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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十一章 捲土重来
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精鋭よ集え

 天使、シュヴァルツヴァルト、両者の会議から数日が経った。

 レイの階層には各地の精鋭が集い、その牙を磨いでいた。ここまでくれば彼等が話し合うことは無い。敵は群れているのだ、何処に何をしても当たる。ただひたすらに殺す。それだけだ。


 「ルーチェ様・・・、お久しぶりです」

 「久しぶりですね。レイ様」


 その中でルーチェはレイと顔を合わせていた。

 2人の話す内容はエバノの事ばかり。こうして2人だけで顔を合わせるのは初めての事であったために距離を図りかねているのだ。

 共通の話題と言えばエバノの事しかない。だが、ルーチェがレイに話しかけたのには理由がある。


 「・・・、ところで、主天使の証を受け継ぎましたか?」


 これがその理由。

 エバノ無き今、新たな主天使が出てきている筈だ。新たな天使が出現すれば智天使であるルーチェがそれを感知する。ダンジョンの出現を感知出来るように、彼女には技能とは別にそういう能力を持っている。

 その彼女が今回は感知できなかった理由を探る為にレイに近づいたのだが、結果は空振り。

 ここに居るダンジョンマスターに聞いても主天使は居なかった。


 天使になるためには幾つか条件がある。

 1つ、天使に相応しい実力があること。

 1つ、周囲に与える影響力が一定以上あること。

 1つ、人格に問題が無いこと。

 基本的にはこの3つ。後は神への信仰心だとか色々と加味されるものの、時と場合によってコロコロと変わっていく。


 要は、ここのダンジョンマスターに主天使が居ないとすれば、次の主天使はダンジョンマスターではないと言うこと。

 では主天使は何処に?


 「・・・まさか。いえ、そんな事は有り得ませんか」


 ルーチェは一息つくと一団の中に入って行った。


 ここで一団の面々を紹介しよう。

・グラキエス教国

智天使 ルーチェ・クルイロー

権天使 フェーデ・クレデンテ

グラキエス教国聖騎士団13名


・レクタングル王国

天使 純血の山人(ドワーフ)10人

大天使 小人(ホビット)


・ルーマンド

能天使 森人(エルフ)

力天使 人魚

熟練の魔法使い11人

(さざなみ)の聖歌隊15人


・ラフライン

座天使 ビアンコ

成竜


・シュヴァルツヴァルト

住人含む全ての守護者


 数は限りが悪いが、人数を絞るとどうやってもこうなってしまうのだ。

 そして、上記に入っていない人物が1人。その人物は一団と離れた所で座っていた。


 「・・・」


 目を瞑り、死んでいるかの様に動かない人物の名前はリアス。

 果たして諸君等は覚えているだろうか。名前だけはチョロチョロと出るものの、出番がこれといってない彼である。

 彼もまたこの戦いに呼ばれていた。ルーチェ同様にエバノの死を惜しむ事は無かったが、リアスの内では熱い思いが渦巻いていた。静かに(いか)れる彼の出陣の時は近い。

 目を覚ますと真っ暗だった。しばらく待ってみても目が慣れる気配はしない。完全な闇だ。

ったく、何で電気が消えてるんだ?何時もならかもめが明かりを調整してくれる筈だが。

 俺の方から操作しようにも弾かれるし何かあったのだろうか。


 「『着火(イグナイテッド)』」


 魔法を唱えても発動することは無く、俺のMPが反応した感じも無い。

 どうなってるんだ?このままじゃクローフィに怒られるぞ。


 まぁ、仕方ない。使えない時は使えないもんだ。

 適当に納得し、取り敢えずは自室に飛ぼうかと技能を発動させるも、こちらも魔法と同じ様に発動する事は無い。


 んー、もしかして技能とか全部失ってる?

 少なくとも、魔法、ダンジョンマスター関係は全滅している。

 ダンジョン内の地図も頭に浮かばないし、守護者との念話も繋がらない。

 ここがシュヴァルツヴァルトだということは何となく分かるんだけどな。

 今は動くなってことか?身体も何か重く感じるし大人しく忠告に従っておくとしようか。


 「かもめ、見てるなら適当に起こしてくれよ。何かの途中だった気がする」

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