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新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


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85.分岐

《ソロ初討伐称号【環境を変える者】を手に入れました》

《ソロ初討伐報酬『白の杖』を手に入れました》



《お知らせします、迷宮地下20階フロアボス『シードル・シー・ドルン』がソロ討伐されました》



《シードル・シー・ドルンの粘糸×5を手に入れました》

《シードル・シー・ドルン繭玉×5を手に入れました》

《シードル・シー・ドルンの短剣を手に入れました》

《シードル・シー・ドルンの魔石を手に入れました》

《鋼糸×10を手に入れました》

《耐毒の指輪+3を手に入れました》

《シードル・シー・ドルンの『強毒』を手に入れました》



 残念女神と相性が一番いいという微妙な事実を思い出し私が動きを止めている間にも、ガラハドたちは弛みなく攻撃を続けており我に返って復帰、しばらくするとボスは呆気なく沈んだ。



 称号【環境を変える者】は灼熱や極寒、多湿やらの体調(ステータス)に影響を与えるレベルの環境からの影響を緩和する。『ファル白流の下着』についていた【全天候耐性】、紫パンツについていた【全気候耐性】と似た効果だが、毒沼等にも影響する分こちらのほうが上位となるんじゃなかろうか。

 いや、あくまで緩和なので微妙だろうか? 実際に苛烈な環境に行ってみないとわからないが、個人にだけでなく周囲にも効果が有る。称号保持者の近くほど効果があり離れるほど効果が薄れるようだ。



 『白の杖』は何の木なのか染めた様子もないのに名前の通り真っ白で美しい華奢な杖だ。MIDの上昇と治癒や聖法、神聖魔法の効果を増大させる。



 さて、休憩と言えば食事である。

 オーガを倒した後は私の粗相でゆっくりできなかったが今回は大丈夫だ。



「こう、ダンジョンでテーブルで飯っていうのもシュールだよなぁ?」

「あら、いいじゃない」

「まあ、他に人もいないしな」

「階段でそそくさと食うのは偶にはいいんだが味気なくってな」


 数回ならダンジョンに来てる! という感じがして良かったのだが、暗いわ落ち着かないわ食いづらいわであれは移動中だけで、せめて転移陣のある部屋(あんぜんちたい)くらいは普通に食いたい。


 そんな訳で毎度おなじみ猫足テーブルの出番だ。


 ルビーベリーの冷えた果実水、トーストしてバターを添えたバケット、グヤーシュもどきの胡椒や他の香辛料とで鹿肉を野菜と柔らかく煮込んだスープ、スープというには肉がデカイが。どうにもシンの肉好きに引っ張られているらしいな自分。

 とけるチーズをのせてグレイビーソースをかけたフライドポテト。食後の紅茶とビスケット。


「温かい食事がとれるのは嬉しいわね」

カミラがパリッっと音を立てながら細い指でバケットをちぎりバターを塗る。焼きたてのバケットはすぐにバターを溶かして染み込ませる。


「ナイフとフォークが出てくるとは思わなかったが」

ナイフで浅い皿に盛ったスープに入っている肉を切り分けているイーグル、豪快なガラハドのノリにもついていけるヤツなのに所作が優雅というか洗練されている。

 まあ、隣でナイフを使わず豪快に口に押し込んでいるガラハドとの対比でそう見えているのかもしれんが。


「このバケット美味しい」

「鹿肉もうまい」

「酒、酒が飲みたい!」

果実水を飲みながらガラハドが喚く。

「気持ちはわかるが帰ってからにしろ」

「今まで攻略中は、早く帰っておいしいものとお酒が飲みたい!とは思ってもダンジョン内で飲もうとは少しも思わなかったのに」

どうにもこの三人、ダンジョン内の食事は栄養補給として別だが、食事=酒のようだ。



「ぐあー、これで酒が無いなんてサギだー!!」




 ガラハドの叫びは無視して食事と休憩を終えて攻略へ戻る。

 迷宮は25層以降、35、45、55でルートの分岐があるそうだ。25層の分岐は三つ、ダンジョン内に存在する階段の側の意匠でどのルートか判別する。階段の前に扉が付いていて扉にその意匠があることも、階段の一段目についていることもあり意匠がある場所は何処とは決まっていないらしい。


「うへぇ!」

「またハズレだな」


 で、ただいまそのフェル・ファーシ・ルートに進むための階段を探しているのだが、ものの見事に二つハズレ。見つけていない最後の三つ目がどこかにあるはず。


 ガラハド達は25層の三体のボスを倒すだけ倒してルートを開けるところまではしていたが、26層以降で以前進んだことのあるルートはフェル・ファーシとは違うルートだったため、今回ボス後の25層に転移して改めてフェル・ファーシルートを開けたそうだ。


 10層ごとに敵の強さが一段跳ね上がり、50層以降、じゃない50層はボスだから正しくは51層か、51層からは一段どころでなく強くなるらしい。


 ガラハド達の到達階はフェル・ファーシ以外のルートで44層。

フェル・ファーシを繰り返し倒したことで45層のボスも行けるようになった気がするぜ、と笑っていた。今は何度か倒して慣れたための余裕なのだろうが、最初は苦労したのではないだろうか? そんな気配はルバの家から旅立つ時も微塵も感じさせなかったが。


 ここまでの敵は1層から20層までに出てきた敵の強化バージョン。同じ敵でも油断していると使ってくるスキルが増えていて手ひどい目に合いそうだ。初登場の敵は火を吐く大蜥蜴。


 【盗む】が再び登場、疾風のブーツや各種強化のおかげで事なきを得ているが、盗む際に攻撃をついでとばかりに仕掛けてくるようになった。


 伸ばされた手にきちんと気づいて払う方が防止率が高いのは学習済みだ。

 敵も攻撃を絡めて来るようになったし、こちらもただ振り払うだけでは芸が無いので、錬金魔法で出した短剣で払っている。

 素手で払うよりダメージを与えられる分、多少いい程度だが、ダメージが低いのは私に短剣のスキルがないせいか練金魔法で作り出した短剣が弱いのか、はたまた両方か。


 どうせなら白扇か鉄扇でパシッと止めてみたい。街に戻ったらちょっと検討してみようか。


 だがその前に取り敢えず後でペテロに【盗み防止】のレベル上げにもう少し付き合ってもらおう。



 大蜥蜴は近接職が攻撃を入れるたび、カウンターのスキルでもあるのか火で軽いダメージを食らう。魔法などの遠距離攻撃で倒すほうがいいのだろうが、ガラハドもイーグルも肌を焼く炎をお構いなしに斬りにゆく。

 経験上、ダメージが軽いことを知っているからできるのだろうが、必ずダメージを食らうところに躊躇無く突っ込めるのは凄い。



 ドロップは魔石と毛皮、皮、牙、鉱石など。盗みを働くハイゴブリンからはポーションやら毒消しやら冒険者から盗んだ物なのか薬系が落ちた。


「おお! 『スリープ』を覚えた!」

「攻撃すると文字通り叩き起こしちまうからそんな感動するほどでもねーぜ? 忍び込むのには便利だが」

「どこに忍び込むんだ?」

「い・い・と・こ・ろ」

語尾にハートマークがつきそうな声色でウィンクつきで返された。


「【闇魔法】が30になったのね。トレインした時とかは便利かしら?」

「トレインしないよう心がけるのが先だよ? ここにも約一名よく追いかけられるのがいるけど」

「誰のことだ?」

二人が無言でガラハドに視線を送る。


「いや、これで寝食忘れた生産職な人を布団に放り込めるなと」

「ルバか?」

「そう、ここへ来る少し前に訪ねたのだが【水竜銀】の加工に行き詰まってほとんど食ってないし寝てなかったらしい」

ルバだけじゃないが待望の『スリープ』だ。騎獣といい、憑依よけのアクセサリーの加工といい、欲しい物が後回しになりがちだったのもあってちょっと嬉しい。

 だいたい対のような魔法を覚えるので【光】のレベル30も睡眠系かもしれない。


 ……とか思っていたら【木魔法】の30も『眠りの香り』という睡眠系の魔法だった。欲しい物は出る時は出るんだな、と思いつつも何か釈然としない。


 しばらくして見つけたフェル・ファーシルートへと続く三つ目の階段は、結局入口の(そば)にありました、なオチで、ガラハドが打ちひしがれつつもボスに八つ当たりする気満々。



 25層のボスはサラマンダー。

 大蜥蜴くん強化版だろうか。つるんとした外観に炎を纏い結構な速さで移動をする。トリッキーな動きはないが直接攻撃は仕掛けたほうも少々のダメージと燃焼の状態異常を食らう。


「こいつは見た目通り弱点氷でいいのか?」

菌糸玉(ドルン)のこともあるので一応確認。

「おう、凍結入れてくれると攻撃した時の燃焼もなくなるんで頼む」

「私、相性良くないから助かるわ」

カミラのメインは同属性の火だ、ダメージがほぼ通らない。


 走り出すガラハドとイーグル。


「影より出でて貫け! 『スティングシェイド』」

 初手はカミラ。


 サラマンダーの影から無数の槍状の影が突出し影の持ち主を貫く。


「『フロストフラワー』」

魔法を放った直後にガラハドとイーグルが斬りつける。

 『フロストフラワー』の持つ凍結の効果はサラマンダーの燃焼の効果を打ち消す、赤々と燃えていた時につるんとして見えた表皮は今は黒くひび割れている。


 凍結や凍傷などの効果を持つスキルならなんでもいいらしい。逆に敵が氷結持ちの場合はカミラの好んで使う『クリムゾンノート』などの燃焼ダメージがついたもので相殺できる。

 もっともレベルが釣り合っての話だが。


 ところでカミラが呪文本体の前に詠唱を入れているが、どうやら【痛覚解放】で私にも作用するようになった「気合いを入れるとダメージがアップします!」の一環であるらしい。本人は魔法使用前の精神集中だと言っているが……。精神状態で±5%ダメージが前後するとか言ってたのはお茶漬だったか。


 魔法の詠唱時間は魔力を集める集中時間だ。教科書に載るような前振り呪文もあるそうだが、基本自分が使う魔法をイメージしやすければ良い。魔法発動までの間が詠唱時間と呼ばれ、その時間内によりイメージを高める呪文を唱え魔法名を口にするのがセオリーだ。勿論無言で集中していてもいい。

 【無詠唱】がなければ私もレベル40の魔法発動に六秒ほどかかるはずだ。INT123のままであるなら魔法発動に十一秒ほど。発動からの着弾までのラグがある魔法もあるので【無詠唱】だからと言って避けられないとも限らんのだが。


 『アシャの白炎の仮面』や【神々の印】についている効果でやる気は間に合っているし、【無詠唱】で詠唱時間はおろか魔法名の詠唱も要らないのでスルーしている私。仮面に長髪白コート着といて何だが、技名や魔法名を叫ぶのは羞恥が捨てられない罠よ。周りが技の前置きセリフ使い始めたら考えよう。


 【燃焼】や【凍結】などの状態異常は続けて食らうと耐性がついて効果が薄まっていってしまうので最小限にする。中には蓄積されるタイプもあるらしいが、私は持っていない。次にかけるタイミングはサラマンダーのひび割れがマグマのようにオレンジに光り始めた時だ。




《ソロ初討伐称号【火の制圧者】を手に入れました》

《ソロ初討伐報酬『炎の短剣』を手に入れました》



《お知らせします、迷宮地下25階『サラマンダー』がソロ討伐されました》



《サラマンダーの皮×5を手に入れました》

《サラマンダーの炎×5を手に入れました》

《サラマンダーの鱗を手に入れました》

《サラマンダーの魔石を手に入れました》

《火衣×10を手に入れました》

《耐火の指輪+3を手に入れました》

《サラマンダーの『火のガーネット』を手に入れました》


短剣は投擲に使えるようなやつじゃないよな……

今までが引きが良かったというか、私の職業的に使わないモノが少なかっただけなのだろう。


「お疲れ〜、燃えてないと格段に楽だった!」

「お疲れ様。属性にだいぶ左右されるんだな」

「ルートは一つではないからね。目的がない限り自分に有利なルートを選べばいい。お疲れ」

「お疲れ様。51層のルートは全部属性特化みたいなことになってるらしいわよ? フィールドそのものが溶岩があったりして耐性がないと敵に会わなくても消耗してとてもじゃないけど進めないらしいわ」



「さて?」

「ホムラのステータスチェックね」

「だな!」



楽しそうだな三人とも。






□    □    □    □    □    

・増・

称号

【環境を変える者】

【火の制圧者】

□    □    □    □    □ 


ホムラ Lv.35

Rank C

クラン Zodiac

職業  魔法剣士 薬士(暗殺者)

HP   1219

MP  1570

STR 64

VIT 34

INT 123

MID 43

DEX 40

AGI 70

LUK 58


NPCP 【ガラハド】【-】

称号

■一般

【交流者】【廻る力】【謎を解き明かす者】

【経済の立役者】【孤高の冒険者】【九死に一生】

【賢者】【優雅なる者】【世界を翔ける者】

【痛覚解放者】【超克の迷宮討伐者】

【防御の備え】【餌付けする者】【環境を変える者】

【火の制圧者】

■神々の祝福

【アシャの寵愛】【ヴァルの寵愛】

【ドゥルの寵愛】【ルシャの寵愛】

【ファルの寵愛】【タシャの寵愛】

【ヴェルナの寵愛】【ヴェルスの寵愛】

■神々からの称号

【アシャのチラリ指南役】

【ドゥルの果実】【ドゥルの大地】【ドゥルの指先】

【ルシャの宝石】【ルシャの目】【ルシャの下準備】

【ファルの睡蓮】

【タシャの宿り木】【タシャの弟子】【タシャの魔導】

【ヴァルの羽根】

【神々の(しるし)

【神々の時】

■スレイヤー系

【リザードスレイヤー】【バグスレイヤー】

【ビーストスレイヤー】【ゲルスレイヤー】

【バードスレイヤー】【鬼殺し】

【ドラゴンスレイヤー】

■マスターリング

【剣王】【賢王】


スキル(3SP)

■魔術・魔法

【木魔法Lv.30】【火魔法Lv.30】【土魔法Lv.28】

【金魔法Lv.27】【水魔法Lv.27】【☆風魔法Lv.30】

【☆光魔法Lv.28】【☆闇魔法Lv.30】

【☆雷魔法Lv.29】【灼熱魔法Lv.15】【☆氷魔法Lv.25】

【☆重魔法Lv.25】【☆空魔法Lv.25】【☆時魔法Lv.28】

【ドルイド魔法Lv.28】【☆錬金魔法Lv.17】

■治癒術・聖法

【神聖魔法Lv.29】

【幻術Lv.1】

■魔法系その他

【マジックシールド】【重ねがけ】

【☆範囲魔法Lv.29】

【☆魔法・効Lv.24】

【☆行動詠唱】【☆無詠唱】

【☆魔法チャージLv.19】

■剣術

【剣術Lv.31】【スラッシュ】

【刀Lv.32】【☆一閃Lv.25】

【☆幻影ノ刀Lv.19】

■暗器

【糸Lv.35】

■物理系その他

【投擲Lv.6】

【☆見切りLv.28】

【物理・効Lv.17】

■防御系

【☆堅固なる地の盾】

■戦闘系その他

【☆魔法相殺】【☆武器保持Lv.25】

【☆攻撃奪取・生命Lv.7】【☆攻撃回復・魔力Lv.25】

【☆スキル返しLv.1】

■召喚

【白Lv.14】

【☆降臨】

■精霊術

 水の精霊【ルーファLv.23】

 闇の精霊【黒耀Lv.31】

■才能系

【体術】【回避】【剣の道】

【暗号解読】【☆心眼】

■移動行動等

【☆運び】【跳躍】【☆滞空】【☆空翔け】

【☆空中移動】【☆空中行動】

【☆水上移動】【☆水中行動】

■生産

【調合Lv.28】【錬金調合Lv.35】

【料理Lv.33】【宝飾Lv.22】

■生産系その他

【☆ルシャの指先】【☆意匠具現化】

【☆植物成長】【☆緑の大地】

■収集

【採取】【採掘】

■鑑定・隠蔽

【鑑定Lv.40】【看破】

【気配察知Lv.41】【気配希釈Lv.39】【隠蔽Lv.40】

■解除・防止

【☆解結界Lv.1】【罠解除】

【開錠】【アンロック】【盗み防止Lv.24】

■強化

【腕力強化Lv.7】【知力強化Lv.11】【精神強化Lv.9】

【器用強化Lv.8】【俊敏強化Lv.10】

【剣術強化Lv.8】【魔術強化Lv.10】

■耐性

【酔い耐性】【痛み耐性】

【☆ヴェルスの守り】【☆ヴェルナの守り】

■その他

【HP自然回復】【MP自然回復】

【暗視】【地図】【念話】【☆房中術】

【装備チェンジ】

【生活魔法】【☆ストレージ】【☆誘引】

【☆風水】【☆神樹】



☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの

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― 新着の感想 ―
[良い点] 〉「温かい食事がとれるのは嬉しいわね」 住人にも異邦人連れの利点があるのはいいですよね。 しかも悪質な住人にカモられそうになっても異邦人ならログオフで対処できるし。 最悪作り直しと言う手も…
[一言] 大蜥蜴くん、で別作品の青蜥蜴くんを思い出した私が通ります
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