第2章
第2章
〜和也との出会い〜
ある日
美香は理沙と二人でバスに乗っていた
しばらくすると
二人は思わぬ人を目撃した
それは
髪の毛を輪ゴムで二つにくくって歩いている
二人の男子高校生だった
そしてバスがその二人を追い越していくと
二人とも顔に落書きをされてあった…
すると美香と理沙は
こんな会話を始めた
美香
「え?なにあれ?」
理沙
「え〜、ありえないんだけどぉ〜!」
美香
「やばくない?」
理沙
「かなりやばい!」
二人はお腹を押さえて笑いながら帰った
次の日
学校で友達と昨日見かけた二人組の話でもちきりになっていた
美香は
あの二人組がなぜあんな格好をしていたのかが
気になってしかたなかった
するとこんな会話が
美香
「あの人達いじめられてるのかなぁ?」
理沙
「それにしては笑いながら歩いてたよね!」
美香
「あ〜、そっか!」
理沙
「私あの高校に友達がいるから一度聞いてみる」
美香
「そうだよね、気になるよね…あの二人!」
それからは
毎日のようにあの二人を見るようになった
変な格好をしている時もあれば
なにもせずに普通に歩いているだけの時もある
美香はいつのまにか
あの人二人を見るのが楽しみになっていた
一週間が経った頃…
理沙が友達に
あの二人のコトを聞いて
美香に教えてくれた
理沙
「黒髪の方が中島 崇で、茶髪の方が前田 和也だってさぁ〜」
美香
「そうなんだぁ〜!」
理沙
「なんか学校でも馬鹿な事ばっかしてるみたいだよ!」
美香
「そうなんだぁ〜!」
理沙
「まあ学校では面白いって人気があるらしケド」
美香
「そっかぁ〜!じゃあよかったね〜!」
理沙
「なにが?」
美香
「あ〜、えっと…いじめられてなくて!」
理沙
「あ〜、そうだね!」
美香は
あんな格好で街を歩けるなんて、すごい度胸がある人達だと思っていた
そしていつのまにか
茶髪の和也くん…よく見ると…かっこいいじゃん!
と思うようになっていた
美香がある日
一人でバスに乗っていると
いつものようにあの二人が歩いている
しかも崇の方が
なぜかシャンプーハットをかぶっているではないか
美香は思わず
「シャンプーハット?」
と言ってしまった
美香はその二人を
バスの窓にしがみ付くように見ていた
そしてバスが信号待ちをしていると
ちょうどその二人が歩いてきて信号で止まった
バスから二人の姿を覗き込む美香…
すると二人の会話が聞こえてくる
崇
「次の信号でジャンケンしようぜ!」
和也
「わかった!じゃあまた負けた方が…」
バスが走りだしてしまった
バスを降りて電車に乗った美香は…急に笑いが込み上げてきた…
それは思い出し笑いだった
一人で電車に乗ってるのに笑いだしたら
頭のおかしい奴だと思われてしまう…
そう思った美香は
必死で笑いをこらえていた
次の日学校で
理沙にそのコトを話す
二人は爆笑していた
その日は
理沙と二人でバスに乗った
しばらくすると
またいつもの二人組が歩いている
今日の二人は普通の格好をしていた
理沙は
二人を見て笑っている
その横で美香が
やっぱり和也君かっこいいなぁ〜!
一度話してみたいなぁ〜
そんなコトを思っているとボソっと
「かっこいい〜」
と言ってしまった!
すると理沙が
「えぇ〜!もしかして美香…あの二人のどっちかが…好きなの?」
美香は一瞬慌てたが
こうなったら仕方ないと
思い切って理沙に言った
「私…もしかしたら和也君がスキかも!」
理沙は
「えぇ〜!」
と驚いた顔をしている
それから
電車に乗ってからもずっと理沙は
「やめといた方がいいと思うよ!」
と説得してきた
家に帰った美香は
一人で考えはじめる…
理沙の言ってるコトもわかるような気がする
理沙からすれば…
なぜあんなおかしな人をスキになったのかな?
と思うだろう…
でも私は和也のコトが間違いなくスキだと思う…
まだ話した事もないケド…
よし!明日話そう!
美香は勝手にそう決めた
そして次の日
いつもより少し早めにバス停で待っていた
すると向こうからあの二人が歩いて来る
やばい!と思った美香は
とっさに下を向いた…
二人がバス停の前を通り過ぎると
美香は二人に見つからないように後をつけた
しばらくすると
二人が立ち止まって話をしはじめる
美香は今だ!と思い
まるで普通に歩いて来たかのように
二人に近づいて行く…
距離が近づくにつれて
緊張が増してくる…
あと3メーターという所まで近づいた時
和也の背中に白い紙が貼ってあるのを見つけた…
その紙には何か書いてあったのだが
美香は緊張しすぎて読めなかった…
美香は思いきって二人に声をかける
「何か付いてるよ!」
美香は緊張で震える手でその紙を剥ぎ取った!
そしてその小さい紙を和也に手渡した
美香はもう緊張が爆発しそうで
まるで体中が心臓になったみたいにドキドキしていた
このドキドキの音が二人に聞こえてるんじゃないかと思うほどだった…
すると和也は言った
「ごめん…ありがとう!」
すると美香は
「うん、いいよ!」
と言ってすぐさま歩きだした…
もっと話したかったケド
なぜか恥ずかしくなって歩きだしてしまったのだ…
でも…
なんか優しそうな人だった
美香は歩きながら
間違いなく和也がスキだと確信した…
美香は和也の
「ありがとう」の声を何度も思い出しながら帰った
そして3日後…
理沙は美香の気持ちをわかってくれた
二人は作戦をたてる…
今日もバスに乗って
もしあの二人がいつものように歩いていたら
次のバス停でバスを下りて話しかける…
*(あくまでも変な格好をしてなかったらの話)
そういう作戦だった…
いよいよ二人が
バスに乗ったその時…
なぜか後方の席に和也が一人で座っていた
しかも美香のコトを見ていたのか目が合った…
美香はドキっとして固まってしまった
すると
理沙が固まった美香の腕を引っ張って
和也の前の席まで連れていってくれた
そしてその席に二人で座ったのだった…
しかし
いきなり話しかけるのは
おかしいし…自分のコトを覚えてるかどうかもわからないし…
あまりにも突然すぎて
まだ心の準備ができてなかったのだ
美香の緊張が増してくる
すると和也が
美香の肩をトントンと叩いてきた
少しビクっとなった美香は振り返った
和也がこう言った
「あの、この前はありがとう!全然気付かなくて」
すると美香は
「あ〜!うん…」
と言った瞬間に恥ずかしくなってなぜか前を向いてしまった…
美香は正直やってしまったと思った…
理沙が美香の腕をツンツン押してくる
もうこれはいくしかないと思った
すると
和也はもう一度
「ねぇねぇ!」
と声をかけてきた
その瞬間に美香はばっと振り向いてこう言った
「前田 和也君だよね!」
「私、上原 美香っていいます!」
和也はびっくりした顔をしてこう言った
「え?!何で俺の名前知ってるの?」
すると
美香のマシンガントークが始まってしまった
和也は
「あの…」と混乱していた
美香の勢いは止まらない
理沙が
「ちょっと美香?」
まるで聞こえてないみたいだった
美香の横で理沙がポカァ〜ンとしていた
そんな事に気付くはずもない美香は
しばらくマシンガントークを炸裂さしていた
そしてバスは美香達が降りる駅に止まったが
美香の勢いはまだまだ止まらない
ドアが閉まり
バスが発進してゆく
さすがに和也が
「いったん落ち着こう!」
と言った
すると美香は
「あっ!ごめん!」
と言って
電池が切れたかのように止まった…
美香はさらに
やってしまったと思った
和哉が笑いながら言う
「俺らがいつも馬鹿みたいに変な格好してたから気になってたんだね
そっかぁ〜、バスから見られてたんだぁ〜!
あはは!なんか恥ずかしいなぁ〜!」
するとバスは駅に到着していた
三人がバスから降りると
和哉が言った
「じゃあ、またねぇ〜」
美香と理沙も
「バイバイ」と和也に手を振った
和也は駅に向かって歩いて行く…
美香と理沙は
自分達が降りるはずだった駅に向かって歩いていた
すると
こんな会話を始める
美香
「私…ひどかった?」
理沙
「うん、残念ながら…和也君は冷静に聞いてても
ほとんど…
わからなかったと思うよ
あんな美香はじめて見たからびっくりしてさぁ〜!」
美香
「やっぱり?私どうしたらいいの〜!」
理沙
「でも過ぎたことは仕方ないから…
まあ次に会った時に
ちゃんと話せるように頑張ればいいんじゃない?」
美香
「そうだよね!それしかないよね!
じゃあ私頑張る!」
そんな事を言いながら
二人は帰っていった…
次の日からも
和也達を見つけては
はしゃいでいた
するとたまに自分達が乗っているのに気付いてくれる時があった
信号待ちでバスが止まっていると
横に和也達がいた
どうしようかと思っていると、和也達もこっちを見ていた
美香は恥ずかしかったが、勇気をだして笑顔で手を振ってみた
すると和也も手を振り返してくれた
美香はすごく嬉しかった
これからは
緊張しないでごく自然に
友達みたいに和也達に接しようと思った
それからは
和也達を見かけるたびに手を振ってあいさつした
するとそのうち
崇も一緒に手を振り返してくれるようになる
美香と理沙は毎日が楽しくなっていった
それから
数日が経ったある日…
その日は雨が降っていた…
美香と理沙は
「雨の日はバスに乗る生徒が多いから、たぶん今日は座れないね!」
と話していた
バスが来て
二人が乗り込むと
その中に
和也達が座っていた
美香は自然に
「あ!久しぶり〜」
と言って和也達に近づく
すると和也は
「おっす!」と言って手をあげてくれた
そして美香達に席を譲ってくれたのだ
美香は
和也ってやっぱり優しい人なんだと思った
美香はこの前の事を和也に謝った
美香
「この前はごめんね!一方的にべらべら喋っちゃって」
和也は
「気にしてないよ、それに楽しかったしね!」
と言ってくれた
それから会話は楽しく弾んでいった
その時にみんなで
携帯番号とアドレスを交換しあう…
理沙もこの頃から
崇が気になっていっいた
それからは
休みがくるとよく4人で遊ぶようになる
美香はどんどんお和也をスキになっていった
ある日、美香は
理沙から相談を受けた
それは崇のコトだった…
理沙は本気で崇がスキになっていたのだ
2ヵ月ほど経った頃
崇と理沙が美香より先に付き合いはじめた
そして美香と和也は
いつも崇と理沙に早く付き合えばと言われていた
その夜
いつものように和也から電話がかかってきた
しばらくの間
楽しい話をしていると
和也が
「そういえば今日も崇達に早く付き合えって言われたね!」
と言ってきた
美香は
「そうだね!あの二人はラブラブだもんね!」
そしてすぐに
「あ!そういえばあれ…」
と話題をかえてしまった
美香は告白されそうな雰囲気になると
なぜかいつも話をそらしてしまう…
美香は今まで付き合ったことがなかったのだ
だから
なぜか告白の予感がするとこわくなって
自分から避けてしまうのだ
なんでだろう?
こんなに和也がスキなのにどうして?
美香は自分で自分がわからなくなっていた…
そんなある日
今度の日曜日に4人で
遊園地に遊びに行く約束をした…
美香は
告白されそうな予感がしていたのだった
でも、胸の奥で
まだ本当の心の準備ができてないような
そんな気がしていた…