30.アライアンスのお誘い
騎士団の訓練二回目を受けに来た。
只今、騎士ランプと組打ち中。
振り下ろされる剣を型通りに受けるのだが、両手剣から放たれるそれは受けるだけでびりびりと腕にダメージが伝わるようで中々キツイ。受け流しちゃだめですか?
受ける角度を少し間違えたら自分の剣ごと脳天にくらいそうだ。
私の打ち込みは速いらしく褒められたが型を辿っての打ち込みなため簡単に受けられている。余裕のある態度に型から外した攻撃してやろうか? と思わないでもない。
腕力が足らないな、と思いつつEPが10%切るまで打ち合って本日の訓練は終了した。
訓練場の隅で紅茶を飲む。本当はサンドイッチでも食べたいのだが、まだここで食べている人を見たことがないんだよな。まあ、兵舎が近いしわざわざ外に食物を持って出る必要は無いんだろうが。
ランプが来て紅茶を飲みながら訓練中の騎士を解説までがセットだった。
《お知らせします。ロイ・シラユリ・暁・カエデ・モミジ・クラウのパーティが特殊ダンジョンを発見しました》
《これにより情報を開示します》
《この異世界には多数のダンジョンが存在し、中には二パーティ以上が推奨されるダンジョン、ソロが推奨されるダンジョンなど特殊なダンジョンが存在します》
《様々なダンジョンの攻略をお楽しみください》
おお、ロイ達頑張ってるな。知った名前が流れると嬉しい。
《サーのヌシ『アルレイク』をレオが釣り上げました》
知った名前が流れると笑うよな!
十二時過ぎたのにレオがまだ起きているのも珍しい、よっぽど楽しいんだな。
世界の声を聞きながらギルドでドロップ品を清算しているとメールが届く。
『ダンジョン行かねえ?』
ロイからだった。
短いよ! どこにあるダンジョンだよ!
『おはよう、ロイからメールが行ってるかと思うけど、フォスから北東二時間ほどの場所に二パーティ推奨ダンジョンを見つけたのでまだ寝ないなら行きませんか?』
続いてクラウからフォローメールがきた。
お茶漬からもメールが届き、神殿に集まることになった。集合は二時間後、レオも外だろうしな。いや、レオ戻れるのか? サーだよな?
『転移石』はどうやって手に入れるんだろうかと思いつつ、調味料と野菜果物を買い込む。前回足らなくなったので多めに。ストレージに荷物を移したおかげでアイテムポーチには余裕がある。
古本屋は早い時間なせいか開いていなかった。早いといっても日が昇ってだいぶ経つのだが、どうにも店主に夜中まで読書をしている不健康なイメージがあるせいか、午後にならないと開かないような気がしてならない。そして実際開いていない。
生産施設の調理場を借りて料理。
バザーで購入した羊肉をローストしたり、鹿肉をブラウンソースで煮込んでシチューにして、壷に入れてパイで蓋をしたものを作ったり。
そしてシルがあるのを良いことにレストランで購入したレシピ10、11。
ピクルス・ナッツの蜂蜜漬け・ベリーのシロップ漬けで【漬ける】を、アイスクリーム・シャーベット・アイスキャンディで【冷凍】を覚えた。
子羊のローストと壷入りシチューで評価10を貰った。
それぞれ評価10の特典効果は15分間腕力2%アップ、20分間耐寒4%アップだった。ストックはまだあるけれど、紅茶・コーヒーをつくってみたら評価10で知力アップがついた。
食材のレベルで%が手順を多く踏む料理で時間がアップするらしい。今のところ鹿肉でシチューから加工した壷入りシチューの20分間4%が最高だ。耐寒なところがあれだが。
まだ時間が大分あるので広場で人と装備のひとり鑑定大会実施をしながら紅茶を飲む。カップをせっかく買ったのに外で飲むのが大半なので全く活躍しない。
スキルを使うと『シャドウ』は消えるとおもっていたが、【鑑定】と【隠蔽】は使っても『シャドウ』の効果は消えなかった。
【隠蔽】が5になったところでスキルを意図的に隠せるようになった。
とりあえず【看破】だけ隠してみる。隠したスキルは他人が【動物魔物鑑定】を使っても見えないが、【看破】を使い、かつ【動物魔物鑑定】のレベルが10以上高ければ見えてしまうそうだ。
私の【動物魔物鑑定】もまだレベル5で名前とレベル、ランクしか見ることが出来ないので、【隠蔽】を今からせっせと上げておけばきっと見破られることはないだろう。
神殿に行くと時間は少し早いがシンを除いて揃っていた。
「レオはサーじゃなかったのか? どうやってもどったんだ?」
「死に戻った!」
「うわぁ。デスペナルティ大丈夫なのか?」
「まだついてる!!!」
「二時間で消えるって言うからダンジョンつくころには余裕」
お茶漬が請合う。
「レオの場合、寝オチが心配」
時間通りにシンが到着してフォスに向かう、待ち合わせは東門だ。
「あ、やべ。フォスの街中の移動時間考えてなかった」
二時間後にロイ達と待ち合わせだったのに、自分たちの待ち合わせも二時間後にしてしまったようだ。お茶漬の言葉に馬車に飛び乗り東門に走りこんだ罠だ。
「すまん!」
「待たせた!」
「ごめんでし~」
「わははは! すまんッ!」
「時間の計算が出来てませんでした」
「遅れた!!」
「おう、来たか」
「さっそく移動しましょうか~」
「「ダンジョン、ダンジョン」」
口々に謝りながらロイ達と合流すると早速移動だ。
「新しい街は開けないのか?」
「いやあ、ボスが見つからないんですよ」
クラウと話しながら歩く。前のほうにシーフ派生な足の速いペテロ、レオ、モミジ、カエデ。
……ペテロ以外小さいので、ペテロがとてもロリショタ男に見えて生暖かい視線が止まらない。
ブルッと震えてペテロがこちらを振り向く。もちろん私はにっこり笑って口ぱくするのだ。
ろ り しょ た
ペテロががっくりしたところでクラウに言う。
「サーのボス倒してないから出ないとか?」
ファイナのボスはそんなに王都から離れていた覚えも、見つかりにくい場所にあった覚えも無いので私が思いつく、見つからない理由はそんなところだ。
「ああ、なるほど。後でロイに言ってみます」
「それにしても職業にも隠しというか変わったのがあるんだな」
「ですねー、早々に転職になって自分でもびっくりです」
告げられたクラウの職業は『隠者』。広場で鑑定しまくってるけれど見たことのない職業だ。
なり方が謎に属する部類で聞いてしまうと『隠者』に成れないか、劣化版になるのでどうやってなったかは聞いていない。だがだいぶ早いうちに転職したそうだ。そして魔術と錬金と法を司る神、木神タシャの祝福持ち。
攻撃魔法の使い手になったら威力がすごそうだというと、性にあわないと答えられた。
初討伐の報酬で装備もいいのだろうしちょっと勿体無いと思う反面、短い付き合いでもクラウののんびりした平和を好む雰囲気は感じられるため、らしいな、と思う。
攻撃魔法をどっかんどっかんするの楽しいけどな。
フォスは林が多い。林となだらかな平原を抜けてしばらく進むと段々と岩が増えて行き、大き目の丘陵の初めに岩々に隠れるようにダンジョンの入り口はあった。しかも先客有。
「あら、アナタ達見つけたくせにまだクリアしてなかったの? 人数少ないと弱いのと組まなきゃいけないし大変ねぇ、先にクリアさせてもらうわよ」
顔を合わせるなりそう言うとプレートに乗って消えていった。
「なんだろう、あれ言うためだけに待ってたのか?」
「それは暇すぎるでしょう」
「巻き込んですまねーな」
ダンジョンの入り口の部屋には床に二つのプレートがあり、ロイ達によると二パーティーが乗ることでダンジョンに入れるそうだ。
「3-3で入ってみたらきつくて死に戻った」
「それでお誘いが来たわけか」
「おうよ」
「で、入ったかんじ右のダンジョンはレイスとかスライムとか魔法使い向けの敵、左はお化けキノコとかスケルトンとかなんだがパーティーどうする? 魔法と物理でシャッフルしてみるか?」
私 → 魔法剣士(魔術士→剣士経由)
お茶漬 → 聖法使い(治癒士→拳士経由)
菊姫 → 戦士(剣士→シーフ経由)
シン → 魔拳士(拳士→魔術士経由)
ペテロ → 密偵(シーフ→魔術士経由)
レオ → 密偵(シーフ→治癒士経由)
ロイ → 戦士(剣士経由)
シラユリ → 聖法使い(治癒士経由)
暁 → 格闘家(拳士経由)
クラウ → 隠者(魔術士経由)
モミジ → 密偵(シーフ→治癒士経由)
カエデ → 弓使い(シーフ→魔術士経由)
職業を教えあって相談したところ
ロイ・お茶漬・私・暁・レオ・モミジ
菊姫・シラユリ・クラウ・ペテロ・シン・カエデ
以上の組み分けになった。
菊姫たちのパーティーがレイスのいるダンジョンに向かう。
クラウのエンチャントもあるしペテロ・シン・カエデは二職目を魔術士にしているため魔法が使える。一応、キノコのほうにもレイスがでてきた場合に備えて私はキノコ側だ。
プレートに乗ってパーティーリーダー同士がアライアンスを組むと、プレートの周囲が白い光に包まれ光が収まったときには人の手が加わっている洞窟の中に居た。洞窟内は薄っすらと壁と床が光っており薄明るく、壁が所々補強されている。
「ん~、歩く分には狭くは無いけど戦うには狭いから、部屋があるならなるべく部屋で戦おう。通路に敵が出た場合は俺が釣ってタゲとって反対側むかせるまで攻撃は控えてくれ」
「了解した。狭いし私は後ろで魔法かな」
「ロイ、少し右に寄せてくれ。後ろに物理三人で壁作ったらやりづらいだろ、なるべく脇で戦うわ」
「だね、レオは粗相しないように!」
暁が提案してくれ、お茶漬はレオを注意するが、むしろ私の魔法を味方に当ててしまう粗相が怖い。
「おうよ! そういえばモミジは【不意打ち】使えんの?」
「使えますー」
「ならよかった、ホムラに『シャドウ』かけてもらって【不意打ち】しようぜ!」
前回のフォスへの旅の戦闘で【不意打ち】の強さに味をしめたらしいレオ。
「いいが、他の魔法もレベル上げたいので一回おきで」
闇は『シャドウ』の他、レベル3の時に『闇のしじま』と言う沈黙の魔法と、レベル5の時に『エンチャント』を覚えた、その後何も覚えずレベル10に至る。
普段の移動中にかけるのでもレベルが上がるので上げるのは楽なのだが。
10には何か覚えるだろうと期待していたが何も覚えなかった。光は3の時に『光の静寂』と言うやはり沈黙効果のある魔法を覚えた。闇はフィールドを対象に、光は個を対象としている。闇は多数に有効だが指定したフィールドから敵がでると効果がなく、光は敵が移動しても効果はそのままだが一体にしかかからない。
次の魔法いつ覚えるのだろうか。
どっちかしかとれない場合を考慮して光と闇で似た効果の魔法を覚えてゆくのだろうか。
そんなことを考えていたら戦闘開始だ。
姿を見せたのはお化けキノコ四匹。
通路に現れたそれに向かってロイが走り左手に持つ大きな盾をぶつける様にしてすれ違えば、お化けキノコはロイを追い私達には背中を向ける。
「【ハイドインシャドウー】」
「【虎】『脚』」
暁の蹴り、でかい体なのに出した技の名前のように虎を思い起こさせるしなやかな動きだ。同じ技のはずがシンとは大分違う。片やネコ科、片やイヌ科の大型獣を思い起こさせる。
私も精進せねば。
「水の精霊『ルルー』『魅惑の水音〜』」
「レオに『シャドウ』」
とりあえず三人とは初めてなので自分の取る行動がわかる様に宣言してすすめますかね。
レオ待ってるぽいしな。
「って、精霊召喚か!」
「うっわ、えげつない」
「綺麗だけど悪女っぽいですー」
同士討ちを始めるお化けキノコに動揺する三人。お茶漬さんは最初から自重するきがないようだ。
「わははは! 【不意打ち】!」
「おー! なるほど『シャドウ』かけると【不意打ち】いけるのか」
ロイが感心しながら二匹目のタゲ固定に入っているが、お化けキノコが【不意打ち】が止めで倒れる時にバフンっと胞子を辺りにばらまき、ロイを含めて接近職四人が毒になってるんだが?
「おうふっ!」
投擲しかけていたお茶漬けが慌てて毒消しの魔法をロイにかける。
「モミジに『シャドウ』」
回復職大変そうだな、と思いながらボフンと飛ばされた胞子を見てこの洞窟が明るい理由を知る。先ほどの胞子が床に明るく光っていた。
「うをう!」
更に二匹倒したら一匹目から毒の残るレオが大変なことに。どうやらこの毒は重複してかかるようだ。HP、凄い量が減っている。
レオの命が尽きる前に最後の一匹を倒し一回目を終了。
□ □ □ □ □
・増・
料理
【漬ける】【冷凍】
□ □ □ □ □
ホムラ Lv.27
Rank D
職業 魔法剣士 薬士(暗殺者)
HP 818
MP 1034
STR 40
VIT 22
INT 51
MID 17
DEX 21
AGI 29
LUK 18
NPCP 【ガラハド】【-】
称号
■一般
【交流者】【廻る力】【謎を解き明かす者】
【経済の立役者】【孤高の冒険者】
■神々の祝福
【ヴァルの祝福】【ヴェルナの祝福】
■スレイヤー系
【リザードスレイヤー】【バグスレイヤー】
【ビーストスレイヤー】【ゲルスレイヤー】
【ドラゴンスレイヤー】
■マスターリング
【剣王】
スキル(7SP)
■魔術・魔法
【木魔術Lv.4】 【火魔術Lv.5】【土魔術Lv.5】
【金魔術Lv.4】 【水魔術Lv.4】【☆風魔法Lv.5】
【☆雷魔術Lv.5】【光魔術Lv.4】【☆闇魔法Lv.11】
■剣術
【剣術Lv.15】【スラッシュ】
【刀Lv.11】
■召喚
【白Lv.1】
■精霊術
水の精霊【ルーファLv.3】
闇の精霊【黒耀Lv.2】
■才能系
【体術】【回避】
■生産
【調合Lv.11】【錬金調合Lv.2】【料理Lv.8】
■収集
【採取】【採掘】
■鑑定・隠蔽
【道具薬品鑑定Lv.4】【植物食物鑑定Lv.5】
【動物魔物鑑定Lv.5】【スキル鑑定Lv.4】
【武器防具鑑定Lv.5】【看破】
【気配察知Lv.6】【気配希釈Lv.5】【隠蔽Lv.5】
■強化
【腕力強化Lv.3】【知力強化Lv.4】【精神強化Lv.3】
【器用強化Lv.3】【俊敏強化Lv.3】
【剣術強化Lv.3】【魔術強化Lv.3】
■耐性
【酔い耐性】
■その他
【HP自然回復】【MP自然回復】【暗視】【地図】【念話】
【装備チェンジ】【生活魔法】【☆運び】
☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの