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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十三章 永垂不朽
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地を叩く鋼の踵

活動報告の方でも言いましたが、この前書きは忘れていたシーゼンの装備の紹介になります。

以下、加筆した分のコピペです。この後は普通に本編に入ります。


 シーゼン。

 彼女の基本武器は弓だから、そこまで防具をつけなくても問題はない。だからと言って魔法職と同じ様に手を抜くのもどうなので、ちゃんと考えてある。シーゼンで最後っていうのもあるからな。

 ちゃんと、とは言ったものの、腕と脚だけ隠せればそれで問題はない。デザインとかそういうのを一切を考えずに凹凸を消して、弓を射るのを邪魔しないように滑らかにすればそれで終わりだ。『身体能力強化』のお陰で鎖帷子を編み込んだ騎士服を着ても身軽に動けていたので、きっと戦場に立っても大丈夫だろう。

 最初は普段は袴姿だから鎧を着せるのに抵抗感があったんだけど、それも考えている内に無くなった。それじゃ、そろそろ戦場に移動するかな。

 俺達が戦う戦場の舞台は、ノーマリー最西端。『果てしない渓谷』の端の方のほぼ真下にある要塞だ。シュヴァルツヴァルトからそこまでは大体1週間ほど。この日数は軍として動くから掛かってしまう時間なので、本来であれば3日ぐらいで到着する。

 どうしても最先端と最後尾で時間のズレが生じてしまうので、それも考えて行動しなければあっという間に日が暮れてしまうのだ。


 それで、どれだけの数の守護者を戦地に向けるかと言うと、5,011である。この5千11の細かい内訳は後で説明するとして、まずは戦争の規模を説明していく。


 この星の俺が居る大陸は、地球で言うユーラシア大陸の様に大きな大陸ではない。そのために人数にはどうしても限りが付きまとってくる。更に、魔物――亜人という脅威から、人口もそう多くは無い。

 以前、俺が潰した戦争で、スタージュが率いていた軍勢は2,5000。この大陸で2番目の大きさを誇る国ですらこの数なのだ。あれが全力では無いとしても、戦力の上限は見えて来る。グラキエスとかその周辺の国の戦力を統合しても7千には届かないのではないだろうか。

 そもそも、トハン帝国がおかしい。2,500の人数を片手で支えられるってどうなってるんだ、っていう話しだ。それに合わせて異界の魔物達までもが戦争に参加するのだから、彼等の本気度もうかがえて来る。

 そのために5千の戦力を持って行くのだが、俺の代わりにMPブーストしたマインからしてみれば、この5千という数字は5日で到達できる。1日千体ペースだ。その気になればもっと増えるんじゃないだろうか。


 とにかく、帝国が本気で勝ちに来ている以上、俺もそれなりに本気でやらせてもらう。

 案外、ダンジョンマスターの本格的な仕事はコレが初めてかもしれない。そう考えるとワクワクしてくるのだから、俺も末期かもな。

 明日の早朝から出発だ。今日はもう寝るとしよう。


 □


 ・・・どうしてこうなった?


 翌朝。空も白みがかってきた頃。いざ出発しようというところで待ったが掛かった。その声を掛けたのはレイで、俺も何か言っておこうと思った時だった。

 彼女の隣に方陣が広がり、白い光が上がる。あの陣には見覚えがある。転移の陣だ。俺の考えは正しく、それは転移の陣だった。そこまでは良かったんだが、そこから出て来たモノが問題だった。

 灰色の厚い皮膚に、長い鼻。それはまさしく、俺が知っているのとほとんど同じ象だった。ほとんどと言ったのは、妙に牙が伸びているからだ。一瞬、マンモスかな?と思ってしまうほどには牙が長くて大きい。


 「象か?」

 「知ってたんですね。驚かそうと思っていたのですけど」

 「いやいや、十分驚いてる。知ってるのとちょっと違ってたから」


 心の内が間抜けな声となって出てしまったみたいだ。俺の言葉にレイの眉が少し下がった気がしたので慌てて声を掛けると、彼女は口を隠して静かに笑った。そんなに間抜けだったろうか。・・・戦場に行くにはもう少し威厳があった方がいいんだが。


 そうしている間にも方陣は光を放ち続け、合計50もの数の象が現れた。この数が一気に現れると流石にぎゅうぎゅうだ。守護者だから指示も無く暴れる事も無いのがせめてもの救いか。


 「私の国に居た生き物なんですけど、戦争のお供に連れていってくださいませんか?」

 「あぁ、構わないぞ。だけどこのままは無理だから転移でな」


 可愛らしく頬を膨らませるレイだが、無理なものは無理だ。こういうのはあらかじめ言って貰わないと困る。

 なだめる様に薔薇色の髪を指で透かし、柔らかな唇に自分のを重ねる。簡単なものだが、簡単だからこそ出来ることもある。最後はキスで丸め込むような形になってしまったのは本意ではないものの、出発を遅らせるわけにはいかないので許してほしい。


 「・・・留守番を頼んだぞ」

 「はい。ちゃんと、帰って来て下さいね」


 麒麟に跨った俺に、馬に乗ったブリッツが近づいて来た。視線で時間を告げる彼に1つ頷くと、レイに「もちろんだ」と力強く答え、軍列の先頭に目を向けて腹の底から声を出した。


 「シュヴァルツヴァルト!全軍、出発!!」


 かもめによって拡散された声が響く。それに合わせて鎧達が持った国旗が立ち上がり、風に吹かれて存在感を強調する。

 先頭の隊列から順に守護者は進み、土埃を上げて戦争の緊張感を伝えていく。土埃はシュヴァルツヴァルトには入ってこないながらに、その役割をしっかりと果たしていた。

明日も更新予定。

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