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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
一章 虚々実々
10/145

血の吸血鬼

 気絶から目が覚めた。

 どうやら『謁見の間』に居るようだ。

 誰かが運んでくれたのだろう。あの状況から言えば、運んだのはヴェーデだろうか。

 女一人の力で俺を運べるとも思えないので、守護者の誰かかも知れないな。


 プレゼントボックスを開封し、頼んでいた衣装に着替える。

 中々に肌触りがいい。今まで着ていた服はどうしようか。玉座の裏にでも置いておくとしよう。


 今のMPは100。自然回復ではこれ以上行かないのは確定だな。

 マナフライを増やしてみるか。最近少しばかり気絶しすぎな気がする。

 マナフライを新たに6体を創って、総数は15。一匹当たり7のMPを譲渡してくれるので、最大で105。コレで余裕を持って守護者を創れるな。

 まぁ、現在のMPは34なので何も出来ないが。


 (マイン。来てくれ)

 (かしこまりましたわ)


 マインの『従者創造』の技能が見たかったので呼び出す。

 しばらくした後、彼女が姿を現した。


 「呼んだのは技能を試して欲しかったからだ」

 「『従者創造』でしょうか?」

 「そうだな。試してみてくれ」

 「では、・・・」


 言葉と同時に、彼女の周りに三つの光の玉が浮かび上がった。

 玉は少しずつ大きくなっていき、人の形、正確には騎士を姿をどっていた。

 何処かシュッとした造形のフルプレートを纏った三体の騎士たちは腰に携えた剣を引き抜き、各々の眼前に掲げ、膝をついた。


名前 : ライトアーマー

種族 : 眷属

HP150

MP0


・技能

剣術[熟練度2.00]固定


 今居る守護者メンバーでは一番強いのかな?

 成長しないようだが、悪くは無いだろう。


名前 : マイン

種族 : [陸]

HP98

MP148→28


・技能

指揮[0.00]

従者創造[0.03]

MP消費削減

MP増加


 MPの残りが気になってマインも鑑定してみた。

 素のMPは98。そこに『MP増加』で +50 されている。

 『従者創造』の消費MPは120。従者が三体居るので、一体辺り40のMPを使っている。


 『MP消費削減』が働いていても三体が限界か。


 『従者創造』だが、創造した個体は死ぬまで残っていて、それに関するデメリットは無い。

 消えるまでMPを消費し続ける、なんて事も無いわけだ。


 ギフトの『剣術』の熟練度を上げるために訓練でもさせてみるか。

 守護者が経験を積むことで技能を習得するかどうかも確認しておきたいので、頭のメモ帳に留めておく。


 グゥ


 マインを『一階層』に帰して少ししたころだろうか。お腹が鳴った。そういえば何時何だろうか。

 気絶してばかりで時間の感覚がチグハグしている。


 「ストア」


 ストアで時計を探す。腕時計でも構わないが、風情を守るために銀の懐中時計を購入する。

 俺のロマン要素が入っていない事も無い。


 他にも何かないかと探していると、[本屋]がある事に気付いた。

 魔法書や地理書、伝記など、数多くの本を売っているようだ。


 魔法書は魔法の教本の様なもので、読めば使えるようになるらしい。

 俺には『守護者創造』があるのでらMPを余らせる事は今の所そんなに多くない。

 技能で魔法系の守護者を創造して教えてもらった方が効率が良さそうだな。


 地理書が欲しかったのだが、1000とかいう馬鹿げた値段だったので諦めることにした。

 何時かは欲しいものだ。


 ストアを終了し、懐中時計を確認する。

 時刻は12時48分。昼食にしようか。


 (ギフト、昼食にするぞ。マインとヴェーデを連れて来い)

 (かしこまりました)


 昼はパスタにしよう。

 飯代のMP消費も洒落にならないんだが、どうしようか。

 種から育ててみるか?土地が無いので当分先の話になるだろうが、実現可能だろう。

 服の素材も自身で賄えればDMOを退団してやるのだが・・・。


 先に食堂に行き席に着く。

 しばらくして三人がやって来た。ライトアーマー達、従者は食事が必要無いようだ。便利でいいな。


 今回はヴェーデも上手く食べれている。

 食事はこちらの方が一般的な物なのだろうか。

 洋食を食べる分には何も問題は起こっていない気がするのだが。


 「ヴェーデの国ではどの様なものを主食としているのだ?」

 「そうですね。パンやパスタを中心に食べていますね」


 パンやパスタの元は小麦だったか。

 と、なると洋食に近いのかな。


 「交渉の件だが、何時頃来ると思う?」


 これは気になっていた所だ。コチラにも用意があるので、簡単な日時だけでも分かればありがたい。


 「畔木さんのダンジョンは一番近い街から一日掛からずに到着できます。ですので、早くて今日の午後か明日になると思います。街から王都までは数日掛かりますのでそれ以上になる可能性もあります」

 「まぁ、急ぎはしないし大丈夫だろう。コチラとしても都合がいい」


 今日来られると少し困るが、相談することもあるだろうしもう少し時間が掛かると思う。その間に準備を進めるしかないか。


 「分かった。話は終わりだ」


 食堂から出てギフトを呼び出す。

 彼女に服を買ってやりたいのだが、下着や肌着は何を買えば良いのか分からないので自分で選んでもらいたいのだ。


 「リストが見えないのですが」


 まさかの事態だ。ギフトはダンジョンマスターでは無いのでリストが見えないとの事。


 「お前の下着を俺が選べと?」

 「マインのは選んだのでしょう?」


 痛いところを突かれた。

 マインのも確かに選びはしたが、アレは適当に選んだというか、男女兼用のカボチャパンツを買ったのであまり気にならなかったのだ。


 「・・・サイズだけ教えてくれ。どうなっても知らないからな・・・・・・」


 ギフトからスリーサイズを聞いて購入リストに追加していく。

 女性物の服なんて勝手が分からないから質問してばかりだったが仕方ないだろう。


 彼女は暗殺者をイメージして創っているが、どんな感じの服装が合うだろうか。

 暗器使いはチャイナ服のイメージがあるのだが、ギフトには合わないので却下。


 そして、結果・・・


 「マスターの趣味がよく分かりました」

 「止めてくれ。ライフがすでにマイナスに突入してる」


 俺と大体同じ服装を選んだのだが、唯一違うのがベストでは無く、黒のノースリーブジャケットを来ているという事だ。


 それは大丈夫なのだが、問題は下着である。

 どうせなら綺麗な物を、と思って淡い空色の下着を購入したのだ。

 だが、思っていたよりも薄い生地だったようで透けるのだ。何がとは言わないが。

 それでこんなに悶えているわけである。


 □


 午後からは『一階層』の内装を整えたり、マインの服装を揃えたり、MP回復を待って玉座に座っているだけだったので割愛させてもらう。


 結局、今日の内に話し合いの人間は来なかった。事前に連絡をくれれば楽だというのに。



 さて、現在のMPは197。時刻は午後5時を過ぎた頃だ。

 既にマナフライのMPは譲渡済みなので、新しい守護者の創造をしようと思う。


 数を補いたいので、マインと同じように『従者創造』の技能を持った守護者を創ろうかと思っている。

 それぞれに個性を持たせたいので、全く同じ守護者を創る気は無い(人以外は別)。

 じゃあ、創造を始めていこう。


・自身で創造

・ジャンル選択[死]

・造形『人型(女)』

・細部詳細 技能『吸血』『剣術』『幻術』『再生』『身体能力強化』『従者創造』『火魔法』『風魔法』『水反射』『MP消費削減』『MP増加』

 消費MP185


 俺が知ってる吸血鬼のイメージで技能を組んでみた。

 初めてジャンルを[死]してみたが、どう反映されるのか。ここで思考を読み取る機能が発動していなければ『吸血』を封印して過ごしてもらおう。


 魔法を教えて欲しかったので、そういう技能を付けたかったんだが、MPの問題で付けられなかった。

 別にコストが高いわけじゃないんだが、付けてしまうとMPが10を切るので今回は見送りだ。

 夕食も近いので気絶する訳には行かないのである。


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『クローフィ』


 現れたのはセミロングの銀髪の女性だ。セルリアンブルーの猫目で、睨んでいる様に見えるが、これが素である。

 肌は思っていたよりも白く感じる。俺の思考が無事に反映されているなら、この白さはジャンルが原因だろう。


 「クローフィ。『吸血』を使っても問題ないのか?」

 「エバノ様、貴方様の想いは存じています。問題はありません」


 彼女が言うならいけるんだろう。

 それよりも、まさか偽名の方で呼ばれるとは思わなかった。


 「慣れておかれた方が良いかと思いましたので」

 「・・・そうだな。そうしてくれ」


 表情に出ていたのだろうか。クローフィの方から疑問に応えてくれた。

 MPを22残しているが、それでも身体が怠くて仕方ない。

 マナフライ増産で余裕が出来たと思った矢先にコレである。どうにかならないのか。


 「服はそうだな・・・済まないがギフトの着ていた物を使ってくれ」

 「それには及びません。折角ですので『吸血』を試してみましょう」


 そう言って玉座に近づいてくるクローフィ。

 彼女の顔が俺の首筋に伸びていき、カプッ、と食いついた。

 特に痛みを感じる様な事は無い。むしろ気分は良いほうだ。


 少ししてクローフィが顔を上げた。


 「私の方からMPを渡させて頂きました。それで服を購入して頂けませんか?」

 「そういうことか・・・分かった」


名前クローフィ

HP185→195

MP235→75


名前 畔木 鴎

HP100→90

MP12→172


・吸血

対象の首筋に噛みつき、HP、MPのやり取りを行う。

この方法で吸血鬼や従者を増やす事も可能。


 吸血鬼と言えば『吸血』だよな。と、軽い気持ちで付けた技能だったが、思わぬ収穫だ。

 HP、MPの譲渡を自由に行えるが、種族や種類によっては使えないものも居るそうだ。


 取り敢えずクローフィに服を購入して渡しておこう。

 彼女のもお揃いだ。

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