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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
一章 虚々実々
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チウチウ、モスキート

 食事まで時間があるのでクローフィの技能について話を聞く。


 「『吸血』で吸血鬼を増やせるって事は、俺もなれるのか?」

 「なる事は出来ますが、デメリットが伴います」


 吸血鬼に成るにあたり、メリット、デメリットがあるそうだ。


 メリットは、死なない事。

 技能の『再生』が無くても、ある程度の治癒能力が働くようだ。


 デメリットは、弱点が増える事。

 陽の光に弱くなり、『光魔法』や、俗に言う聖職者に苦手意識をおぼえる。

 おぼえるだけで、一撃でも食らったら死んでしまうとか、そういうのは無い。


 デメリットに関しては、ダンジョンの外に出ないので問題は無いような気がする。

 俺が魔法を受けるのは本当に最後だろう。


 「それとあと一つあるのですけど・・・」

 「どうして口ごもる?」

 「エバノ様は恐らく寿命で亡くなられる事は無いと思います」

 「何故だ?」


 どうやら『人宮一体』が仕事をしたようだ。

 説明文の一行目に、『技能の持ち主はダンジョンと共にある』と、書かれている。


 文の本当の意味は、寿命がリンクするどころか、ダンジョン内ならば何でも出来る。俺がダンジョンであり、ダンジョンは俺だと言う事だ。


 このダンジョンの歳は0歳2日。まだまだ若いダンジョンだ。

 ダンジョンはダンジョンマスターが死ぬまで機能を止めない。『人宮一体』を持っている俺はダンジョンに寿命が無いように、寿命に縛られる事は無くなった。

 つまり、ダンジョンを突破され、殺されない限り俺は死なない。


 「つまり吸血鬼になるメリットがそんなに無いのか」

 「そういう事になります」


 治癒能力は欲しいんだがなぁ。

 そう思っていると、また、クローフィが歯切れが悪そうに口を動かしていた。


 「今度は何だ。この際だハッキリ言ってしまえ」

 「はい、その・・・。『人宮一体』のおかげでダンジョンと一体化しましたよね」

 「まぁ、そうだな」

 「ですのでダンジョン自身の歳に引っ張られて、エバノ様も若くなっておられるといいますか・・・」


 その言葉と共に、『ストア』から鏡を購入して自身の顔を見た。

 その顔つきは俺が高校の時によく見たものだった。

 クローフィの言い方だと、表面的な事以外にも変化があるのか?


 「コレは・・・ラッキー、なのか?」

 「幼いと、相手に舐められるのであんまりラッキーとは言えないのでは・・・」

 「・・・」


 沈黙が俺達の間を行き交う。


 どうしよう。ヴェーデに舐められて無いだろうか。

 そうなってしまえば予定が狂う可能性があるのだが。


 「取り敢えず夕食にしようか。考えても仕方ない」


 (夕食にしよう)

 (かしこまりました)

 (かしこまりましたわ)


 ギフトとマインにも連絡して食堂に向かう。

 五人での食事になるのかな?椅子を増やしておこう。


 箸を使わずに食べられる料理は何だろうか。

 麻婆豆腐、チャーハン、オムライス。

 今浮かんだのでも凄い黄色になってしまうな。どうにかならんのか。


 夏野菜カレーにでもしよう。季節が分からないのがネックだが。


 ヴェーデにクローフィを紹介して食事を済ませた。


 マインの従者の数が6体に増えていたので、戦力の確認をしてみようと思う。


ギフト(公爵『第一階層統括公位』)

マイン

クローフィ

ライトアーマー×6

マナフライ×15

毒小蜘蛛


 マインとクローフィにも爵位を授けた方が良いだろうか。

 『一階層』の大広間に三人とも呼んで爵位授与式をしよう。

 何て、名前にすればいいんだろうか・・・。


 場所は変わって、『一階層』大広間。いつもは『守護者創造』で使っている部屋だ。


 マイン、クローフィが俺に対して膝を付いており、その他のメンバーは両脇で待機している。

 『謁見の間』で(おこな)っても良かったのだが、ヴェーデが逃げた時に直ぐに対処出来ないのでこの部屋に居るわけだ。


 「守護者マインを候爵、『戦力指揮統括候位』に任命する。有事の際には、指揮をとる様に。また、戦力増強に努めよ」


名前 マイン

HP98(+40)→138

MP148(+40)→188 ※最大値を示す


・証

候爵『戦力指揮統括候位』


・技能

鼓舞[熟練度--]制限

指揮[熟練度0.01](+2.00)

従者創造[熟練度0.06]

指導

MP消費削減

MP増加


・候爵『戦力指揮統括候位』

ダンジョン内の戦力の指揮統括者。

有事の際には現場に立ち、指揮をとる。

技能『鼓舞』『指導』の付与。戦闘時、技能『指揮』の熟練度にボーナス +2.00 。『指揮』を持っていない場合、技能に『指揮』が制限付きで付与される。

付与された能力は成長せず、制限が掛かる。


・鼓舞

戦場の戦士を応援し、一時的に攻撃力にボーナスを得る。


・指導

教えるのが上手くなる。

技能の習得期間が半分になる。


 攻撃力?鑑定にそのような表記は無いが・・・。隠しステータスか何かだろうか。


 「守護者クローフィを候爵、『宮廷魔導師指揮統括候位』に任命する。魔法が使えるのは現在お前一人だが、活躍を願っている。」


名前 クローフィ

HP185(+40)→225 ※最大値を示す

MP235(+40)→275 ※最大値を示す


・証

候爵『宮廷魔導師指揮統括候位』


・技能

剣術[熟練度0.00]

幻術[熟練度0.00]

指揮[熟練度--]制限

再生[熟練度0.00]

身体能力強化[熟練度0.00]

従者創造[熟練度0.00]

火魔法[熟練度0.00]

風魔法[熟練度0.00]

吸血

指導

水反射

MP消費削減→MP消費半減

MP増加


・候爵『宮廷魔導師指揮統括候位』

ダンジョン内の魔法使いの指揮統括者。

魔法使いの育成。魔法の習熟が主な目的。

有事には戦闘に参加する。

技能『指導』『MP消費削減』の付与。

戦闘時、技能『指揮』の熟練度にボーナス +2.00 。『指揮』を持っていない場合、技能に『指揮』が制限付きで付与される。

付与された技能は成長せず、制限が掛かる。


・MP消費半減

『MP消費削減』が二つ重なり発現した。

MPを消費する技能を使用時、MP消費を半減する。


 授けた爵位は適当である。特に決めてある訳では無いが、順列をピラミッドの様な形にしていけたらな、とは思っている。


 マインもクローフィも大幅な成長だ。

 何より『指導』が付いたのが大きい。

 これで、我が軍はあと10年は戦える!・・・10年以上続けばいいがな。


 さて、今日はもう寝よう。

 マナフライを呼び寄せてMPを回復させる。

MP52(+105)→157


 そろそろ布団かベットが欲しい。お客を床で寝させるのもどうかと思ってたし、何より俺が耐えられない。

 ヴェーデの部屋をノックして返事が返ってから中に入る。

 起きているのは分かっているが、礼儀は大切だ。


 「何用でしょうか」

 「ベットを置きに来ただけだ。床は辛いだろうと思ってな」


 日本製のベットを探していたのだが、内観を壊すかと思い、西洋風の天蓋付きのベットを購入した。

 敷布団やら掛け布団もセットになっているので問題無い。


 ただ、MP消費が80とか言う、クソな値段なので今日は気絶して朝を迎えるとしよう。いつも通りか?


 ヴェーデの部屋を後にして『謁見の間』に来た。

 場所が無いのでココにベットを置く予定なのだが、一つ問題がある。


 「何で三人とも付いてきているんだ?」


 ギフト、マイン、クローフィの三名が俺の後を付いて来ているのだ。

 三名ともベットで寝たいので、俺の温情待ちをしているらしい。

 MP80の天蓋ベットだが、寝れても三人が限界だ。

 つまり、俺がハブられるわけだ。


 まぁ?三人とも俺の好みだし?世の中が美人に優しく創られてるのは分かってますけど?

 ・・・ココ、俺のダンジョンだろ?


 大人しく玉座で寝るとしよう。


 ベットを購入しようとしたら、クローフィからストップが掛かった。


 「・・・なんだ」


 何も言わず、カプッ と首筋を噛まれた。

 ・・・大きいのを買えと言うことですね、分かりました。


 結果、四人で寝ることになりました。

 普段着ている服装でベットで寝るわけにもいかないので、服を脱ぐのだが、そこで一悶着。


 「俺も若くなったみたいだし。その、・・・色々と耐えられんのだが」

 「「「別に構いません(わ)(けど)」」」


 そんな感じでゲフンゲフンな夜を過ごして寝る前に思った事がある。


 (いい加減、風呂創らないとやばいかも知れない)


 □


 朝か。そう思い目を開けると見知らぬ空間に居た。


 石造りの部屋に石柱が立ち、豪華な装飾もなされている。

 ダンジョンにこんな部屋は創った覚えは無いし、守護者は俺に対して攻撃的な行動は取れない筈なのだが何があったのだろうか。


 「俺を生き返らした神が出てくるのがテンプレ、って所かな」


 思考の末、そう結論付けたはいい物のどうしたものか。

 この場を動くべきか、否か。

 『人宮一体』も音沙汰無しなのでダンジョンでは無いのは分かる。


 「神が居るなら応えてくれ。俺の名前は畔木(くろき)(かもめ)。俺の推測で話を進ませてもらうが、アナタは俺に再び生きる機会を与えてくれた。それは本当に感謝している!アナタに恩返しをしたいが、俺はそんな大層な力はまだ持ち合わせていない。(いず)れは力を付けて恩を返させてもらう!コレは絶対だ!!この言葉がアナタに届いている事を心から願っている」


 一通り探索も終えたので、居るかも分からない神に言葉を告げる。


 こうして生き返らせて貰ったが、DMOに所属してしまったのは俺のミスだ。

 この謎の場所が神域であるならば、俺と神との間には関係があるのは明白。


 それがDMOとどう関係してくるのかは俺には分からない。

 だが、俺の寿命は無限。力を蓄え、DMOを脱退。他のDMO未所属のダンジョンと連絡を取るも良し、独立するも良し。

 神事に携わるには時間が掛かるだろうが必ず恩を返してみせる。


 そうして空間全域に霧が掛かり、俺は霧に溶けて行った。


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