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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十二章 激甚災害
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夢とロマンを積んで

短いですが、どうぞ

 レイの着せ替えは終わりを見せることは無く、どこかの着せ替え人形もビックリするぐらい何着も着せられた。何処から嗅ぎつけたかギフト、マイン、クローフィの3人までやって来たのも着せ替えの時間が伸びている原因の1つだろう。偶々通りかかったルーチェにも笑われてしまったのは普通に悔しい。


 「エバノ様、普段からその格好で過ごしてみてはどうですか?」

 「そんな冗談はやめてください。着慣れた物の方が楽でいいんですから」

 「冗談じゃないんですけどね・・・。似合ってると思いますよ」


 ルーチェの言葉にレイと3人が相槌をうつ。

 今の俺は鎧の部分を一部取り入れたような服を着ている。よりにもよって俺がデザインした服だ。服は服なんだけど、これは戦闘服・・・というよりはモビルスーツと言う方が近い。擬人化〇ンダムみたいな感じだ。

 膝に鋼の膝当てを付けた灰色のズボン。薄紫の服に、黒の胸当て。両腕には楕円形の小さな盾が取り付けられ、腰にはベルトを付けている。ベルトは鋼と黒の革とを重ね合わせたものが連なったものだ。

 後は黒のマントを羽織れば完成だ。


 「やっぱり、旦那様は黒が落ち着きますね」

 「黒って言ってもだいぶ少なくなったと思うがな。確かに似たような色だが」


 これを機に守護者の服も変えてみようか。今までの様に統一したものでは無く、それぞれのイメージに合わせる様な感じで。だけど労力がなぁ。俺と同じシリーズなら、あと4着あるんだが誰も来てくれないだろうし。

 ・・・取り敢えずはこのままでいいか。考えるの面倒くさいんだよ。


 「元の服に着替えていいか?」

 「ええ。ありがとうございました」


 レイの言葉に頷き、何時もの服に早変わりする。やはり普段着として定着しているコレの方が楽でいいな。心なしか身体も軽い。重量では無くて心の話しな。


 「そう言えば、ルーチェ殿はどうしてこちらに?何やら散策をしているようですけど探し物でも?」

 「いえ、シュヴァルツヴァルトに人を派遣しようかと思いまして」

 「それはまた、急ですね」


 だから朝方『大聖堂』に居たのか?いや、あれは偶然だろうから関係ないか。

 首を捻る俺に、ルーチェが言葉を足した。


 「『果てしない渓谷』に道が出来ましたからノーマリー西部にも人を派遣しやすくなったんですよ。その中継地点として施設を構えれないかと考えてる途中だったんですけど、エバノ様が了承してくれるならすぐにでも実行してもらって構いません」


 あー、なるほど。今までは『果てしない渓谷』を横断出来なかったから、東に迂回してノーマリーに入る必要があったわけだ。それが時間も金も少なくノーマリーに入れるとなったら教会としては布教のし甲斐が出て来ると。


 「私は構いませんよ。『大聖堂』の拡張と、それに伴う区画整理の時間だけ頂けたら」

 「そうですか、助かります。あんなに綺麗な建物があるのに有効活用しないのは勿体ないですからね」


 人が来るとなると『大聖堂』に人が住めるような何かを追加しないと駄目だな。心配事と言えば、ござる口調のスキアーが担当守護者で本当に大丈夫かどうかだろう。周囲から浮きまくりじゃないか?


 □


 翌日、レイと相談して『大聖堂』の中をいじくっていた。

 現在の『大聖堂』は十字型をしているのだが、それを元に他の建物を足していくか、いっそのこと新しく作り直すかを土地と相談して、少しずつ変えて行っている。

 人が住めること。外観、内観ともに清潔であること。元の敷地を上手く利用すること。

 以上の3つが一先ずの目標だ。細かい所はかもめがやってくれるとはいえ、こういうのを考えるのは心が躍る。物理法則の代わりにロマンを積んだ俺は誰にも止められないぜ。


 『修道院大聖堂』と名前を変えた建物の形としては、横に長い長方形だ。ソレを機能毎に建物を区切るとすれば、3つに分けることが出来る。

 ・居住区

 ・聖杯堂

 ・礼拝堂

 上記の様な感じだ。

 聖杯堂とはなんぞや・・・?うん。その気持ちは分かる。今回は分かりやすい所から説明していこう。


 まず、居住区。これは正方形よりの長方形をしている。

 3階建てで、1つ1つの部屋が結構大きい。最初はアパートみたいな部屋の割り方をしてたんだが、ルーチェから「共同生活を大切に」とのお言葉を貰ったので2、3人が住めるような広さになっている。


 次に礼拝堂。聖杯堂は最後だ。

 大きさは居住区と殆ど同じで、正面から入って右に行けば礼拝堂に行ける。居住区はまた別に入口を作った。

 中のイメージとしては、ベンチが並んだ、画像検索をそのまま持ってきたかのような感じとなっている。天井が高く、『大聖堂』にあった花の形に組まれた影はここに移動となった。


 最後は聖杯堂だ。

 これは、本当にもう頑張った。よく1日で出来たと自画自賛してしまう程に頑張った。

 本体は円形で、吹き抜けの塔のような見た目をしている。

 1階には、地下へのエレベーター、それぞれの種族の姿を掘った10の柱が円を描くように並んでいる。

 2階の中央には1階の柱に乗っかるような形で大きな器があり、周囲から器に向けて何本か道を伸ばした。この階の壁に俺や守護者の姿のステンドグラスが配置されている。

 3階はシンプルで、浮島が1つだけだ。浮島から出た水が2階の器へと落ちてゆき、質量保存の法則を無視して一定の水位までしかたまらない。

 4階は屋根。つまりは何も無い。


 左から、居住区、聖杯堂、礼拝堂の順で並んでいる。

 地下へのエレベーターが『修道院大聖堂』の出口からだいぶ離れてしまったが、まぁ、俺は満足だ。

 外観は白色なんだが、中は青っぽい。これは単に俺のイメージが先行しているだけで、明かりが無いとかそういう訳ではない。装飾としては、金やら何か分からない奴とかが色々と施されている。


 大体はこんなもんだろ。

 ついでだし亜人に渡す魔道具も見てくれ。数をばら撒くと後片付けが面倒だから1つに纏めたんだが、性能がおかしな事になってしまったかもしれない。


 見た感じは、ただの王冠。

 効果は、『威圧』、『指揮』、『連携』、『全魔法反射』の4つ。

 見ただけで分かる。これはヤバイ。ここまで効果が着いた魔道具も無いだろうし、亜人の群れの規模も今まで以上のものになるだろう。

 コレによって出来た群れを帝国に誘導するのは簡単だから俺は笑ってられるが、帝国側にしてみれば災害でしかない。

 アッチはあっちで色々と戦力があるみたいだから潰してしまうか。


 というわけでルーチェの所に最終確認に来たわけだが・・・。


 「誘導は任せますからやってしまってください。それよりも私は大聖堂を見回ってきます」


 とのことなので彼女にギフトを付けて、俺はブリッツと一緒に『果てしない渓谷』へと向かう。

 『幻術』を使って誘導するわけだ。


 「頼むぞ、俺はドサクサに紛れて王冠刺してくるから」

 「わかりました。どこら辺まで移動させれば?」

 「西の方へと行く流れを作るだけでいい。後はやっておくから」


 んじゃま、適当に挑発してやりますか。

現在のシュヴァルツヴァルト。西側の森にシュテルの大木があるはずですが、森だし間違えてはいないかなと省略。

挿絵(By みてみん)


修道院大聖堂の聖杯堂内部。

挿絵(By みてみん)


分からない、分かりにくい、説明して、等がありましたら感想、Twitter、メッセージの方までよろしくお願いします。

出来る限り対応します。

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