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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十三章 永垂不朽
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それぞれの装束

 6月10日。この頃になると、国々の戦争の準備は殆んど終わったと言っても過言ではない。街々で戦争の為に徴兵が行われ、比較的扱いやすいとされる槍を持っての訓練なんかが始まったとルーチェから手紙来たのはつい最近の事だ。

 北の方では既に移動も始まっているのだとか。その合間に亜人相手に戦争の訓練をするようだ。俺がトレインしたお陰で亜人の数はだいぶ減ってるからな。その分行軍もしやすいのではないだろうか。


 俺が所属している連合国の進撃ルートは2つ。

 ラフライン、グラキエス、ルーマンド、レクタングルの4か国が『果てしない渓谷』の北側から。ノーマリー、シュヴァルツヴァルトが『果てしない渓谷』の南側からである。

 つまり、俺達は南側から進行することになる。進行と言っても、トハン帝国に次ぐ大きさのノーマリーと共に足止めを行えばそれでいい。北からの軍勢が連合国の本筋だからだ。

 より多くの人種が集まれば、より多くの作戦を立てることが出来る。人数が増えればそれだけ戦果も多くなる。それを地で行くのが北の軍勢だ。俺達が出来るだけ少ない戦力で長く持ちこたえられれば、それだけ有利に働く。


 本来であればその筈なのだが、今回の戦争はイレギュラーな存在が関わっているがために、このままでは負けてしまうだろう。亜人を蹂躙したことからも分かるように、帝国の『空間魔法』はそれだけ厄介なモノだからだ。

 普段ならそんなに静観していて怠慢だと怒られてしまう場面ではあるのだが、今回はそうはいかない。なにせ、帝国はかなり前から俺の領域内。手の打ちは全て知っているし、作戦だって筒抜け。負ける要素なんてこれっぽちも存在しない。まぁ、『空間魔法』で呼ばれた魔物がどれだけ強かろうと、所詮は生き物だ。命がある限り、死という宿命からはのがれられない。


 そのために守護者達の装備も頑張って考えた。本当に頑張った。

 量産型では無い『人型』の守護者は20人ぐらい。そのうち戦争に参加するのは11人だ。全員分の装備を考えるのがどれだけ大変だったことか分かるだろうか。俺はデザイナーでもなければ鍛冶屋でも無い。それはもう血の涙を流しながら毎晩毎晩(ry。

 要は、見た目もそれなりに気をつけてはいるが、結局のところは能力が一番だよね。という話しである。それではザックリと説明を始めていこう。


 まずはギフトから。

 彼女の衣装は、基本的に暗い。主に暗殺が主な戦いだから仕方ないのだが、見栄えとしてはよろしくない。音が鳴るから金属類も最低限しか装備出来ないのだ。

 逆三角形の脛当てと、槍の石突を参考にして創った腕当て。腕当てに関しては、傘の先っぽをイメージしてもらえると分かりやすいと思う。これらはツヤ消しをして、少し青っぽく塗ってある。月の色に合わせてみたものの、あまり効果はなかったかもしれない。

 後の装備は布だ。なるべく音が出ないように張り付く感じのにしてみた。余分な布地を切ったってだけで、ピッチリし過ぎているという訳でも無い。その上からマントを被せれば大体終わり。

 武器は、エストックと短剣を足して2で割った様な感じの黒いモノが2振り。黒い革の鞘も用意したが、これは一度抜いてしまうと入れにく過ぎるので、基本的には使い捨てである。腰の後ろに縛り付ける形になるだろう。

 付与効果は『吸音』。


 次にマイン。

 彼女は指揮官だから、分かりやすい方が良いかと思い、それなりに目立つ装飾を施させてもらった。ギフトとは相反する見た目になっている筈だ。

 基本の色は白。関節部にはヴェルジェンド鉱石を使った、銀緑色のパーツが組み込まれている。上下部分の生き物の口とみなし、それなりの装飾を施してある。

 ブーレインと言われる、先端が尖った鉄靴に、縦溝が幾数にも彫られた脛当て。腰にはスカートをモチーフとした簡素な鎧を。長さとしては膝上5cmぐらい。ひし形を膨らませた様な胸当てと、脛当て同様に縦溝が引かれた腕当て。

 兜にはアホ毛?アレはなんて言えばいいんだ?鳥の尾?・・・上手く説明できないけど、ニュアンスで分かってくれ。兜自体の形はバケツである。説明が適当なのは、もうこの時点で結構飽きてきてたりするから。

 鎧の下にはマインの髪と同じ色である藍色の厚手の服を着せた。馬上槍を固定できるように留め具もついている。一式を着せてみると暑そうだが、戦争開始は9月だから、今よりはまだマシだろ。

 武器は鉄製の剣と槍。この星の戦争は未だに指揮官も前線で戦うらしいが、シュヴァルツヴァルトではなるべく戦いは避けて、あくまでも指揮をする存在で居てもらう。守護者は念話が使えるからこそ、指揮官は必須である。

 付与効果は『視力強化』と『物理抵抗』。


 剣も魔法もできるクローフィはいたって簡単だ。

 何故なら、マインと同じ装備に、胸当てを外しただけだからだ。言い訳をさせてもらうと、何をするのにも統一感というのは大切だと言いたい。体育祭、文化祭なんかでクラスTシャツを作らなかっただろうか。それと同じで、同じ衣装というだけで連帯感というのは上がるのだ。決して手抜きでは無い。手抜きでは無い。大切な事だから2回言ったぞ。

 クローフィには、マインの物とは申し訳程度に変更を加えた騎士服を渡してある。鎖帷子くさりかたびらが編まれているかどうかの違いしかないものの、これだって立派な変化であると言いたい。

 兜はナイトガン〇ムに似ている。

 付与効果は『硬化』と『物理抵抗』。


 リェースは根っからの魔法職だから、創っていてまだ楽だった。

 基本の防具はクローフィと同じで、違う点はローブを着ているという事だけ。魔法職の防具はコレで固定してある。・・・手抜きです、すみませんでした。

 武器は、エメラルドが仕込まれた杖。

 付与効果は『物理抵抗』と『魔法抵抗』。


 アクルも魔法職なので以下略。


 ブリッツには以前創った武者鎧を使ってもらう。

 統一感を少しでも高めるために鎧を白で染め、威圧感が増すかと思って鬼の様な面も渡してある。ブリッツに関しては被弾するところを想像できないので、出来る限り軽量化し、動きやすいように設計している。

 付与効果は『気配察知』


 スキアーも武器以外はギフトと同じだ。

 投擲武器満載って感じだな。


 ガブリエナは生まれ持っての甲殻があるので鎧は要らないだろうと考え、武器だけを用意した。

 武器の種類は爪だ。どこかの姫様が使っているようなのと同じである。これも甲殻同様に自前のモノがあるので、爪自体にギミックを仕掛けることで差別化を図ることとなった。で、そのギミックとは、爪が飛んで行くのである。疑似ロケットパンチみたいな感じ。凄いロマンを感じる。因みに、使い切りだ。


 ソイルも魔法職なので略。


 メラニーはメイド服から変っていない。いや、強度とか細かい意匠は変わっているのだ。相変わらずメイド服というだけで。

 『空間魔法』が使えるために武器は持っておらず、金属部分も本当に最低限だけ。メイドという立ち位置であるために俺の近くに居ることは想像にたやすい。ならば無駄に疲れる事も無いかと考えるのを諦めた結果がこれである。


 パナーシア、魔法職、略。

 シュヴァルツヴァルトに残ってポーションの製薬をしてもらう。


 モルビド、魔法職、略。


 シディ、魔法職、略。

 耳と尻尾をどうするかが問題だったが、『変幻自在』で解決した。防具は他と同じ。


 シーゼン。

 彼女の基本武器は弓だから、そこまで防具をつけなくても問題はない。だからと言って魔法職と同じ様に手を抜くのもどうなので、ちゃんと考えてある。シーゼンで最後っていうのもあるからな。

 ちゃんと、とは言ったものの、腕と脚だけ隠せればそれで問題はない。デザインとかそういうのを一切を考えずに凹凸を消して、弓を射るのを邪魔しないように滑らかにすればそれで終わりだ。『身体能力強化』のお陰で鎖帷子を編み込んだ騎士服を着ても身軽に動けていたので、きっと戦場に立っても大丈夫だろう。

 最初は普段は袴姿だから鎧を着せるのに抵抗感があったんだけど、それも考えている内に無くなった。それじゃ、そろそろ戦場に移動するかな。

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