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新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


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246/388

244.焼き串

「どうだ! くそー!!」



《ヴイーヴルの鱗×5を手に入れました》

《ヴイーヴルの毒牙×5を手に入れました》

《ヴイーヴルの大皮×5を手に入れました》

《ヴイーヴルの魔石を手に入れました》

《ヴイーヴルのガーネット×10を手に入れました》

《ヴイーヴルのダイヤ×5を手に入れました》

《『ヘビ皮の袋』を手に入れました》



「お疲れ様」

肩で息するガラハドを労わる。私は魔法で攻撃に回りカミラは魔法と弓、イーグルが回復、結果ガラハド一人がヴイーヴル相手に右往左往して苦労した。だが、叫びとともに根性で最後にクリティカルを発動してトドメを刺したのは流石だ。


「ホムラの『氷のエストック』といい、遠距離貫通が効くわねぇ。思ったより楽だったわ」

「弓、始めたんだな」

「貰っちゃったもの。『ヴェルス断罪の弓レプリカ』」

カミラは30まで上げた後は魔法の補助的に使っていた弓のレベル上げを再開したようだ。艶やかに笑って手に持つ弓を見せる。


「武器としても強いし、スキルが強力だからね」

そう言うイーグルが手に持つのも『断罪の剣レプリカ』だ。


「があああああああ!!! 飯! 肉! 肉をくれ!」

カミラとイーグルと話しているとストレスから解放されたらしいガラハドが叫び出した。叫んだガラハドの背にあるのもまた『断罪の大剣レプリカ』。


 『断罪の大剣』は私が持っているのだが、スキルを放つ時にしか使っていない。【大剣装備】で職による装備制限に引っかからずに扱えるのだが、刀剣のほうが好みなのだ。時々なら楽しいが力任せ物理でどっかんどっかんは菊姫に任せる。


 ボス戦を終えると、おやすみなさいのメールが何件か。ペテロからのメールにはおやすみなさいの他に迷宮から出たらレンガードの名前が飛び交ってたけれど何かあった? という心配とくれぐれも人前で白装備で焼き串を食うなとの釘さし。


 とりあえず、【烈火】と【クロノス】のライバル的何かに巻き込まれそうになっただけだと返信。


 安全地帯での長めの休憩になるとガラハドがあっという間に火を起こす。長すぎもせず、短すぎもせず、丁度休憩の間だけ燃えているという絶妙さ。


「椅子に座って食事もいいが、やっぱ串焼きはこうだよな!」

そう言いながらガラハドが脂が垂れそうな『黒鞠猪豚(くろまりいのぶた)』のバラ串にかぶりついて満足げに笑う。炭火で焼いた香ばしくも柔らかい肉串。


「やわらかいわね〜」

カミラも美味しそうに頬ばっている。フライパンで焼くと縮まって固くなったりするが肉の歯ごたえを残しつつも柔らかい。


「牛もいいが豚もいい」

火の加減か所々こげ色のついた部分がまた香ばしいのだ。匂いがやばい。


 焼き串をかじらないという選択肢はない。プレイヤーがこない場所なら安心です。


「このスープがスパイシーでいいね」

『火の雄鹿(おじか)』のスープカレー。でかいじゃがいもとでかい人参、スプーンでも簡単にほぐれるよく煮込んだ肉。あっさりした辛口。


「さらりとしてるけど、具がでけぇから食いでがあっていいな! 酒が欲しい」

「雑貨屋ではでかい人参が入った料理は出せんからな」

誰とは言わないが人参が苦手な大人が一名、出す時は小さめにしている。


「ハハッ、そのうちお子様二人も人参とかピーマンのでかいのもよくなるって」

「長じて大人の味覚になればね」

「ホムラの料理は美味しいもの」

いえ、もう立派な大人ですが。何歳だかわからんし。


 三人がラピスとノエルの二人のことだと思っているようだがそのままにしてスープを飲む、きっとそのうち現実を知ることだろう。



「こう、横着が過ぎないか?」

「何のことですか?」

ガラハドの問いに問い返す。


「ホムラ、丁寧語なるってことは自覚があるよね?」

「身に覚えがございません」

イーグルはさすがの観察眼……。丁寧語を使うとバレるのか、気をつけよう。


「『ヘビ皮の袋』がドロップしてよかったわ」

カミラは前向きな様子。


「うえ! 荷物いっぱいだった。もったいねぇ」

「進みながら取捨選択(しゅしゃせんたく)だね。私もヘビ皮出たから多少余裕がある」

どうやらカミラとイーグルは『ヘビ皮の袋』がドロップした様子。『ヘビ皮の袋』は大容量のアイテムポーチだ。


「ガラハド、私二つ持ってるし一つやろうか?」

お茶漬あたりに売りつけようと思いつつも、結局リデルに渡したものと実質二つ持っている。そもそも【ストレージ】があるのでアイテムポーチの容量が気にならない私だ。毎度ゲームでは持ち物の上限数が強敵だったので今の状態は夢のようだ。


「次の休憩ポイントで頼む、金は払うぞ。って違う!」

「いらんのか?」

「いる!」

どっちだ!


「ガラハドのポーチは置いておいて、ホムラ?」

「【誘引】からの『伏雷』連発は凶悪だわね」

小走りしながら前回と同じことをしている現在。「自分を連れて行けばクルルカンがいた場所にわく同種の蛇を避けられる」と自己申告があったので本蛇もレベル上げはしたいのだろうと判断。魔法を積極的に使っててクルルカンの杖のレベルを上げている、ついでに力を取り戻せば立ち直るのではないかとスパルタ中である。


「ここ飛んでいる敵ばかりで雷よく効くし、楽でいいぞ」

今回はカミラが『伏雷』から外れた敵を弓で削ってくれるし、削りきれず寄ってきた敵はガラハドとイーグルが倒してくれかなり楽だ。


「俺の知ってるダンジョン攻略と絶対違う!」

「私の知っているダンジョン攻略とも違うよ」

「よくMP持つわね」

MPは使う側から回復するし、敵にダメージを与えればやっぱり回復するのである。レベルが上がってMP消費の大きい魔法を覚えたら減ると思うのだが今は平気だ。


 乾いた地面の表面が崩れて足跡が残る。そこに落ちた黒いシルエットが光の粒となって四散する。光が消える前に、さらに飛んでくる羽アリに『伏雷』を放てば、側の別の個体に雷が分かれて走り、群れを焼く。

 外のフィールドの敵はともかく、迷宮を含むダンジョンの敵はパーティーの頭数の分、多くなる。これはNPC(じゅうにん)もカウントされるようだ。おかげで中々派手なことになっている。プチドラゴンが多いと属性石がよく落ちるので地味に嬉しい。


「ああ……。まだ先だと思ってた弓レベルが上がったわ」

「おめでとう」

カミラのスキルレベルのアップを祝う私。


「あっという間にボス前っていうね」

「一度通った道だからな」

マッピングは完了しているので迷うことはないのだ。私が潜るようになってから、迷宮変動が二度ほどあったが、蛇ルートへ来る前の話だ。そのうち一度はカジノで取得した転移プレートをその辺に設置したことが原因の人為的な発生、もっとも本人にその気は無かったようだが。

 

 【烈火】をはじめレベル上げのために同じ階層をぐるぐるしていたパーティーには不評で、シードルに足止めを食らっていた浅い層にいたパーティーには歓迎されたみたい、とお茶漬けがいっていた。シードルは踏んでも増えるし火で焼き払おうとすると爆発的に増えるし中々厄介だと、ちょっと懐かしく思い出す。


「地図があったって早い! 街じゃないっつーの!」

「着実に、と言いたいところだけれどファストのボスを連れ回した私たちが言えることじゃないね」

「早い分にはいいじゃない? あの人のスパルタのおかげで強くなったわけだし、四十層は私たちの到達階層だけれど今ならもっと奥に進めるくらいの自信はあるわ」

なんだか色々言われているが、とりあえずボス前の準備でHPMPの回復とEPの回復。


「豚もうまかったけどコレもいいな」

ガラハドが食べているのはネギマ、そしてセセリをもぐもぐする私。紫蘇(しそ)を巻いて焼いた柔らかいところと少し硬いところも入ったセセリは紫蘇の香り、セセリの風味、そして時々出てくるコリコリした食感が美味しい。ネギマのマは(まぐろ)のマだと知った時の驚き、完全に葱を間に挟むから『葱間』だと思ってた。


「つくね? 柔らかくておいしい」

カミラはふわふわタイプのつくねが気に入ったようだ。美人に串から食わせるのは少々あれだが、野外だしな。軟骨いりのものもおいしいぞ。

 

「私は塩のほうがいいかな」

イーグルは全般的にタレより塩のほうが好みらしい。


「やべぇ、ビール欲しい」

「ゆっくり食べたいね」

「攻略のために食事をしているのか、食事のために攻略してるのかわからなくなりそうだわ」

「好評なようで何よりです」

座って皿付きで食べるならば柚子胡椒用意したりするのだが、今はボスフロアへの移動手前の階段である。飲み物はウーロン茶に似たお茶だ。


 本日串モノが多いのはたまたまだ、決して焼き串を禁止された反動ではない。


「ここのボスはワイバーンだ。とりあえず下に落とすので攻撃を頼む」

「了解」

「O.K.」

「わかったわ」

準備万端整えてボスへの扉を開く。

 

「こりゃまたいかにもなステージだな」

大きな針のような岩山と、雷をはらんだ黒い雲が垂れ込めた空、ガラハドの言う通り雰囲気は満点だ。雲を破ってワイバーンが姿を現わす。広げた羽は銀。


「またお前か!」

『銀翼のワイバーン』、お前レアじゃなかったのか!


「またってレア種よね……?」

カミラが怪訝そうに聞いてくる。

「なぜか三匹目だ」

ヴイーヴルは普通ばかりなのに何故だ。


「『鉄塊(てっかい)の拘束』」

【重魔法】レベル40、敵が動くたび真っ黒な鉄塊が増えて動きを阻害する魔法だ。飛ぶ相手ならば、地に落とす。ワイバーンは見る見る間に翼にボコボコと黒い塊を生み、重さに耐えかねて羽ばたくことがならず墜落してきた。


「まあ、俺らにもヴェルスの祝福あるしな」

「それでもそこまで遭遇率は高くないと思うのだが……。さすが寵愛なのか」

ガラハドとイーグルが剣を抜いてワイバーンが落下するであろう場所に走り出しながら言う。ヴェルスの祝福の効果はレアボス率アップだ。嬉しい、嬉しい効果なのだが微妙に迷惑なのはさすがといえよう。


「魔法の効果切れる前に翼落とすぞ!」

「ああ!」

のんびりしているようでこういう時の判断と行動は早い二人だ。カミラはカミラで落ちた後の地上での機動を奪うためか、炎を纏った矢をワイバーンの足をめがけ放っている。


 ワイバーンを倒せばクルルカンに代わる蛇は留守のはずなのでいよいよ食材ルートだ。クルルカンの部屋を開けない天鱗(てんりん)ルートのボスも気になるがまだ見ぬ食材が魅力的過ぎる!



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― 新着の感想 ―
ネギま…学園の先生でしたっけ?
サクッとわちゃわちゃ。 そういえば、初読の時に鮪なのに驚いた。コンビニのネギマは鳥か?
[良い点] おいしいもので完全に餌付けされてる三人が秘された食材ルート(神々プロデュース)に入って愕然とする様子が今から楽しみすぎます。
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