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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
一章 虚々実々
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『第三階層』 森の守護者

 「お父様行ってらっしゃいませ」

 「ノーマリー王国の今度のさらなる発展を願って」


 ヴェーデと共にダンジョン入り口までやって来ている。

 どうやら外に別の部隊が待機しているようだ。入り口は階段なので馬が入りにくいのか。

 今度直しておこう。


 「感謝する。また会おう」


 そう言ってパペル殿は従者を連れて去っていった。


 俺は『謁見の間』へと戻り、『三階層』創造へと移る。

 『三階層』を創ればMPが無くなるので、ギフトに気絶したら自室に運ぶ様に頼んでおく。


 『三階層』

規模 : 2km四方の正方形×高さ30m

内見 : 肥沃な大地

消費MP200


  創造しますか?

 «はい» «いいえ»


 «はい»を選択。そして意識が途絶えた。


 □


 「来れた・・・」


 気が付けば神域(仮)に居た。

 二回目だが、呼ばれる条件が分からない。


 夜に寝たわけでも無いし、守護者を創った覚えもない。

 王国と交渉したが、どう関係するというのか。


 スルスルスル・・・


 「ッ!」


 足音!?違う。何かを引きずるような音だった。

 蛇か?生き物はココに居ないはずだ。前回来た時に探索はしてある。


 辺りを見回すが、俺以外の生き物の姿は見えない。


 その時、背後から俺の首に手が回される。

 チラリと顔を動かさずに確認すれば、ソコには雪のように白い指があった。


 驚くよりも先に安堵が顔を出した。

 何故かは自分でも分からない。

 例えるなら、そう。親に抱かれた子供のような安心した気持ち。


  俺が考えている間にも指は身体をなぞる様に歩を進め、心臓部に両手が重なった。


 「・・・落ち着いているのね」


 首筋に吐息が掛かり、鳥肌が立った。

 声は思っていたよりも近く、互いの体温が分かるほど。

 落ち着いた澄んだ声。それだけで相手が人間では無い何かだと悟る。


 「・・・、お初にお目にかかります」


 何か言わなければ。そう思い口を開いてみるものの言葉が見つからない。

 最終的に出てきたのは、どうでもいいような挨拶だった。

 他に何か無かったのか。


 「慌てなくても大丈夫。貴方の言葉は届いてるわ」


 「貴方が応えてくれるなら、私もソレに応えましょう」その言葉と笑い声を残して、場は霧に包まれた。


 □


 ・・・暑い。

 ダンジョン内は適温で一定になっているのに、どうしたんだろうか。


 掛け布団を押しのけ、ベットから降りる。

 ふと、目に入った鏡を覗く。目尻の辺だろうかソコが赤くなっていた。


 指で取れないか擦ってみても変化は無い。

 変化は目尻だけでなく爪にも現れていた。目を擦っている時に気がついたのだが、爪の根元が赤くなっている。


 何が起こったのか・・・。


名前 : 畔木 鴎

種族 : 主天使

HP200

MP200


・証

 ダンジョンマスター

 DMO所属ダンジョンマスター


・技能

 異世界言語[熟練度10.00]☆

 支配域鑑定[熟練度10.00]☆

 支配域創造[熟練度10.00]☆

 守護者創造[熟練度10.00]☆

 人宮一体[熟練度2.16]


 まて、一旦落ち着こうか。


 HP、MPが増えてる。階層が増えたからか?

 まあ、ラッキー。


 『ダンジョンマスター』に付属する技能が軒並みカンストしてる。元からこうだっただろうか?

 付与系の技能は制限が掛かっていた気がする。

 これは、『ダンジョンマスター』の証は関係なくて俺自身の技能と言うことか?

 分からん。


 あえて飛ばしたのだが、種族。

 主天使・・・?


 結果。分からない。

 鑑定してみようか。


・種族 : 主天使

神界における第4位の地位にある天使。

『統治』『支配』の技能を持つものが、この種族に進化することがある。


 説明を読む限り、種族的に進化したということか。

 神の最後の台詞。『貴方が応えてくれるなら、私もソレに応えましょう』

 コレが神の力だと言うなら納得もいく。


 進化はそれで納得するとして、『ダンジョンマスター』系の技能はどうなったのか。

 技能が重なれば、上位互換になるのは確認している。

 これ以上の技能が無いのかもしれない。


 一回、証『ダンジョンマスター』の技能を技能の欄から除けてみるが、変わらずに技能には『支配域鑑定』『支配域創造』『守護者創造』の表示がある。


 付与では無くて、 自身の能力として付いたのは分かったが、技能が重ならない。

 MP消費削減→MP消費半減のようにならないという事だ。

 ・・・考えていても仕方ない。放っておこう。


 今の時刻は10時半。『三階層』でも見てこよう。


 『三階層』は農業、林業用に創った階層だ。

 擬似的な太陽にフカフカな地面。土の善し悪しなんて分からないので、農業用の守護者を創ろう。


・自身で創造

・ジャンル選択[陸]

・造形[人型(女)]

・細部設定 技能『土魔法』『時魔法』『農業』『MP消費削減』『MP増加』『水魔法』『林業』

 消費MP116


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『リェース』


 農業、林業を専門とした守護者を創った。

 魔法があれば一人でも管理出来るだろう。難しければ追加で。


 「・・・おはよう。ご主人」

 「おはよう、リェース」


 少し眠たげなダミ声が帰ってくる。

 身長は他の守護者より、一回り低い。

 身長順で並べてみれば、


 ギフト = クローフィ > マイン >> リェース


 と、なる。

 俺とギフトが同じくらいでクローフィがちょっと低い。それよりマインが5cm程低くて、リェースが頭一つ分低い。

 数字で表すと150cm位だろう。


 服を買おうとしたが少しMPが足りないので、リェースの容姿を説明しよう。


 身長に関しては先程言ったとおりなので割愛。

 胸元まであるエメラルドグリーンの髪に、眠たげな瞳。

 所謂幼児体型である。


 そろそろかな?

 MPも回復したし服を買おう。


 黒の生地に薄い黒のラインが入ったズボン、Yシャツ。

 靴は、底に鉄板が入った厚手のブーツ。

 ここまでは俺も含めて同じ服装だ。

 俺は赤いベスト。他の守護者は、黒いノースリーブジャケットを着ている。


 リェースには深緑と黒を混ぜたようなノースリーブジャケットを買う。

 役割が分かり易くなるし、大事な役職なので、この位の優遇はいいだろう。


 「守護者リェースを公爵、『第三階層統括公位』に任命する。『三階層』に所属している他の守護者はリェース卿の指示に従うように」


 爵位によって付与された技能は『指揮』と『支配域鑑定』。

 リェースの支配域は『三階層』だけなので『三階層』では鑑定が使える様になる。


・公爵『第三階層統括公位』

『三階層』の統括者。

ダンジョンマスターには及ばないが、『三階層』に関する権限を持つ。

『三階層』に存在する守護者一体につき、HP、MPが5追加される。

技能『指揮』の付与。ダンジョンマスターの技能を一つ付与(付与不可能な物もある)。

付与された能力は成長せず、制限が掛かる。


 苗や食物の種を購入したいが、昼時が近いのでMPは温存しておく。

 リェースの紹介もしたいし、早めに集まるとしよう。


 (少し早いが食堂に集まってくれ)

 ((かしこまりました(わ)))


 『三階層』が機能するようになれば、この馬鹿にならないMP消費も浮く。期待しよう。


 食堂に移動すると、先に四人が集まっていたので自己紹介に移る。


 「彼女はリェース卿だ。爵位は公爵、『第三階層統括公位』だ」

 「ん、よろしく」


 簡単な挨拶を済ませば、ヴェーデから質問が飛んできた。


 「畔木様、何か変わられました?こう、威厳があるというか、神々しくなった様に感じるのですが」

 「主天使になったから、その影響だろう」


 赤い目尻を指摘されると思ったのだが違うようだ。

 ギフトに、爪が汚いので洗ってきてください。とか言われるかと思ってたんだがなぁ。


 それは置いておくとして、ヴェーデが凄い顔をしている。

 口を大きく広げ、鯉のようにパクパクしている。


 「ヴェーデ?おーいヴェーデ」

 「はっ!・・・失礼しました」

 「主天使がそんなにおかしかったか?」

 「いえ、そうでは無いのですが・・・」


 ヴェーデの話を聞いたものを要約する。

 王国に存在する教会にも徳を積み、種族的に進化している人物は居るようなのだ。

 だが、進化している人物はそこまで多くは無いようで、最高位でも智天使が一人だけとの事。

 天使の階級は9(ここの)つあり智天使は上から2番目だそうだ。で、俺の階級は上から4番目。


 俺のこの階級はかなり高いらしく、教会の介入は避けられないとの事。

 どこに教会信者がいるか分からないから、漏れてしまうのも仕方ないだろう。


 「遅れたが、食事にしよう。腹ペコだ」


 会話をしていて遅れたが、お昼時は既に過ぎている。

 俺の腹が持たない。


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