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新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


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383/388

381.石飛びミニゲーム

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします!

「ひゃああああああっ!」

お茶漬が情けない声を出しながら川に落ちてゆく。


「次俺が先頭!? あと一回ドボンしたら戦闘じゃん!!」

シンが叫ぶ。


「わははは! 先頭で戦闘か!」

「今回のはおやじギャグじゃないんですぅ! 嫌ああああ!!」

レオのツッコミにシンが叫び返す。


「いいから早く進むでし! 全員沈めたいでしか!」

菊姫がぷんすか怒っている。


 川沿いに魔物を避けながら進むと決めたものの、魔物の数が多く、とてもではないが避けられなかった。川沿いに魔物が集まっているような印象だったのだが、川の中は安全地帯だった。


 で、不自然に川の中に点在する石を足場に進むのでは? という話になり現在に至る。川の範囲は『浮遊』もきかないし、完全にミニゲームでした。


 5回川に落ちると強めの魔物との戦闘となり、毒を食らう。石の足場は、滑るものと、沈むものが混じっており、正しい足場もずっと乗っていると沈む。


 基本、先頭の者についてゆけばいいのだが、先頭が沈んだら最後尾に入れ替わる。また失敗なしで沈まなくとも、10進んだら入れ替わらないと全員沈む。


「ちょっと緑の石は滑る、ちょっと白っぽい石は沈む! うをおお!!」

シンが石の判別方法を叫びながら、次の石に飛ぶ。


 色の差は、冷静に見ればわかりやすいのだが、瞬時に判断しなくてはいけないため、間違いやすい。誰かが沈んだ後は少し間がもらえるのだが、通常は止まって迷うようなことはできない。


「今のお茶漬、ただ石に届かなかっただけ?」

シンの後を進みながら、ペテロが確認する。


「毒のスリップダメージ被りで普通に目標に届きませんでした! 無理ゲー!!!!!」

一番後ろの石に這い上がりながらお茶漬。


「どんどん難易度高くなるでしね。弱毒は平気だったでしが、毒はダメージくるとき一瞬硬直するでしよ」


「異常回復使いたい……」

お茶漬がぼやく。


「『MP回復薬』も『毒消し』も節約しないと」

ペテロ。


ここ(・・)の『毒消し』でよければ使うか?」

私。


 この大陸はシレーネの毒に侵されており、食物(しょくもつ)にも薬にも【弱毒】がついている。【毒】を治しても【弱毒】、MPを回復しても【弱毒】である。


 ペテロの言った『MP回復薬』と『毒消し』は、元いた大陸から持ち込んだ分のことだ。


「毒忍者に毒忍者フレンドが涼しい顔をしてる……っ」

悔しそうなお茶漬。


「ははは」

空々しい笑顔のペテロ。


「毒忍者フレンド」

どういう分類なのか。


「よっしゃ! クリア! 交代!!!」

ガッツポーズのシンがペテロを先に行かせるため、脇の石に避ける。


「って、ぎゃあああああああああああああ」


 そして沈んだ。


「馬鹿〜〜〜んでし!!!」

菊姫が叫んで岸に飛び移る。


 現れ襲ってきた魔物との戦闘開始。


「戦闘自体は問題ない……んだけど、毒ぅうううっ!!」

半泣きのお茶漬。


 お茶漬は種族的職業的に生命が少ないため、毒で削られるダメージが馬鹿にできない。


「なんで食材がドロップするでしか! なんでエルフの大陸で『春菊』なんでし!」

「おじさんのポッケには『豆腐』〜」

「わははは! オレんとこには『卵』!」

「『肉』きたコレ」

「私のところには『糸コン』、すき焼きかな?」


 魔物を倒すと食材が落ちる率が高い。が、全部【弱毒】付きで必ず一つは【猛毒】か【強毒】がついている。ちなみに私のところには『割り下』が来た。


「お腹減るでし!」

「戦闘終えたら昼だし、ご飯にしよう」

戦闘後は、周辺にしばらく魔物が出ない。


「やたあああああ!!」

私が言うと、シンが最後の魔物を蹴散らす。


「『異常回復』『異常回復』……! 【チャクラ】!!」

お茶漬が毒を消し、【チャクラ】でHPMPを回復させる。


 【チャクラ】は便利だが、回復量はそう多くない。連続して使えば、すぐにEPが減る。


 そういうわけで、EPを回復がてらご飯。


 簡易調理道具で作って提供。――アイテムポーチ内にあるものだけ使うという縛りで進んでいるため、他の道具類は【ストレージ】の中だ。料理になる素材も絞っている。


「完成品が素材の数よりできる料理で選んだから、リクエストは受けられん」

本日のメニューはステーキです。


 焼くだけ、食材の肉1に対して、3枚できる。EPの回復量が多くなるよう、ランクの高いいい肉を選んでいるが、ステーキだけというのも微妙な気分になる私だ。


「はぁ〜肉うめぇ」

「分厚いステーキィ!」

シンとレオには文句がない様子。


「お酒がないのが辛いでし」

「食べられないとなるとカレーとか食べたくなる」

3度目の食事にして、菊姫とお茶漬は少しぼやきが入っている。


「ステーキが続くのも大変だね」

そう言いながらすき焼きを小皿に救うペテロ。


「ネギが旨そうだな」

私も豆腐とお肉、少しくたっとしたネギを。


「ネギとエノキは材料になかったのに入ってるね」

「ああ、スキルを使うと味の調整はできんが、素材になくても出来上がりには入っている」

スキルで作るための素材が揃っていさえすれば、味も具材も決まったものが出来上がるのだ。


「いいお肉だけど、味が少し濃いかな? 生卵は思ったより生臭くないね」

「ここのドロップ品はランクが高いからかな? 肉も美味しい。調味料を揃えて味の調整をしたいところだ」

手動で作るには調味料や具材が色々不足している。


 ランクが高い素材でできているので当然評価は高くなり、好みから微妙に外れているが、美味しいと感じる。


 ……ちょっと毒がピリピリするが、一味をかけたと思えば。


「く……っ、猛毒すき焼き美味しそう」

「毒の酒が出たら呪うでし」

お茶漬と菊姫がステーキを噛み締めながら不穏な様子。


 こうして魔物を避けつつ――避けられていないが――川を遡る。ミニゲームゾーンも抜け、川辺を歩いてる。


「お? この辺良さそう、【釣り】していいか?」

レオが聞いてくる。


「もちのろん! 毒のない食材確保は最優先だぜ!」

そう言ってシンも釣竿を取り出す。


「ミニゲームがあったから、きっともう少しで町か何かあるんだと思うけど、もういい時間だし、ここで野営する?」

お茶漬。


 流石に何もないところにミニゲームだけあるというのも変なので、お茶漬の言う通り何かあるのだろう。水辺だし、町の確率は高い気はする。


「そうだね。夜の魔物はけっこうエグいし」

ペテロ。


 見た目の話ではなく、毒を撒き散らす量が昼の魔物から倍増する。ここの毒は蓄積してゆくタイプなので、【弱毒】はすぐに【強毒】に代わり、一定時間ごとに生命が減る毒のダメージがえげつない。


 フルパーティーの6匹で現れたりすると大惨事になるので、【隠蔽陣】を出してさっさと寝てしまう方がいい。


「じゃあ私はこの辺で【採取】【採掘】できないか見てみるか」


 とはいえまだ陽があるし、レオたちが【釣り】をしている間、何もしないのも暇だ。


 【釣り】スキル持ちは釣り、持っていない組は【採取】【採掘】へと分かれる。もちろん分かれる前に魔物が周囲にいないか確認はしている。


「ホムラ〜これなんでし?」

「『赤の綿』『白の綿』、それぞれ【火属性】耐性つき、【極寒】耐性つきの糸や布ができるようだ」

【鑑定】をして結果を菊姫に答える。


「ありがとでし!」

【裁縫】持ちの菊姫が嬉しそうに採取ポイントに戻ってゆく。


 毒の飯が食え、毒のMP回復薬が使える私とペテロが【鑑定】役や、警戒役をしている。


 面倒ではあるが、まだお互いスキルが揃っていなかった頃、アイテムポーチの容量が少なく、全員やりくりに頭を悩ませていたゲーム開始初期のようで楽しい。


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― 新着の感想 ―
あの、ホムラさん。 あなたダンジョンで家宝を超えちゃったエルフの町探せるドロップ出ませんでしたっけw いつものように忘れてますかホムラさーん?
何度読み返しても楽しめる、大好きな作品です。 他のも好きですが、新しいゲーム~が一番好き。
最近白が出てこないなあ
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