19.採取
ヴェルナの祝福は闇属性との相性UPと運の補正でした。
大分うれしい。これで器用さと力の補正ももらえたら凄くうれしい。
最初の歌うような台詞から考えると出会える条件は
・変化した月の色
・人の手が入らないような森
・夜
そしてセリフから考えると祝福をもらえるのは闇と光をもらった状態で一人であること。セリフ部分は職業によって変化があるのではないだろうか、たぶん。属性関係ない職業困るだろうしな。
採取で見えない踊り跡地は採掘ポイントなのだろう。
とりあえずメールすると、熊に遭遇しまくってゆくのに時間がかかるのでいったんもどって案内してくれとの返事。
ついでに、
「殺してでも奪い取る」
「美人だったか!?」
「どうやってイベントさがすんでしか」
「く、くやしくなんかないんだからねッ!」
などとメールが入った。
いい友人たちである。
地図に場所を登録しつつ、時間制限で消えたりしたら嫌なので通りすがりに少しずつ採取してゆく。
最初に遭遇した場所からはシャドウをかけて小走りにもどり、パーティーを組みなおして全員にシャドウをかけて移動。
最初のログアウト予定は変更されるだろう。
「レオには悪いな」
「いんや、採取とったし」
「取ったのか!」
「そのうち採掘もとるぜ!」
採取と採掘と二手に分かれて収集をする。やはり何もない踊り跡は採掘ポイントになっていたようだ。熊が出たら隠れるのではなく戦闘をする方向と決め、こちらにきたら菊姫が、あちらにいったらシンがタゲをとっている間に合流する手はずにした。
一箇所だけあったキラキラ光る採取ポイントからは十本ほどが『月詠草』で、それにまじって『火の実』『水の実』などの属性の名前を持った実が取れた。
月詠草は黒に近い葉と茎を持ち、小さないっそ透明に見えるほど繊細な白い花をつけている。その白い花が月の光にキラキラと輝いていたのだ。
これ根ごと持って行ったら鉢植えに出来ないだろうか……群れて咲いていたほうが綺麗だが。そっと数本を根を切らないように土ごと採取する。
できるのか。
しおれる様子もなく土ごと採取できたことに気をよくして、火の種にも挑戦、こちらは失敗。何故だ。
火の種は土ごと採取したつもりだったのにポーチで普通に採取した分が増えているだけだった。幾種類か試すと風の実が土ごと採取に成功、これは相性の問題だろうか祝福の問題だろうか……。
「何してるでし?」
「鉢植えとかできんもんかとおもって」
「アイテムポーチがあれば切花でもずっとしおれないんじゃないでしか?」
「そうなんだが、まあ気分的に。実際土ごと取れるのあったしな」
「ん~ん、あとで栽培とかできるでしかね??」
「オレは全部刈っちゃったあとだ!」
うん、私が土ごととるなんて悠長なことしてたからね。いやでも早すぎだろう。
「家持てるようになればいいんだけどな」
「この世界の雰囲気からいうとそのうち持てそうでしよね」
「金かかりそうだぜ!」
「今からためておかないと」
他は『質のいい薬草』の中に『夜露の綿』と『月光の紡ぎ草』があった。
「この二つは名前からして裁縫の素材かな?」
「多分そうだと思うでし」
「薬草と交換する?」
「取れる量的にこっちのほうが高くないでしか?」
「どうだろう? 両方はじめて見るからわからん」
「町に着いたらNPCに売るときの値段みて交換お願いするでし」
「オレのもいいぜ~!」
「あ、薬草とか住人に売り払うなら売ってくれ」
「同じくでし~」
ちなみにためしたら『夜露の綿』と『月光の紡ぎ草』は土ごととれた。こちらも二本ずつ確保。
採掘組も初見の素材が取れたらしくほくほくしながら川辺にもどることにした。川に魔物がいる様子はいまのところなかったので野営するなら川辺で、ということになったのだ。真っ直ぐもどったので夕食を食べた場所より北よりだ。
「陣敷いて落ちるとして、シャドウも途中で切れるけどかけてもらっていいか?」
「了解」
何もしなくても五分ほどで切れるので本当に気休めだ。
「集合は現実時間で三時でOK?」
「おっけ」
最初は交代で見張り予定だったが、ログアウトしたら起こせないだろ、少人数で熊も無理! という話になり陣を信じて結局全員寝ることにしたのだ。
起きたらファストの神殿とかは嫌だな。
全員にシャドウをかけてテントにもぐりこむ。
トイレを済ませお茶を淹れてPCで熊肉の食べ方を調べている現在。バターも【混ぜる】で作れそうだ。
現実世界では片付けが大嫌いなので実はそんなに料理はしない。作るのも食べるのも好きなのだが。
猟師煮は味噌がない。味噌醤油がないと無難なのがワイン煮かビール煮、ワイン煮作ってあとはもう鹿焼肉の時に一緒に焼いてしまう方向でいいか。って『煮込む』を持ってないな、街に着いたら『煮込む』のレシピを買おう。今回は焼肉の方向だな。
金をためようと思うそばから欲しいものが出てくる罠よ。
そんなことを思いつつ午後三時にログイン。
《お知らせします》
《住人一人にしか渡せないパートナーカードに関して、パーティーに呼べる住人へのカードはこれよりパーティーパートナーカードと致します》
《これにより住人とパートナーカードをプレイヤー同士と同じく複数の交換ができるようになります》
《なお、すでに交換されているカードについてはパーティーパートナーカードに修正済みです》
《これにより、パートナーカードを交換した住人から連絡が来ることがあります》
《強制呼び出しは使用できませんが、住人からパーティーに誘われることがあります》
《また、住人の職業・好感度等により冒険に誘えるようになります》
《住人には好感度があり、パーティーパートナーカード及びパートナーカードを交換した住人であっても、下がりすぎると住人側からカードが破棄されることがあります》
《好感度は、普段の交流・一緒にクエストや戦闘を行う・戦闘に勝利することなどで上昇します》
《住人には最初から特別な個体も存在しますが、一般の住人であってもプレイヤーと交流することで成長し、特別な個体となる場合があります》
《詳しくはメニューをご覧ください》
隣でペテロも起きていた。顔にかかった髪を背中に払いながら挨拶する。
「おはよう」
「こっちは夜中だけどおはよう」
「運営からなんかきてたね」
「来てたな」
これで思う存分幼女とパトカ交換できるな、と言ってやろうかと思ったが自重した。
ペテロとネットゲームで一番付き合いが長いのが私のため、戦闘面を考慮しないでペアになるときは自然ペテロと組むことが多い。今回も一緒のテントはペテロとだ。
テントから出て、陣とテントを仕舞う。他の四人も起きだしたようだ、無事で何より。
食事や生産作業中は光魔術の『ライト』で光源を出している。移動中もレベル上げ方々使おうかと思ったが近くが明るいと 反比例して遠くや周囲が見え難くなったため、止めている、暗視持ちにはむしろ邪魔だった。
世の中には【暗視】を取らずに松明を治癒士や魔術士に持たせて戦う縛りプレイとしか思えんことをする奴らもいるそうだが、うちは全員が暗視持ちだ。
とりあえず作ってあった生クリームを更にまぜ、バターを作る。リアルではペットボトルに生クリームをつっこんで一時間近くシャカシャカふってもできるようだが。ゲームってすばらしいな、かき回してもEPが減るまではキツさもダルさもないしな。ついでに【攪拌】を覚えた。
ローストが少々待つかなくらいなのだ、この搔き回す時間くらいなんでもない。
食事にコーヒー、トースト、バター、ベーコンエッグ、オレンジジュースを配る。
ベーコンエッグは半熟が私、ペテロ、お茶漬で、他三人はしっかり火が通ったものだ。
「醤油が欲しい」
「ソース」
「ケチャップ」
「塩コショウ」
「マヨネーズ」
「めんつゆ」
醤油が欲しいとつぶやいたら色々返ってきた。全員嗜好が違う模様、本日の目玉焼きは塩胡椒です。
醤油とめんつゆ以外は作れそうだが。
大豆はどこだ……
進路に現れる熊を倒していると、魔物の中にホウセン火というダジャレのような名前の魔物とカイフク草が混ざるようになった。カイフク草はその名の通り攻撃を受けた敵を回復してしまう。
ホウセン火は火で包まれた種を高速で主に後衛を狙って飛ばしてくる上、その攻撃には一定確率で『燃焼』の効果がつく。そして熊に攻撃力UPの補助魔法までかけて来るのだ。
幸いHPはそう高くなく、シャドウからの不意打ちプラス、シンか菊姫の一撃で倒せる。そのうち数が増えてきたり、補助を使うような敵の耐久が上がってくると、なにか対処が必要になるかもしれない。今は力押しだけれど、【仕手】で止めるか、闇魔法Lv.3で覚えた『沈黙』を使うべきだろう。
全体魔法が欲しいところ。
レベルは22になっており、とうとう闇魔法のレベルが剣術に並んでしまった。
川が跨げるほど細くなりとうとう木々の根の間から湧き出る泉となった。
「渓流釣りはどこ!?」
「もっとアップダウンのある地形でないと無理だろ」
「まあ、何かいるっぽいし釣ったら?」
「ぐぬぅっ」
納得いかない顔をしながらそれでも釣り糸を垂れたレオにコーヒーを渡し、こちらも休憩。砂糖とミルクは面倒で各自入れろとまとめて先渡ししている。因みに一度コーヒーをアイテムポーチに入れてしまうと、砂糖を入れても甘くならなかったらしい。【料理】持ちが入れれば後入れでも甘くなるようだが。
「ここ砂とれるよ、『高品質な磨き砂』だって」
「砥石の一種かな」
採掘組は泉の縁で砂を浚っている。水を鑑定したらこちらも『高品質な水』となっていたので水を樽の水と入れ替えている。
飲料的にも鍛冶の焼き入れ用としても使えるようだ。
「樽くれ」
「やらんわ!」
まさかの樽人気、やらんと答えたがまあ、調理済み料理だせば食事は問題ないし、茶用はひと樽あれば十分足るだろう。十樽買ってるしな!
というわけでひと樽ずつ全員に渡す、街に着いたら樽を買い足そう、空樽になったら酒をこれに入れて時間促進かけてみるつもりだったのだが。オーク製の樽とかあるだろうか。
レオが釣った魚は『アオウオ』、ワカサギに似た姿の青みを帯びた11から13センチくらいの魚だ。フライにして食べたが、クセがなくほんのり甘い旨みの強い魚で、揚げるそばから無くなるくらい旨かった。
当然のごとくビールを要求してくる三人組もいたが。
七味を作る材料はそろうだろうか。チンピはオレンジの皮で代用……は効かなそうだな。
『揚げる』の料理方法がレシピ8なせいか、このアオウオが高Rank食材なのか料理が1上がった。朝も1レベルあがっているので私にしてはかなりなハイペースではないだろうか。
《お知らせします。セカンのフィールドボス『ゴブリンキング』がロイ・クラウ・カエデ・モミジ・暁・シラユリによって討伐されました》
「またこの人たちか~」
流れたワールドアナウンスにペテロが反応する。
「また?」
「セカンの開放もこのパーティーだよ」
「ファストのフィールドボスもこのパーティーじゃなかったっけ? 所謂、攻略組トップのパーティーですね」
「ボスの最初の討伐者でボス初討伐すると特典あります、のアナウンスの人達な」
「和風な名前多いのに漢字が一人だけだな」
「ファンタジーだと思うとついカタカナにしてしまう」
「うむ、人のこと言えぬ」
こうして話をあさっての方向に進めながら北を目指す。
敵はトカゲもでたけど熊が赤黒く大きくなりました。
その後も戦闘を続け、レオの願いのせいか途中小さな池がひとつ。
そこでレオの釣り上げた魚を予定通り串に刺して塩焼きを食べたのだが、気がついたら肉も焼いていた。
こんがり焚き火で焼かれた塩を振っただけのトビウサギの肉。皮がパリパリで中は肉汁が……ってEPの回復量は少ないが食材レベルがトビウサギは低いためパンと同じく評価9がついていた。
すまんなレオの釣ったヨルマス。そのうち貴様も高評価だせるようになってやる。
□ □ □ □ □
・増・
レベル+1
□ □ □ □ □
ホムラ Lv.22
Rank D
職業 魔法剣士 薬士
HP 605
MP 778
STR 34(+1)
VIT 22
INT 43
MID 16
DEX 15(+1)
AGI 22
LUK 14
NPCP 【ガラハド】【-】
称号
■一般
【交流者】【廻る力】【謎を解き明かす者】
■神々の祝福
【ヴァルの祝福】【ヴェルナの祝福】
スキル(1SP)
■魔術・魔法
【木魔術Lv.3】【火魔術Lv.5】【土魔術Lv.3】
【金魔術Lv.4】【水魔術Lv.3】【☆風魔法Lv.3】
【光魔術Lv.2】【☆闇魔法Lv.8】
■剣術
【剣術Lv.8】【スラッシュ】
【刀Lv.1】
■召喚
【白Lv.1】
■精霊術
水の精霊【ルーファLv.2】
■才能系
【体術】
■生産
【調合Lv.1】【錬金調合Lv.1】【料理Lv.6】
■収集
【採取】
■鑑定・隠蔽
【道具薬品鑑定Lv.3】【植物食物鑑定Lv.4】
【動物魔物鑑定Lv.5】【スキル鑑定Lv.2】
【武器防具鑑定Lv.2】
【気配察知Lv.3】【気配希釈Lv.3】
■強化
【腕力強化Lv.2】【知力強化Lv.4】【精神強化Lv.2】
【器用強化Lv.2】【俊敏強化Lv.2】
【剣術強化Lv.3】【魔術強化Lv.2】
■その他
【HP自然回復】【MP自然回復】【暗視】【地図】【念話】
【装備チェンジ】