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新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


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48.肉と魚と調味料

 あれから菊姫とシンと別れて、ブループ無双にチャレンジ。

 見切っていなして、後の一匹を斬るよりとっとと斬り捨てたほうが早いことに途中で気がついた。

 なんとなく集団で来られると避けなくてはならない気分になっていたが、弱点狙いの【一閃】で一撃だ。【見切り】は攻撃を受けないためだけでなく、弱点を攻めやすくするために使う。突進してきたブループをいなして勢いのまま横を走り抜ける無防備に晒した首を一閃。

 数匹同時に来て攻撃を放つ暇もないような場合はシープルの時のように【見切り】を続ければいい。


 群れの真ん中で戦っているので、当然前からだけでなく後ろからも突進を受ける。最初は端で戦っていたのだが、避けたり斬ったりしとるうちにいつの間にか真ん中へ来ていた。動いていないと直ぐ囲まれてしまうので、ひとところにとどまらず走りながら戦っている。

 これ、戦闘終了はどうしよう……このままブループがいない平野まで走り抜けるしかないかと、今更ながら考える。



《食用に供する敵を連続で200匹倒したことにより、ドロップ部位が解放されました》



 スキル取得のアナウンスかと思ったら何か変わったのがきた。

 ロース、ランプ、ヒレ、バラetc. 鹿の時はロースしか出んかったのだがいろいろな部位が出るようになり、代わりに『肉』は落ちなくなった。……では今までどこの肉がドロップしてたんだろう。

 シープルもいろいろ落とすようになったのか? だが羊肉を焼く以外どうしていいかわからんから後でいいか。

 連続500がアナウンスくる目安かと思っていたがそうでもないのか。スキルとは別枠だからか。


 つい、すべての部位をそれなりの数で確保したくなってしまうのはしょうがないことだと思います。



《食用に供する敵を連続で500匹倒したことにより、ドロップ部位が解放されました》



 また何かきた! が、同じ内容?


 ……内臓落とすようになりました。

 スーパーで馴染みのある部位の肉のドロップが多く幸い落とす率はそんなに高くない模様。落とされてもモツ煮込みくらいしか思い浮かばん。

 一応一通り集めたところで離脱するために、ブループの群れも人影もない平野に走る。それでもついてきたブループを倒して終了。丁度三時、お茶の時間だ。


 『シャドウ』をかけて木陰に移動する。

 離れた場所にいるブループの群れはもう興奮してタゲってくる様子はないが、先ほどまで戦っていた相手なので念のため。

 紅茶を飲みながらサンドイッチをもしゃもしゃしているとルバからメールが届く。


 どうやら剣が出来上がったので都合のいい時に取りに来いとのこと。

そのメールを読んでいる最中にガラハドからもメールがあり、都合がよければ本日の夕刻に宴会も兼ねて集まらないかとの打診が。

 ルバの家で酒盛り酒を頼むということですね、わかります。


 ルバとガラハドにそれぞれ料理と酒を持って行く旨を返信しているとまたもやメール。来る時には一気に来るものなのだろうか。


 こちらはレオとお茶漬から魚いらんか? のメールだった。

 今、セカンのレストランで食事中とのことだったので、こちらにはすぐ行くと返事をして残ったサンドイッチを詰め込み紅茶で流し込んだ。



「お〜こっちこっち」

レオに呼ばれてテーブルにつく。

「沢山釣れたのか?」

「大漁大漁」

「魚の相場わからんぞ?」

「焼いて半分戻してくれればいいよ」

「いや、そこは現金で¥¥じゃないとクランの資金たまらないよ」

お茶漬に止められるレオ。

 値段をつけるのが面倒なんだな、私も面倒です。


 スルサ、コガネアジ、突進スズキ、闇スルメ、巻きアナゴ、青葉鰹、アジ、スズキ、スルメ……現実世界の魚の名前のみが付いているのは、釣りスキルを使わなくても釣れる魚だそうだ。

 スキルを使わなければとれない魚、食材ランクの変動がある魚は聞いたことのない名前の魚か名前の前におかしな単語がつく魚ということらしい。

 ……青葉鰹は通常の食材かと思ってたらランク8の食材だったので油断ならんが。ランク8ってボスから出た肉と同じな訳だが、なんでこんなにあるの? ああ、レオだから?


「で? いくらなんだ?」

「量が量だから私に四万、レオに五万かな。鰹の値段謎だしどんぶりだけど。まあ、かわりに普通? の魚は二束三文だからオマケに持ってって」

さすがは大漁旗、二人とも入れ食いだったそうだ。レオの方が高いのは食材ランクの高い魚をお茶漬より多く釣っているからだ。そして青葉鰹はやっぱりあんまり釣れない魚なのだな。

 ただのアジだけでも暫く鯵フライとかには困らないだけの量をゲットだ。仕舞う前に『冷やす』を使っておこう。


「って、パンツ!」

「わははは!サービスで評価8入れといたぜ!」

「貴様〜ッ」

油断してたら魚と一緒にビキニパンツ渡されました。しかも真っ赤。

 おのれ!



「魚って、丸のままだな」

「?」

「なんだいきなり」

「いや、肉は部位ででたり、肉のブロックで出るだろう」

「ああ! そういえば」

鮭をもらった時も捌いたしな。

「なんでだろうな?」

「一番、開発が魚釣りが好きで魚といえば丸のまま。二番、開発が魚料理が好きで自分で下ろすのでそのまんま。お好きな方をどうぞ」

「一、二複合で!」

レオが元気よく答える。うん、私もそんな気がする。


「そう言えば待ってる間雑談板眺めてたら、ここで牛のトレイン起こした馬鹿が居たらしいんで巻き込まれないように気を付けて〜」

「怖いな。街に連れてってしまったのか?」

「いや、そこは誰もいない平野に誘導したらしいよ?」

「良かった良かった」



 もう少し釣ってゆくという二人と別れてファストにもどる。お茶漬はフルダイブのVRじゃなければ在宅仕事しながら釣れたんだけどなー、などとぼやいていた。



 【糸】のレベルが6になった。レベル5で扱える長さが十メートルに。

地を這わせて周囲に伸ばしているわけだが、白っぽい半透明な糸は良い具合に周囲に溶け込んでいる。夜用に黒く塗ったのも用意したほうがいいだろうか。



 転移門のある部屋から出るとエカテリーナと鉢合わせした。

「あらあら、ここであったが100万シル……、いえ、助けてくれた方に姉弟が会いたがってましたわよ」

いろいろ不安になる声をかけられた。100万シルまでお布施を要求するつもりなのか、おい。


「特に名乗り出るつもりもないので」

「あの子たち頭も悪くないしいい子よ。今から仕込んでおけば冒険の補佐にも下準備にも役に立つわよ〜」

「特に困っておらんので補佐なぞいらん、冒険より算術でも教えるなり手に職つけさせて堅実に育てろ。まあ食わせてやってくれ」

長くなりそうだったのでブループの『肉』を問答無用で押し付けて暇する。最初はアジを押し付けようと思ったのだがそれは絵面的に自重した。


 なんか漫画のお膳を十段重ねで運ぶ仲居さんみたいになっとったが。

 ちょっと、転移門に出入りする冒険者(プレイヤー)の視線が痛かったが、エカテリーナが追いかけて来れんようだしいいとする。けっこう肉は重いと思うのだがよく持てたな、見かけより力持ちらしいとエカテリーナの認識を少々変える。


 さて魚と肉が持ち物圧迫しているから宴会の用意も兼ねて生産して整理せねば。

 その前にログアウトして休憩して鰹節の作り方を調べよう。私の鰹出汁。昆布出汁はもっと寒いところに行かんとダメだろうか。


 再びログインして生産施設に行く前に商業ギルドに寄りワインとビール、ウィスキーを納品しつつ、委託販売に突っ込んでいたものの売れ行きを見る。

 料理は評価10以外は残ってしまっているものがある。同じ値段設定でもよりEP回復効率がいいもの、減りにくい(はらもちのいい)ものは売り切れている。

 みんな、もっと食べるほうを楽しもうぜ! と思いつつ商品を補充する。

 実際評価10以外は手に入りやすいレシピは出品も多いので仕方がないだろう。他の生産の素材と一緒に肉は手に入りやすい、メイン生産は鍛冶だけど簡単な料理もするぜ! という人は多いのだろう。器用さがあれば私のように高い評価が出せるしな。


 コメント欄が菓子やら菓子やら菓子で埋まっていたがスルーする。黒百合からもまた顔文字入りの勧誘めいたコメントが届いていたがこちらもスルー。

 ブループの皮を平均より少しだけ安い価格で出しておく。99×2枠出したので最安値つけると販売してる人に迷惑だしな。


 とか思っていたら、出した途端に買われていった。

 牛角の方は需要があまりない様子でだぶついていたので、ギルドへの納品に回すことにする。

今生産レベル上げで皮を大量に使う層でもいるらしい。同じ値段で空いた枠に残りも出して今度は自分の買い物をする。


 まずは反省した通り調味料を探す。


 塩だけでも藻塩やらサーフォレス(もり)の岩塩やら数種類ある。最安値がついたものは現れてはすぐ買われて消えていって競争に入ってけそうにないのでそこそこ安いくらいのものを買い込む。小麦もファストブリム(そうげん)の小麦やら黒小麦やら直立小麦やらいろいろだ、どこから採ってきたのだろう。

 いつも道無き道を走ってたりするからな、普通に街道沿いに生えてたりして。今度ちゃんと街道を歩いてみるべきなのだろうか。


 本日の宴会料理はコガネアジフライと青葉鰹のタタキ、フィッシュ&チップス、ピザ、アスパラのベーコン巻き、トマトとモッツアレラに似たチーズのカプレーゼあたりにしよう。

バジルあるかね?

 ……ってカレーパンが売ってる!


 思わず買ったとも。

 誰だカレーレシピ開発したの、早いな! 香辛料あるのか?

 検索してそれっぽい香辛料を片っ端から購入、ランクが普通だったのでどこかの街の交易品をそのまま転売しているものらしい。いつかどこで扱っているか見つけ出したいところです。じーさんのところにあるかな?

 気づけばマヨネーズまで売っている、まあ、こちらは材料を揃えやすいが。食に対する飽くなき探求、さすが日本人! 他の生産の片手間などと言って申し訳ない。


 生産職の方は生産道具も作れるようで、自分が今持っているランクより上のフライパンやら寸胴やらがあったので購入。調理道具は調理道具でアイテムポーチ一枠に収まるので数を気にしなくていい。

 出刃包丁と柳刃包丁も買った! これで片っ端から魚を三枚に下ろそう。なんか包丁に攻撃力の表示があるが、切れ味がいいということだよな?


 錬金の素材や活性薬の材料などなんだかんだと買い込んで収支はどうかというと活性薬やら評価10の料理のおかげで黒字だ。

 料理・錬金すればまだスキルレベル上がるお年頃だしレベル上げ中で生産黒字ならかなりいいのではないだろうか。そういうわけで唐揚げも欲しいから暴れニワトリの肉を買おう。


 その後生産施設で料理と調薬、錬金をこなし先ほど売りに出したものの売り上げを回収。空いた委託スペースに売り切れていた耐性薬、生命や魔力の活性薬、帰還石を突っ込んだ。評価10は出さないままつけられる最高額をつけているのだが、面白いように売れる。

 きっちり購入個数制限をつけているのだが、この短い期間にセカンやサー、フォスに移動した冒険者が多いせいかすぐ売り切れる。

 ちょっと前のコメントには高いのであまり買えないけどボス戦に持ってってます! とかいうコメントが付いていたのに。


 みんな懐に余裕が出てきたのだな、と思ったところでいきなり気づいた。

 エカテリーナに最初寄付しすぎた。

 二人も預けるのだからと暗殺報酬をそのまま出したのだが、あの時点であの金額って、トップの方で稼いでいる冒険者か生産者しかいないだろう、いや、トップでもあやしい。まだ設備投資・装備への投資の時期だ、普通は臨時収入があっても大半を自分の能力の底上げに回す。それで目をつけられてやたら接触してくるのか!!


 エカテリーナに金があるのがばれている件。


 次はアジフライとスズキのムニエルでごまかそう。




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― 新着の感想 ―
そういえば500体以上のドロップ、マジックバッグに入り切るのだろうか...種類分け一種99個1スタックと考えると割と行けるのかな
[気になる点] 牛のトレイン…
[一言] このゲーム、何だかんだ回復のための食事回数多いから、食に興味のないプレイヤーは代替品の薬を欲しがりそう。 同時に美味しいご飯の宛がない人は、それはそれで辛いかも(汗)
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