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新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


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18.野営

 岸に上がって服を乾かす、一度装備を入れ替えれば元に戻るので便利だ。耐久の確認をついでにしておこう。


「き、さ、ま、ら! 押し付けたな〜っ!」

「いやあ、気のせい?」

笑顔でそらっとぼけるペテロ。


「強そうな精霊でうらやましいでし〜」

「最初にお触りしたのはお茶漬だし?」

菊姫もシンもお茶漬と目を合わせない。


「そう言えばペテロ、誕生日四月にした?」

流れを変えるために気になっていたことをペテロに聞く私。


「したというか、変え忘れてデフォルトの四月一日です」

「わははは、エイプリルフールか!」

「誕生日で属性相性が決まるで決定かな」

「ほうほう、八月は何かね」

「貴様等! 流れるように話題を逸らすな!」


 気づかれた!?


「まあまあ、私達が報酬で貰った精霊、能力は回復の効果だし、お茶漬が他の貰うのは順当だったと思うよ」

いい笑顔でそう告げるペテロ。レオも治癒持ってる気がするが口をつぐんでいる私。

「あ、ほんと回復でし」

「どうしてもという時の回復手段と回復できるメンツが増えたのはいいこったな」

菊姫とシンの援護ゲットでお茶漬がぐぬぬっとなっているが納得してくれたようだ。めでたいめでたい。ご機嫌とりに熱めのコーヒーを振る舞っておいた。



「精霊は精霊使いが使うのとどう違うのかね?」

「さあ? 説明に職業が精霊使いの場合、精霊の覚える能力が全て使える、ってあるからこれから精霊がいろいろ覚えるんじゃない? 初期はそもそも使える能力が少ないから、そうかわんないとおもうよ」

レオの疑問にコーヒーを飲みながら答えるお茶漬。


「わたち達の精霊はまだ一個しかおぼえてないでしよね」

「能力追加の精霊石貰ったからすぐに追加できるんじゃないかな?」

そう、お茶漬以外は精霊の能力を増やす効果がある精霊石を二つずつ貰っている。ルルーが強い精霊のため、おまけでバランスを取っているのだろう。一精霊一個まで使用可能とのことだが、これは強い精霊と出会うまで取っておくべきか。



「いやー便利ですね」

さっきとうって変わってお茶漬は上機嫌だ。


 現在戦闘中、目の前で嫌な感じの同士討ちを繰り広げている鹿がいる。オスはルルーに『魅了』されメスを攻撃し、メスは『怒り』状態でオスを攻撃している。怒りは敵味方無差別攻撃なのだが、攻撃されても反撃しなければそのうち同士討ちを始める。


 戦闘のコツはメスのヘイトを稼がないこと。まあ、時間短縮のためにメス一匹のタゲは菊姫が持って普通に戦闘しているのだが、その脇ではオスとメスの地獄絵図みたいな何か。

 何故そう感じるかというと、ルルーが技をかける際にお色気むんむんでオスを魅了した後に、メスに『怒り』の状態異常がついたからだ。

 なんで上機嫌なのお茶漬さん……いや、まあ、戦闘が楽になったからだろうが。


 レベルが21になりました。

 速攻【刀】を取得したが、ステータスのほうはシャドウを使うために杖装備で魔術で戦っていたため、ちょっと腕力に振るのをためらってつい器用と俊敏に振ってしまった。料理もするしペテロとレオについてゆくの移動速度が遅くて大変だしな、いいとする。


 その後も戦闘を続け休憩とおやつと採取を行い、戦闘を続行。適当に強さを見て適度に戦闘を避けて進む予定だったのが、会う敵会う敵倒して進んでいる。

 採取は薬草と普通に採れるビワ。ビワのタルトを作ってくれないか菊姫と交渉してみよう、いや補正あるから私でもいけるか? 調理方法は【焼く】でいいのか?


 休憩中の最初に、そっとチーズとブランデーに【時間促進】を掛けている。【料理】自体はEP消費でできるが、料理のスキルはMPを消費するから最初に掛けておくのがいい。あとは【MP自動回復】で休憩が終わるころにはMPMAXにもどっている。たぶん釣りやら採取やらで、うちのパーティーは他のパーティーより大分休憩時間を取っているのではないだろうか。EP回復のために食べているというより食べるためにEPを使っているところもあるしな。


 日が暮れて夜に現れた敵は熊だった、フルール熊が一匹。……お茶漬が不満そうなのは見なかったことにした。

 敵が一匹ならば【不意打ち】をレオも覚えたため、熊の攻撃で菊姫の持っていかれるHPは多いものの難なく倒すことが出来る。ペテロとレオに交互にシャドウを掛ける様になったせいで、他の魔法も剣術も使う隙がなくなってしまったが。おかげで闇魔術が先に覚えていたいくつかの魔術レベルを追い越した。


 戦利品は熊肉・熊皮・熊の胆だ。熊の手だったらどうしようかと思ったのは内緒だ。


 川の砂の中にペテロが砂鉄を見つけたので採取・採掘休憩を取り、その後も八時ごろまで戦闘をして夕食の準備をする。

 昼間肉だったのでバーベキューセットの網を鉄板に変えて、荒めのパン粉をまぶして香草焼にしたマス、クレソンとレモンをパン粉に包まれ狐色になったマスのうえに乗せてメインの出来上がり。付け合せに【時間促進】を掛けてローストした玉ねぎとパプリカ。あとはパンとサラダ、コーヒーを全員に配る。

 パンは補正が二つつくうえ、食材レベルが高くないため驚きの評価9だ。最初に評価10を貰えるとしたらコレなんじゃなかろうか?


「白ワインが欲しいでし!」

抜かりはありません。菊姫の言葉に白ワインとビールを配る。


 ちなみに一回葡萄の皮をむいて白ワインを作った後はレシピで追加された白ワインを選択すれば葡萄はそのまま荷物にあるだけでオッケーだった。それにどうも【料理】を使わない料理をしても、現実世界と違って二、三個材料が抜けていても主要な材料があればスルーして出来てしまうようだ。分量も適当でいいというやさしさ加減。そういうわけで得意料理『魚』【焼く】補正が効いています。


「さあ食うがいい」

評価5よりあがったのだ!

「おー!」

「いただきます」

「わーい」

「美味しそう」

「ごはーん」


「白ワインうめぇ」

「菊姫、素が」

「気のせいでし」

「私、魚得意じゃないけどこれ外側サクサクで身がふっくらで美味しい」

「パンがやべええええええ」

「飲み込んでからしゃべれ!」

レオに教育的指導をしようとするお茶漬。うん、パンはともかく野外効果で二割増し美味しく感じてるんだと思う。少々騒がしすぎる気もするがみんなと食べる飯は美味い。


「昼間はまたわいわい肉焼こうか、まだロースあるし。もしくはお好み焼きとか。熊肉はどうしたらいいかログアウト中にちょっと調べてこよう」

「熊は無理に食べなくてもいいよ」

その後何度かおかわりに応え、ちょっとだけこの後の野菜などの材料の心配をする。多めに買ってきたつもりだったがこの分だとギリギリになりそうだ。これはどこか一食は焚き火を囲んでマスの塩焼きにするかな。ああ、チーズばかり作っていたが、バターの作り方も調べておこう。心のメモに書き込みながらデザートを出す。


「ナッツのパウンドケーキでし」

「そそ」

「付け合せにアイスが欲しい」

一応生クリームはつけているのだが。


「レストランで売っているからレシピをクレ」

アイスクリームとシャーベット、ベリージャムの載ったレシピは売っているのを見つけたのだが高かった。2,100かと思ったら21,000だったときの衝撃。たぶんこのレシピで【冷凍】とかを覚えるのではないだろうか。

 そしてレアチーズ作ろうとして失敗したので、どこかに【冷蔵】とかを覚えるレシピがあるのだろう。ちなみに生クリームは【まぜる】でいけた。


 他に露店で6から8のレシピを確認しているが6からは丸が三つ後ろにつくようだ。6が【焼く】7が【炒める】8が【揚げる】だったため、得意料理のおかげですでにアレンジができるし購入はしていない。

 レシピ9から11がレストランに売っており、こちらは自分が覚えていないためか、何の調理法を覚えるかわからなかった。まあ料理名から大体予想はつくのだが。コーンスープが飲みたいのでレシピ9は欲しいところ。9,000シル也。


 相変わらず騒がしい夕食を終え火を囲んで過ごす、全員いるので魔物が寄って来ても大丈夫だろう。それぞれ生産しながらの会話を交わす。


 私は今、調合をするかどうか迷っている、レシピも買った、材料もそろってる。

 だがこれまた得意調合あるんじゃないか? という疑惑を持ってしまったのだ。MPについてはシャドウはレベル1で大して消費しないし、HPに関してもお茶漬の的確な回復のお陰で自動回復で間に合ってしまうため、薬には余裕がある、街に帰って試してからにしよう。

 これまた、お茶漬情報で『師』とか『匠』が職業やら称号についてる住人に習うと、習ったものが優先されるそうな。今、調合をすると最初に使ったHP回復薬になってしまう可能性が高い。


 さて、では何をしよう。料理は材料消費がきになるし。夜の採取に一人で行くのも危険だ、だが。


「採取に行ってくる」

「危ないんじゃ」

「死んだらファストに戻されるぜ?」

「ついてく?」

「いや、シャドウかけてくから。熊もアクティブだけど戦闘中も隠せたということはこの辺の敵には効果があるんだろう。採取すると切れるけど気配察知あるから油断しなければ平気」

「なるほど」

「レオのヨルマスみたいに夜しかとれない系がありそうだし、面白そうだけど採取じゃ場所が違うだろうからついてけないな」

「菊姫行くか?」

「んー、皮を加工しちゃうでし。明日の晩連れてってほしいでし」

「了解、では行ってくる」

「気をつけてな」

「二時間後にはログアウトするから戻ってこいよ」


 みんなの声を背に歩き始める、地図と暗視は便利だ。向かったのは川を背にして東。

 採取ポイントが見つからなくてもマップを埋めて行く作業も嫌いでないので問題ない。こうして夜の森を一人で歩く機会はなかなかないだろう。枝の間から見える月が綺麗だし、月影が落とす木々の影も綺麗に見える。

 初ログインした晩は黄色く見えていた月が今は金色に見える。小さく遠く見える白い月と大きく輝く金色の月、なんとも幻想的な異世界だ。


 この世界では一年はファルの月、四月から始まり、ファルとタシャの月、タシャの月、と間に二柱で守護する月を挟みながら順に巡ってゆく。

 そして三月(みつき)の間に一度、日が決まっているわけでもなく、白い月の色が変わる。四から六月は金色、七月から九月は赤、十月から十二月は黄色、一月から三月はオレンジと色の違う月が見られるそうだ。魔素の関係だとか解明しようとしている学者もいるらしいが実際のところは三月の間のどこかで見られることと、色の違う月が現れた月(暦のほう)の守護が活性化し、その眷属たる精霊に出会いやすくなるくらいしか分かっていない。


 四月五月などと当てはめたが実際はファルの月とかヴァルの月という記述だった、始まりのいくつかしか覚えていない罠よ。……うん、町にもどったら少々高いけど、レシピ諦めてあの本を買おう。



 結構な頻度で熊を見かけるがこちらに気づいた気配はない。一応気配察知で見つけたら風下に移動しているのだが、意味はあるのだろうか? そのせいで北へ北へと進路がずれてゆく。

 

 そして私は採取ポイントより先にまた見つけてしまったようです。いや、採取ポイントも見つけた。とりあえずみんなに一斉送信メールをする。



ホムラ送信:すまん、なんかまた精霊見つけたくさい。そこから三十分くらいだがこれるか?

お茶漬送信:どこやねん



 短い返事がお茶漬からきた。場所の説明難しいんだが!



ホムラ送信:そこから川を背にして20度くらい北?



 あれか一回戻ったほうがいいか? でもなんかこの精霊移動してるからまた見つけられる自信がない。

 精霊はスーッと消えては10メートルくらい先にふっと現れ、暫くそこで月光を浴びて緩やかに舞い、また移動する。精霊が踊った後には『質のいい薬草』が生えていた、どうやら収集ポイントになるようだ。

 踊りのサークルは一つおきに採取ポイントを作ってゆき今は四つ目だ、キラキラ輝くポイントが混じっている。一つおきなのは採掘ポイントと交互なのかもしれない。

『質のいい薬草』をぶちぶちしつつ精霊らしきものを追いながら待つことしばし、お茶漬から返事が来た。



お茶漬送信:無理っぽいから進めちゃって〜



 まあ、三十分離れてて場所も定かじゃないしな。と言うわけで精霊に近づく。

 精霊だよな? 気配察知ででる魔物のマーカーじゃないし。急に戦闘になったらどうしようという不安が持ち上がったがすでに精霊に気づかれた、と同時にパーティ表示が消えた。


『色づいた月の光を浴びる』

『夜の森に舞う』

『私は全ての夜の森に遊び』

『私は全ての朝の森を後にする』

『色づいた月にしか見せない舞』

『私の姿を見た貴方は誰?』


 個性のないしかし美しい幼い少女たち。その中央に浮かぶ輝く白い肌と漆黒の髪のこれも美しい女性が聞いてくる。肌は白いから目立ったが、よく見ると髪を含め全体的に白く光っている。


 こ の 光 に は 見 覚 え が あ り ま す 。


「私の名前はホムラだ」


「貴方は私の力の欠片をその身に宿しているのね?」

「今はヒトの息する地に私の霊蔵はないはず」

「ああ、私の半身の欠片も感じるわ」

「貴方独りで来たのも気に入ったわ、騒がしいのは嫌い」

「いいわ、貴方に祝福をあげる」


 そういい残すと闇の女神とその眷族は消えていった。

 闇の女神でいいんだよな……?


《称号【ヴェルナの祝福】を手に入れました》

《【闇魔術】が【闇魔法】に変化しました》



アナウンスが流れたとたんお茶漬たちからメールが届いた。



お茶漬送信:死んだ? 

ペテロ送信:勇者よ死んでしまうとは情けない

シン 送信:神殿か?

レオ 送信:わははははは

菊姫 送信:死んじゃったでしか? 



 レオはスルーするとして、イベントでパーティーから出されたけど無事だと返事をしておこう。祝福の効果はなにがもらえたのかな。



□    □    □    □    □    

・増・

レベル+1

称号

【ヴェルナの祝福】

【闇魔術】→【闇魔法】

スキル

【刀】

□    □    □    □    □ 


ホムラ Lv.21

Rank D

職業  魔法剣士 薬士

HP  566

MP  732

STR 32

VIT 22

INT 42

MID 16

DEX 14

AGI 21

LUK 12


NPCP 【ガラハド】【-】

称号

■一般

【交流者】【廻る力】【謎を解き明かす者】

■神々の祝福

【ヴァルの祝福】【ヴェルナの祝福】


スキル(1SP)

■魔術・魔法

【木魔術Lv.3】【火魔術Lv.5】【土魔術Lv.3】

【金魔術Lv.4】【水魔術Lv.3】【☆風魔法Lv.3】

【光魔術Lv.2】【☆闇魔法Lv.4】

■剣術

【剣術Lv.8】【スラッシュ】

【刀Lv.1】

■召喚

【白Lv.1】

■精霊術

 水の精霊【ルーファLv.1】

■才能系

【体術】

■生産

【調合Lv.1】【錬金調合Lv.1】【料理Lv.4】

■収集

【採取】

■鑑定・隠蔽

【道具薬品鑑定Lv.3】【植物食物鑑定Lv.4】

【動物魔物鑑定Lv.4】【スキル鑑定Lv.2】

【武器防具鑑定Lv.2】

【気配察知Lv.3】【気配希釈Lv.3】

■強化

【腕力強化Lv.2】【知力強化Lv.4】【精神強化Lv.2】

【器用強化Lv.2】【俊敏強化Lv.2】

【剣術強化Lv.3】【魔術強化Lv.2】

■その他

【HP自然回復】【MP自然回復】【暗視】【地図】【念話】

【装備チェンジ】

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― 新着の感想 ―
初回で祝福なのは、遭遇難易度的な物だろうか。 やっぱりこのシリーズが一番好きだ。(n回目読み返し中)
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