖堂』は日光を取り入れるためにガラスを張っている部分が多々ある。根元の部分は濃い青でだんだんと薄くなっていっているのだが、そこは問題ではない。

 十 で言う、一番上の部分。その部分にはステンドグラスがあるのだが、ソコに描かれている人物が問題なのだ。

 描かれているのが俺なのである。


 黒の生地に薄い黒のラインが入ったズボンにYシャツと赤いベスト。靴はブーツを履いている。

 左手には最初のギフトが着ていた黒い服を切って巻いている。


 細かいところまでそっくりな俺を模したステンドグラス。

 隣りのステンドグラスを除けばマナフライの発光を受けるギフトの姿があった。

 その隣はライトアーマーを引き連れたマイン。

 ワーカーバットが飛んでいる中に居るクローフィに、木の側に妖精と共に立つリェース。

 方陣を背後に浮かべたアクル。

 チルアーマーとガーゴイルに挟まれるような形になっているのはブリッツか。

 そして最後に肩にハヤブサを乗せたスキアー。


 守護者全員の姿を記してたのだ。

 俺はこんな風に設計していないので、ダンジョンの意思なのかもしれない。

 実際より美化されているので何も言うまい。


 (主よ、死体の処理の整いました)


 あぁ、そうだ。魔法の練習をするんだった。

 MPが有り余ってこれ以上回復しないから先に消費してから向かうとしよう。


MP2713→213

鏡の枚数 334→744


 □


 ゴブリンの死体の山に到着した。

 技能として『火魔法』を習得してから、魔法の固定化に成功しているので簡単に死体処理が出来るだろう。

 まずは一体で練習。


 「『火操作(オペレーション・ファイア)』」


 アクルがしていたように魔法を唱える。

 俺の足元から火が湧き出す。ソレを操作しようと試みているのだが、中々思い通りに動いてくれない。

 やっと一体を焼きる頃には汗だくになっていた。

 簡単な操作だけでコレでは話しにならない。操作しなければ良いのでは?と、思い、対象に飛んでいくように魔法を行使すると上手くいった。


 「アクルに負けたようで悔しいが操作は諦めるか・・・」


 そこからは『火球(ファイア・ボール)』で死体を焼却し終えた。


 温泉に入り汗を流すと、ブリッツが戦闘詳報を持ってきた。

 軽く見て不備が無いのを確認する。


 「戦力の増強か。どんなのがいいんだ?」


 要望として、戦力を増強が書かれていたので尋ねてみると、大盾を扱う守護者がいいと言われた。

 確かに守護者の中に盾を扱う者は居ない。創っておくとしよう。


 夕食をすませると『大聖堂』に上がる。

 食事は自給自足が可能になって来ているのでMP消費は抑えられている。


 『大聖堂』に上がると未だに日が出ていた。

 午後六時は過ぎているので季節としては夏だろうか。四季があるか分からないのでこれが当たり前なのかもしれない。


 スキアー達から聞いた情報によると、ここから徒歩で半日ほどの距離に野営している集団があったようだ。十中八九、騎士団であろう。

 それならば魔物の集団移動も頷ける。

 あれだけの数の魔物を取り逃がすなど、能無しとしか思えないのだが魔物側の頭がいいかもしれない。そうなると集団を率いている魔物が居ると考えた方がいいのだろうか。間引きは必要だな。MPが足りない時に狩るか。


 『謁見の間』に戻り、ブリッツに頼まれた守護者創造に移る。


・自身で創造

・ジャンル[死]

・造形『鎧』

・細部設定 技能『盾術』『槍術』

 消費MP60


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『シールドアーマー』


 コイツを途中休みを挟んで三体創造する。

 盾はタワーシールドと呼ばれる四角い大きな物を購入した。



 今日は色々とあったが、有意義な一日だったと思う。

 明日には騎士団が到着するであろう事は分かっているので、マーゲンは料理の下準備を進めている。騎士団が来ないなら来ないで別に問題は無い。


 そろそろDMOを脱退する頃合いだろうか。

 鉱物と衣類が心許ないので、守護者を増やすか改装を創るかも考えなくてはいけないな。

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