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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十三章 永垂不朽
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桜舞う円舞

2話同時更新です。

 そろそろお腹も膨れ、花見も解散しようかという空気が流れ始めた。俺としては本来の目的を達成できていないのでそうなると困るだが、状況を覆せるようなきっかけを見つけられていない。酒も花見会場に結構出回ってるから派手な事は出来ないしな。


 「そうだ、レイ。踊りを見せてくれないか」

 「今ですか?準備も何もしていないのですが」


 あぁ、ソレで構わない。レイの言葉にそう頷く。取り敢えず俺の周りに居る人間を少しでも離せたらそれで問題はない。

 あとはギフト達だがどうしたものか。マインは言えば分かってくれそうだから大丈夫だろうが、問題は残る2人だ。ギフトは一緒に来るとか言いそうだし、クローフィはノーマリーから戻って来たばっかで俺成分が足りないとか意味の分からない事を言ってるんだが。理由なんて特に何もないが、出来れば1人で行きたい。なんか嫌じゃないか?謝りに行くときに友達も連れていくの。上手く言えないがそんな感じだよ。


 「ギフト、すまないが空いた食器を下げてくれないか?」

 「でしたら他の者に」

 「いや、お前に頼みたい」


 渋々と言った感じだったが、最終的には頷いてくれたのでよしとする。

 後はクローフィか。さて、どうしたものか。マインに頼んでみるか?彼女は唯一性格まで付けた守護者だし、きっと聞いてくれる筈だ。


 (クローフィを引きはがしてくれないか?)

 (分かりました。報酬はエバノ様とのケーキでお願いします)


 ケーキ?何の話しだ。いや、まぁそのくらいなら許容してもいいんだが。

 視線をマインに向けてみると、やけに凛々しくて真剣な顔をしていた。何が彼女をそこまで駆り立てるというのか。っていうか、ケーキってあれか。先月ぐらいのやつ。なんでそんなに噂になってんだ?相変わらず守護者間での情報網の広さには驚きっぱなしだ。俺が知らないのもどうかと思うがな。


 「クローフィ、少し時間を頂いても?」

 「ええ、レイ様の舞踏が始まるまでなら」


 俺に黙礼して立ち去る2人に、軽く手を振りながら見送る。思っていたよりもあっさり引き下がってくれたのはありがたい。ケーキの約束をするまでもなかったかもしれない。まぁ、きっかけを作ってくれたのはマインだから損だということもないだろう。

 なんにせよ、これで邪魔者は消えた。あとは修道女の元へと行くだけか。なんか、今更になって緊張してきた。

 ・・・、ええい、ままよ!行って駄目ならそれまでだ!



 俺が向かうのは、修道女達が固まって飲んでいる集団。今になってブリッツが俺の元へやって来たので、背中を左手で叩いてやりながら歩み寄る。


 「来るのが遅い」

 「申し訳ありませんでした。よく4人を引き離せましたね」

 「ケーキのお陰だ?」

 「ケーキ?・・・あぁ、あれですか」


 だから、どうしてお前もケーキの事を知ってるんだ?アクルか?発信元はアイツなのか?

 問いに顔を逸らして見せるブリッツと歩くと、思っていたよりも早く彼女達の一団に合流できた。さて、一言目をどうしたものかと考えていたのだが、こういう場面だとお決まりの言葉というものは大体決まっているものだ。


 「おー、飲んでるか?」


 感じとしては、恥ずかしさを昇進と共にどこかに捨てて来た上司だ。彼等は酒という劇物を飲んで日頃貯め込んでいるものを吐き出すから、俺はそうならないように気をつけなければならない。吐瀉物だけじゃなくて金も吐き出してくれるとありがたいんだがな。


 俺の言葉に関する彼女達の反応は、悪くは無いと言った感じだろうか。社長が「今日は無礼講だ」と言った様な空気が流れているが、最初だしこんなものだろ。


 「もう少ししたらレイが舞踏を披露してくれるから待っているといい」


 これに碌な返事が返ってくることはなかったものの、一歩目としては悪くないと思う。ここまで来た労力に見合っていないような気がしないでもないけど、逆に長居すると更に空気を悪くしてしまうのでココで撤退するのが1番だ。


 この後に急遽行われた例の踊りでは彼女達の頬も緩んでいたので、そこまで嫌われているという訳でもなさそうだ。戦争が始まるまでに仲良くなれるといいのだが。

地面に落ちた桜をかき集めてエバノに投げつけようとしていたアクルをシュテルが止めるというネタを考えたものの、アクルにヘイトが集中しそうだったので中断。

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