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第1章


第1章


〜美香との出会い〜



二人が出会ったのは

ちょうど3年前だった…



学校の帰り道を

和也かずやが友達と二人で歩いていると


自転車で追い越していく

別の学校の生徒が

笑いながら通り過ぎていく


初めは二人組だったので

会話が弾んでいるだけだと思っていたが


次に一人で追い越していった生徒まで笑っていた


「ん?」


不思議に思った和也が

友達のたかし


「さっきの子…何で笑ってたんだと思う?」


と聞くと崇は


「何でだろ?意味わからねぇ〜な!」


と返した

まあいいかと気にしないで歩いていると


また和也達を追い越していった生徒が笑っている…


しかも今度は和也達を振り返りながら笑っている


「なんだ?」


絶対に自分達が笑われていると確信した和也達は

こんな会話をはじめた


和也

「俺ら今日は何もしてねぇ〜よなぁ〜!」


「うん!」


和也

「なぁ〜俺の顔になんか付いてるか?」


「あ!付いてる!」


和也

「え!マジで?取ってくれ!何が付いてる?」


「目と鼻と口…あと眉毛も付いてる…」


和也

「お前ふざけるなよぉ〜マジで付いてない?」


「まぁ〜あとは鼻クソぐらいじゃね?」


そんなくだらないコトを言っていると


急に後ろから声がした


「何か付いてるよ!」


二人が振り返ると、一人の女の子が立っていた


そしてその子が

二人の後ろにまわり

和也の背中から何かをベリっと剥ぎ取った


それは

一枚の小さい紙だった…


その子は

その紙を和也に渡す


するとその紙には…


「注意!絶対に餌をあたえないで下さい」


と書かれていた…


和也は、恥ずかしすぎる…

そう思った


崇が隣で爆笑しはじめる


和也は少し照れながら

その子に言った


「ごめん…ありがとう!」

するとその子は

「うん、いいよ!」と言って歩いていった…


和也は爆笑しながら走って逃げる崇に


「お前知ってたなぁ〜」


と言いながら追いかけていった…


実はそれは

学校の校門を出た時に

友達の勇二ゆうじ


「バイバ〜イ!」


と言いながら和也の背中をポンと押した


その時に

付けられた紙だった…


崇はそれに気付いていたが

今まで必死で笑いをこらえて黙っていたのだ…


ここまで歩いてくる間に

何度も

「ぶはっ!」っと

吹き出しそうになった


しかし崇は

うまく鼻から抜いていた


和也達は普段からバカな事ばかりしていた


生徒指導室の壁に

バナナパンをくっ付けたり


ジャンケンに負けて

髪の毛を輪ゴムでまとめて

顔に落書きして帰ったり


シャンプーハットをかぶって帰ったこともある…


そのせいなのか

和也の学校の近くにある商業高校の生徒の中では


あの高校に変な二人組がいると噂になっていた…


とはいえ

今日はなにもせずに普通に歩いていただけ


バカな事をするぞと

気合いを入れている時は

いいのだが


不意にバカだと

かなり恥ずかしいものだ


自覚がないのに

自分だけ恥をかいた


和也は騙された気分だった

崇の背中に叫んだ


「俺だけ恥ずかしいじゃね〜か!泣くぞ!」


崇は腹が痛すぎてコケた


その姿を見た和也も


「あはははは!」


面白すぎてコケる


二人はあほ…

いや、いいコンビだ…


そんなある日…

崇が学校を休んだので

和也は久々にバスに乗って帰っていた


和也はバスに乗るのがあまり好きではなかった


隣のクラスで

嫌いな女子生徒がいつもバスを利用していたからだ


だからいつも

崇と一緒に駅まで歩いて帰っているのだった


しかしその日は

嫌いな生徒が学校前のバス停にいなかった


だからバスに乗ったのだ


普段バスに乗らない雅人は

話相手もいない…


ただ流れる景色を

ボヤっと眺めていた


すると次のバス停で商業高校の生徒が10人ほど乗り込んできた


その中に

この前、背中の紙を剥がしてくれた子がいた


その子は友達と二人で

和也の前の席に座った…


和也は

どうしようか迷ったが


その子の肩をトントンと叩いて声をかけた


「あの、この前はありがとう!全然気付かなくて」


するとその子は


「あ〜!うん…」


と言ってまた前を向いてしまった…


あれ?なんか気まずい雰囲気になってる?


そう思った和也はもう一度その子に声をかけた


「ねぇねぇ!」


その瞬間にその子はばっと振り向いてこう言った


「前田 和也君だよね!」


「私、上原 美香みかっていいます!」


和也はびっくりして

こう言った


「え?!何で俺の名前知ってるの?」


すると

こんな会話が始まった


美香

「えっと、今私の横に座ってる理沙りさ

友達が和也君の生徒で…

だから理沙から和哉君の名前を教えてもらって

いつもバスから

和哉君のコト見てたから」


和也

「え?!」


美香

「いつもなんか顔に変な落書きしてたり、変な髪型してたり、なんかかぶったり、だからなんかいじめられてるのかなぁ〜なんて私、思っちゃって…」


和也

「あの…」


美香

「だからなんて言うかあの、その…」


美香のマシンガントークはしばらく止まらなかった


そしてバスが駅に止まって三人がバスから降りる…


和哉が言った


「じゃあ、またねぇ〜」


美香と理沙も

「バイバイ」と和哉に手を振った


和也は電車に乗ってからずっと考えていた…


あの美香は一体何が言いたかったのか…


だいたい話をまとめても

俺と崇が変な格好してるのを見られてて…


自分の名前を友達から聞いて知っていて…


あと…俺がいじめられてると思ってて…


あとは全く話がわからなかった…


でも…


よく見ると

なんか可愛い感じの子だったなぁ〜!


ちょっと天然っぽいケド…


そんな事を思いながら和也は帰っていった…


次の日から和也は

帰り道を歩いていて

横をバスが通り過ぎると

自然と目を向けるようになっていった


するとたまに

美香が乗っているのに気付くことがあった


信号待ちでバスと隣どうしで止まっていると


美香がバスの窓から笑って手を振ってきた


和也も一応笑って手を振り返した


すると崇とこんな会話が始まった


「お前の友達?」


和也は

こいつ完全に忘れてるな

と思いながら…


和也

「まあ…友達ってゆうか…知り合いってとこかな!ちょっと前に出会ったばかりだし」


「へぇ〜!けっこう可愛い子だったじゃん!」


いや…一回目は間違いなくお前もいたしな…と思いながら雅人は返す


和也

「ちょっと天然っぽいけどな!」


「へぇ〜!」


やっぱり

いいコンビだ…


それからは

美香を見かけるたびに手を振ってあいさつしていた


理沙もだいたい一緒に乗っている


なぜか崇も一緒に手を振っていた


崇が手を振ると

理沙も手を振るようになる


和也はいつのまにか

可愛い笑顔で手を振ってくれる美香のコトが、気になりだしていた…


それから

数日が経ったある日…


和也は久しぶりに崇と一緒にバスに乗っていた


朝は晴れていたのに

帰りには雨が降っていた…

「なんだよこの雨は!」


もちろん二人とも傘を持っているわけがない


さすがに雨の日はバスに乗る生徒が多い


和也は

雨の日の湿度が高まる

バスの中が嫌いだ


なにか息苦しいし

胸が詰まる感じがする


それに人は多いし

ほとんど座れないからだ


崇は逆に好きだ

その理由は、喉がすごく潤うし、窓が曇るから

らしい…


和也には意味がわからない


しかし

今日の和也達は

タイミングよく席に座ることができた


次のバス停で

商業高校の生徒が大勢乗ってきた


その中に

あの美香と理沙がいた…


美香が


「あ!久しぶり〜」


と言って人を掻き分けて和也達に近づいて来た


和也は

「おっす!」と言って手を上げる


そして美香達に席を譲ってあげた


すると会話が始まる


「よっ!昨日ぶり!」


和也

「なんでお前が」


和也

「あ!コイツ崇って言う名前!」


美香

「美香です!崇君いつも和也君と一緒に歩いてるよね!よろしくね!」


「よろぴこ!」


和也

「昭和の返しかっ!」

理沙

「私は理沙です!よろしくね!」


「よろしこ!」


美香

「この前はごめんね!一方的にべらべら喋っちゃって」


和也

「いや、ぜんぜん気にしてないよ!それに楽しかったしね!」


美香

「ほんとに?じゃあよかった!」


そんな会話は楽しく弾んでいった


その時にみんなで

携帯番号とアドレスを交換しあった


実は崇もこの頃から

理沙が気になっていった


それからは

休みがくるとよく4人で遊ぶようになる


和也はどんどん美香をスキになってゆく


2ヵ月ほど経った頃

和也と崇はすっかりバスで帰るようになっていた


しかも…

なぜか先に崇と理沙が付き合っている


そして

和也と美香はいつも

崇と理沙に

早く付き合えばいいのにと言われていた


そのたびに和也と美香は気まずそうにしていた


崇はその時の二人の気まずそうな顔が

かなりツボだった


和也がその夜

美香に電話していた


和也

「そういえば今日も崇達に早く付き合えって言われたね!」


美香

「そうだね!あの二人はラブラブだもんね!」


「あ!そういえばあれ…」


美香はそういう会話になるとなぜかいつも話をそらすのだった…


和也もそれには気付いていたのだ


だから和也はなかなか言いだせなかった…


もしかしたら

俺のこと本当はスキじゃないのかもしれない


そういう不安がいつも心のどこかにあった


和也は正直

美香の気持ちがわからなくなっていた


しかし

こわくて美香に聞くことができない


臆病になっている…


美香のコトが本当にスキだったからだ


実は

和也は今まで付き合ったことがない…


毎日和也の不安が心の中で交差して、色んな事を考えてしまう…


正直

毎日が幸せで

毎日が辛かった…


そんなある日

日曜日に4人で遊園地に遊びに行く約束をした


和也と美香がなかなか付き合わないので


二人には

そういう機会が必要なのだろうと思い

崇と理沙が計画してくれたのだった…


崇が和也に


「お前は遊園地で絶対に告白しろよ!」


と言ってきた


でももう和也は

今度の日曜日には絶対に告白すると決めていた


色々考えた結果

このまま不安な日々が続くぐらいだったら


一気に想いをぶつけよう


たとえ振られたっていい


真剣に想いを伝えても駄目だったら…


それはそれで

諦めがつくと思った…




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