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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
二章 枕戈待旦
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ダンジョンの外と機能停止

 ギフト達の活躍もあり、ゴブリンの数は少なくなってきた。

 彼女は既に『一階層』から戻っており、俺の傍らで待機している。


 (そろそろいいぞ)


 『三階層』にいる守護者に連絡を取り、『二階層』に上がってくるように伝える。

 残りのゴブリンは二十体ほどだ。

 『三階層』からエレベーターが到着すると同時に、『二階層』へ向かうエレベーターを封鎖する。


 ライトアーマー達が突撃していくのを確認して『映像情報』を切った。

 アイツらなら余裕だろう。


 「ここに居る守護者達で先に戦闘報告をしよう。戦闘状況、被害報告を報告してくれ」

 「ゴブリン34体に対し『二階層』戦力は総計12体。実際に参加した数は11、コチラの被害無し、敵対象は全滅です」

 「そうかよくやった。後ほど日誌を渡すのでそちらに纏めてくれ」

 「分かりました、主よ」


 こんなものだろうか。至らぬ点を記し記録として残す事で、戦力増強の参考に出来る。

 そうだ、冒険者が来た時のも纏めておこう。確か名前は・・・アルトロンだっけか?なんか固くなりそうな名前だな。


 (カモメ様、『一階層』掃討終了いたしました)

 (分かった。クローフィ、アクルの手を借りて死体処理に移れ)


 『一階層』の方も方がついたようだ。

 『二階層』の死体は俺の魔法の練習台となってもらおう。『火魔法』を覚えたので死体を焼却するのだ。


 「血抜きをした後に死体を除けておいてくれ」

 「かしこまりました。終わり次第連絡致します」

 「頼んだ」


 『一回層』の死体の処理は任せるとしよう。

 現在のMP総量は7230。

 ゴブリンの死体の数は74だった。ゴブリン一体辺のMPは90なので、ココまでのMPを確保する事が出来た。

 ガッポガッポだな。黒い笑みが収まらないよ。

 さて、この大量のMPの使い道だが 、まずは『二階層』と『三階層』を繋ぐ秘密の通路の作成だ。


 城の一部屋と『三階層』の一部屋を梯子で繋ぎ、城の一部屋のドアを回転扉に改造する。

 あとは戦闘詳報(せんとうしょうほう)を書くためのノートだな。コレは四階層分購入する。


 残りは7100。

 外を探索する為の守護者か、中を守るための守護者。どちらを創るべきか。

 外を探索させるのであれば『四階層』のような場所で活躍するような守護者になるだろう。そうなると狭い場所で活動するのは難しい。


 外の環境が分からないのでなんとも言えないな。いや、ヴェーデなら分かるか?話しを聞いて意見を取り入れてみるか。


 「という訳だ。意見が聞きたい」

 「いえ、あのー、・・・何の事でしょうか」


 ふむ。この手の話しはコレで通じる場合が多いのだがな。ヴェーデはまだまだだな。


 「外の探索をさせるか、中を守らせるかだが、どちらを優先させればいい?」

 「そうですね。・・・情報が入ってこないので難しい問題ですね。王国との交流が始まれば改善されると思うのですが・・・・・・」


 やはり情報が無いのが厳しいか。

 ヴェーデも俯きながら考えている。外の情報を持っている彼女なら妙案を出してくれるとおもったのだがな。


 「あ、」

 「どうかしたか?」

 「騎士団による魔物討伐の時期が近いです。もしかしたら日程を早めたのではないでしょうか」

 「魔物討伐、か」


 ヴェーデは何かを思い出した様で、俯かせていた顔を勢い良くあげた。


 騎士団による魔物討伐。

 収穫時期に活性化するモンスター達を騎士団が町や村を巡回して討伐しているようだ。


 ヴェーデの話し通り、日程を早めたのであれば原因は俺のダンジョンにあると見て問題ないだろう。

 ダンジョンに寄るついでに魔物を間引いているのだろう。


 「そうか、騎士団が近くまで来ているのか」

 「その様ですね。ところで畔木様、一つよろしいでしょうか」

 「どうかしたのか?」

 「中に居る守護者達を探索に出すというのは出来ないのでしょうか」


 ヴェーデの言う事も確かだ。

 鎧が外を歩くのは行動の邪魔かと思ったが、中は入っていないのだし制限は受け付けないか。


 「周辺の地形は?」

 「森ですね。アルトゥーロ様が初めて来た際に軽く道は作っていますが、その他は手付かずです」


 森か。小回りが効く守護者が適任だな。

 今の戦力であればギフトやクローフィか?アクルは外に出たら戻って来そうにないし・・・。

 やはり新しく創ろう。


・自身で創造

・ジャンル選択[陸]

・造形『ゴーレム』

・細部設定 技能『硬化』『再生』『脱皮』『変形』材質『日緋色金(ヒヒイロカネ)

 消費MP1124


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『フランメ』


 出鼻を挫く様で申し訳ないが、フランメは武器を作る際の材料調達 + 守護者として創った。

 材質のお陰でかなりの高コストになるが、これ以降MPが有り余る機会が無いかもしれないので創らせてもらった。

 『日緋色金(ヒヒイロカネ)』は俺が覚えていた伝説の金属で、フランメの身体は(あか)く輝いている。

 『変形』のお陰で色々と姿形を変えられるので、今は細身になってもらっている。質量保存の法則は息をしているのだろうか。


 ココからが本番だ。


・自身で創造

・ジャンル選択[陸]

・造形『人型』

・細部設定 技能『暗殺術』『隠密』『気配察知』『剣術』『調教術』『忍術』『光魔法』『闇魔法』

 消費MP113


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『スキアー』


 「お初にお目にかかるでござるよ」

 「おう」


 見てわかるように忍者だ。話し方では男女分からないが女性だ。くノ一(くのいち)と言うのが正しいのだったか。


 容姿は、黒い短髪に、感情を映さぬ細い瞳。スラッとした体型をしている。因みに俺のダンジョンには巨乳が居ない。

 理由は察しろ。


 彼の衣装には忍装束を購入した。武器は短刀だ。ついでにクナイも買っておこう。『剣術』でカバーは難しいだろうが、対応する技能を頑張って取得してもらいたい。


・自身で創造

・ジャンル選択[空]

・造形『鳥』

・細部設定 技能『隠密』『風魔法』『身体能力強化』

 消費MP43


・創造しますか?

«はい» «いいえ»


・名称『ハヤブサ』


 タカやワシではなくハヤブサにしたのは、イメージとして小型で小回りが効くイメージがあったからだ。

 スキアーの『調教術』はココに関係してくる。


 ハヤブサを50羽創造して、消費MPは2150。

 創造で使った合計のMPは3387。

 これで残りMPは3713。ほぼ半分を使った。


 ハヤブサとスキアーを外の探索に向かわせる。

 魔物がいた場合は戦闘許可を出しているが、騎士が居ないとは限らない。その点には注意るように伝えておいた。


 ここからは俺が外に出られるかどうかの実験だ。

 スキアー達が出て行ったばかりなので、安全は確保されているだろう。

 念のためにマインとライトアーマー、ヴェーデを連れて出る。ヴェーデを連れていく理由はダンジョン内で何かが起こった場合に怪我をされては困るからだ。


 エレベーターを使い『一階層』へと上がる。

 出口の前で深呼吸を行い、ダンジョンの外へと踏み出した。


 「特に何も起きないな」

 「そのようですわね」


 マインの方も違和感は無いようだ。ライトアーマーも問題なく動いている。


 踵を返してダンジョン内部へと戻るが、そこからが問題だった。


 「寒っ・・・なんだこの寒さは」

 「水が一部凍っている様ですわ」


 そう。ダンジョン内の気温が低下していたのだ。

 それだけでは無く、守護者達との念話も通じない。一体何が起こったのだろうか。走ってエレベーターへと乗り込み、『二階層』へと向かう。

 『人宮一体』を使わない程に俺は慌てていた。


 玄関口には死体処理をしていたブリッツ達が居るはずだ。


 エレベーターが『二階層』に到着した。

 そこには石畳の床から生える鎖に身体を拘束され、死んでいるかのように目を瞑っているブリッツが居た。

 ブリッツだけでは無い。ガーゴイルやチルアーマーも例外ではなかった。


 「ブリッツ!おい!聞こえないのか!!」

 「・・・」


 声を掛けるが反応はナシ。

 鎖を剥ぎ取ろうと動いたが、俺が鎖に触れれば一瞬にして塵になった。

 それと同時にブリッツが目を覚まし、不思議そうな表情を浮かべた。


 「主よ、何かありましたか?」

 「おまっ・・・いや、無事ならいいんだ」


 鎖を外せば元に戻るのか?チルアーマーの鎖を解こうと行動していたマインに視線を向けるが、鎖はピクリとも動く事は無かった。

 どうやら俺にしか解除出来ないようだ。


 急激な気温の変化により作物に影響が出ないか心配だ。


 その後は守護者達の鎖を外していき、俺がダンジョン外へと出るのは禁止となった。

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