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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
二章 枕戈待旦
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瞼(まぶた)創造

 食事が終わり、玉座で一息ついているとMPの回復速度が早くなっている事に気がついた。


 今までは、1分間で1回復ぐらいだったのだが、主天使になってから1分間で7回復するようになった。

 7で60は綺麗に割れないが、一分経つと7回復している。

 結局は、ありがたいのでどうでもいい。


 1時間でトータル420回復だ。4体の守護者分位にはなる。

 最大値が200なので超過しないように気をつけなければいけない。


 マナフライからMPを貰って、木の苗と野菜の種を購入。

 リェースにそれらを渡して、俺は30分程の仮眠を取ることにする。ギフトに頼んでおけば起こしてくれるだろう。


 □


 「マスター、起きてください」


 念話ではなく普通に起こしに来たようだ。

 抑揚が少なく、それでいてどこか優しい声で目を覚ます。


 ギフトだけではなく、マインも来たようだ。


 「・・・、2人で何かやってたのか?わざわざ悪いな」

 「マスターの指示は、私達にとって神の言葉と変わりませんから」


 ムズ痒い台詞を言ってくれるな。

 聞くところによると、ギフトとマインの従者とで戦闘訓練をしていたらしい。

 クローフィも魔法の練習をしていた様だが、違う場所で練習していたので呼べなかったようだ。


 俺が単体で動いている間、守護者も動いていると知って安心した。

 一緒に居られる時間をそんなに取れないのもあるが、親として心配はするものである。


 ギフトとマインが部屋から出て行き、俺1人が残される。


 マインの従者は現在で15体。少し増えたな。

 クローフィの従者を俺は見てないのでどんな奴なのか分からないが、数だけ見れば20体。

 『映像情報』を覗けば、コウモリが居たので鑑定を発動させる。


名前 : ワーカーバット

種族 : 眷属

HP50

MP75


・技能

吸血

反響定位


 普通のコウモリか?

 反響定位を確認してみよう。


・反響定位

音の反響により周囲の状況を把握する事が出来る。

仲間内で情報の交換を行える。


 補助とか目潰しとしてなら使えるか?

 自爆特攻の様になってしまうが仕方ない。組み合わせ次第では強くなるな。

 クローフィは魔法使い系の守護者だし、爵位も魔法の強化を目的とした物だ。集団戦闘でこそ彼女の本領発揮と言った所か。


 俺も武芸、魔法系の技能が欲しい。

 ダンジョンマスターが戦うのはどうかと思うが、戦闘にはロマンが詰まっていると思うんだ。

 かといって、誰かから教えてもらうと時間が掛かる。

 手っ取り早く強くなる方法はやはり装備だろうか。初っ端から勇者の剣を持っていれば、致命的なプレイングミスをしない限り大丈夫だろう。


・自身で創造

・ジャンル選択[他]

・造形[刀剣]

・細部設定 技能『剣術』『再生』『人剣一体』『相互成長』

消費MP173


 技能4つなのに消費MPが酷い。

 『剣術』と『再生』は別にそこまでなので、残りの2つが原因だ。


 『人宮一体』があるのだから『人剣一体』もあるのでは?と、思ったので選択してみれば大当たり。

 『相互成長』は一緒に成長する魔剣カッコイイ!というロマンが俺を突き動かし、気が付けば付いていた。反省はしていない。


・名称『アイリード』


 武器に名前を付けるのか、と思うかも知れないが気にしてはいけない。

 俺のイメージとしては知恵ある道具(インテリジェンス・アイテム)である。

 意志があれば武器ではなく、守護者としてカウントされるのでDMOに頼らなくても大丈夫だ。全員に配備できれば一番良いのだが、コストが高すぎるのが欠点だ。


 (貴方の刃となれて光栄です。父よ)

 「頼んだぞ」


 アイリードは発音器官が無いので、念話で話してくる。

 姿はグラディウスと言うのだろうか、肉厚で幅広の刀身が特徴だ。大きさは刃が50cm、柄が20cm程と短めだが、この位の方が扱いやすくていい。(さや)は無く、抜き身の状態。

 声は武士然とした感じだ。男勝りな感じと言えば分かるだろう。


 鎧の方も創りたいが、それはまた後日としよう。鏡を買わなければ行けないのだ。

 とりあえず、枚数が1000もあれば余裕だろう。

 姿見が80

 手鏡が20

 それぞれがそこそこのMPを消費するので早めに買って保管しておこうと考えている。

 『一階層』の何部屋かを物置として使おう。


 現在時刻は13時半だ。簡単に計算しよう。


 姿見と手鏡をセットとすると、30分で4枚。1時間で8枚。

 1000枚買うと仮定した場合、125時間掛かる。まる5日と少しだな。

 俺が起きている間、一週間買い続けても少し厳しいか。そもそも鏡の在庫が足らない気がする。


 まぁ、買えるだけ買っておけばいいだろう。

 値段が高騰した瞬間、買うのを止めようか。ただのDMOに対する嫌がらせだが。


 MPが回復するまで剣術の練習をする事にした。

 剣なんて握ったことないから、ぎこちない動きにしか見えないだろうが俺一人しか居ないので構わない。


 『人剣一体』の効果も分からないので、それの検証もしたい。『人宮一体』と同系統の技能だというのは分かるので、効果も憶測がつきやすい。


 「『人剣一体』を試してもらえるか?」

 (承知しました)

 「・・・ッ!?」


 その声と共に、剣が掌に埋まっていく。

 すり抜けているのでは無く、埋まっている。同化しているのだ。

 試しに掌を振ってみても落ちる様子も無い。


 『人宮一体』でも適応出来るのではと思い試してみると、足首が床に埋まった。

 バランスを取るのが難しいので元に戻って足首を確認しても、何も変化は見られない。履いていた靴でさえもだ。


 「技能を持っていても効果を知らなければ意味が無いのか・・・」

 (対象が非生物であれば同化出来るようです。私も生物とは言えませんから出来たようですね)

 「完全に同化しても大丈夫なのか?ほら、意識とか」

 (そこまでは分かりかねます)


 試していないものは分からないか。

 仕方ない試してみるか。


 壁の中にいる。比喩でも何でも無く、そのままの意味で。言葉にすると怖さ倍増だ。


 『人宮一体』を使い、壁に手を付けば、スルリと抵抗もなく肘までが埋まった。

 ユックリとほかの部位も埋めていく。

 怖いので頭部は最後だ。


 俺の全てがダンジョンと同化した。アイリードも俺と同化しているので、三位一体と言ったところか。


 心配していた呼吸も問題なく行える。

 五感全てがダンジョンから情報を得ている。


 視覚は全部屋を監視カメラのように写す。複眼にでもなったかのような気分だ。

 聴覚は些細な物音一つも逃さない。剣の稽古をしているのだろう、金属がぶつかり合う音からマナフライの羽音まで分かる。

 触覚は足裏の感触を直に伝える。踏まれているようで嫌な感覚はあるが、コレは俺の勝手なモノだ。

 味覚は、また新しい。守護者の身体から何か漏れているだ。これは恐らく魔力。守護者によって魔力の味が違う。ダンジョンが魔力を糧にしているのを理解した。

 嗅覚は魔力の匂いを集める。基礎能力が高い守護者程、美味しそうな匂いがする。


 アイリードもこの感覚を共有しているのだろうか。

 気になったので話し掛けた。


 (分かるか?世界が広がったかのようだ)

 (ええ、分かります。父の偉大さが骨身に染みるようで心地よい感覚です)


 剣に骨身があるのか?そう思ったが何も言うまい。

 ・・・そうだ。

 思いついた事を試してみる。


 ダンジョンの床からアイリードを突き刺すという、トラップじみた考えだ。

 ・・・成功してしまったので、直前まで視認不可能な凶悪トラップの完成だ。


 考えてみればギフトもコレが出来るのである。ギフトの剣は普通の剣なので、彼女自身が出てきて剣を抜かねばならないが、それでも強い。

 暗殺者タイプの守護者だから尚更だ。

 音もなく天井から襲い掛かり、床に潜って姿を消す。強すぎだ。


 『人宮一体』の新しい使い方も分かったし、練習しながら鏡を購入していこう。


 今日はそれ以降何も起こらず、実に平和だった。


 鏡の枚数60枚


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