表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新しいゲーム始めました。~使命もないのに最強です?~  作者: じゃがバター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/388

163.称号封印

 自分の【ハウス】に行く。白の言った事を考えると雑貨屋に行くのは得策ではないだろう。

 ……と、思っていたのだが。


「主〜」

「主!」

中継地点の神殿で思い切りラピスとノエルに遭遇。目があった――私は仮面付きだが――途端、いつものようにパタパタと走ってきて左右から抱きつく。外では控えなさいと、そろそろ言わないといかん気がする。

闘技場で得た【転移】を使って直接【ハウス】に行けばよかったのだが、つい癖で【空魔法】を使用、神殿に出てしまった。まあ、まだ幼いし【傾国】云々の影響は弱いはず。


「……主、いい匂い」

「なんだか気持ちいいです」


 アウトォーーーーーーッ! 

 獣人の嗅覚、獣人の嗅覚か! 二人して鼻を擦り付けるのはやめなさい。まだセーフだが、あと十センチ育ったら色々アウトですよ!

 ルシャのくれたほうの仮面をすれば多少マシかと思い当たるが、ここで仮面の付け替えはできない。


 とりあえず、人目が痛いので【ハウス】に転移。決してロリショタではない! ただでさえ、闘技場で不穏な称号がついたというのに。あ、【ハウス】も【箱庭】と同じく命名できたので【家】にしておいた。苦情は受け付けない。


 ひっついたまま気持ちよさそうに尻尾を揺らす二人を抱えるように【庭】に駆け込む。いつも移動を始めると邪魔にならないように、すぐ離れる二人がくっつきっぱなしなのはおかしい。些細なことだが異常事態だ。そして身に覚えがありすぎる。


 たぶん、居る。居て欲しい。

 ――念願叶ってというか、予想どおりというか、タシャとアシャ、ヴェルスが居た。


「開口一番ですまんが、【傾国】を本当になんとかしてくれ」

タシャに訴える私。

「このヴェルスもいるというのに何故タシャ一人に訴えるのだ!」

ヴェルスが寄ってきて不本意そうに言うが、信用度の問題です。相変わらず無駄にキラキラしい。


「ルシャからも聞いておる、金を司るものが渡した仮面をつけよ」

言われた通り、仮面を付け替える。ラピスとノエルは降ろした地面にそのままちょこんと座っている。突然見知らぬ三柱に会って驚いてそのまま固まっているようだ。


「おお、それがファルがつけた【傾国】の効果か。人の身には余ろうな」

アシャがどこか浮かれたように言う。貴様はファルだったらなんでもいいのかパンツ神め。


「貴方がしっかりファルを捕まえておいてくれたら、こんな目にはあわんのだが?」

「人の生など神々からしたらあっという間だ。そんな短い時間さえも縛ろうとは思わん、ファルはファルらしくあるのがいい」

良いこと言ってるようで残念女神の野放し宣言をするアシャ、おのれ……っ!


「……そなたも難儀よの」

タシャが仮面越しに額に触れる。


「【称号】を封印する。通常は試練か、罪を犯した者につけるものなのだがな、【スキル】としてそなた自身が調整できれば問題なかろうて」

「さすが法を司る者よ、だが試練ならば私だ!」

バサッとローブを翻し、ヴェルスが口を出す。

「遠慮します」

やめろ、余計なことをするな。


「なんの、遠慮はいらぬ。我が美しきヴェルナもそなたのことは気に入っているようだしな」

「……どちらにしても祝いは贈る予定じゃ」

あ、もしかして監視の意味も込めてヴェルスと一緒に来たのかタシャ。何か疲れたような諦めたような声色だ。ヴェルスがものすごくウキウキしているのが不穏。


「この宴会場(?)は完成したのか?」

「うむ、技巧の神がこだわったらしいの。我らが()ねば、ただの石の東屋だがな」

「ただの、ではないと思うが」

石で出来ているとは思えないほど優美で繊細な作りだ。前回ファルが出していた布の類は今はないが、建物の白だけでも美しい。


「自由に使ってかまわんぞ。なにせここはそなたの【庭】じゃからの。我らは間借りじゃ」

「私がいない時でも料理を食べられるように収納があるといいんだがな」

「この『生命の樹』のウロに頼もうかの」

ウロなんぞあったかと木を見れば、出し入れに丁度よさげな高さにウロが出来ていた。今作ったのか。ついでに育ったせいか『生命の木』から『生命の樹』に変わっている。そのうち大樹とかになるんだろうか。


 『生命の樹』は目に見えて大きくなった。この勢いで育たれると、広いと思っていた【箱庭】もそのうち狭く感じるようになるかもしれない。相変わらず葉に雫を宿し、のびのびと上だけでなく下へも枝を広げている。


「私からは『火』だ。武具を贈るしかないかと思っていたが、ルシャが(かまど)をしつらえていた。『火』は私の領分だからな」

竃なんか作ってたのか、宴会に本気すぎる。


「ありがとう」

平和でいい贈り物だ、破格な気はするが。ファルさえ絡まなければ普通なのに絡んだ途端、なんでああなるのか。恋は盲目というのは神にも適用されるらしい。


「さて、まだ定住しておらぬ場所に長居もなるまい」

「次に会う時は美味いものを頼む」

タシャが言えば、アシャが笑う。戦を司るだけあって、男らしい表情だ。本当になんで残念女神に惑わされてるんだ。

「目にも美しいものを所望する!」

……ヴェルスにはつい私のスルースキルが発揮されてしまう。一応フォローしておくと、こちらも威厳と煌びやかさを兼ね備えた神ですよ。



《称号【アシャの剣】を手に入れました》

《称号【木々の守り】を手に入れました》

《称号【ヴェルスの理】を手に入れました》


《スキル【技と法の称号封印】を取得しました》

《『ルシャの透過面』はスキル【技と法の称号封印】を得るため消失しました》

《スキル【倍返し】を取得しました》

《【スキル返し】と【倍返し】はスキル【スキル倍返し】に統合されます》


《『アシャの火』を取得しました》

《『白炎の玉石』を取得しました》

《『宿り木の杖』を取得しました》

《『ヴェルス白星のズボン』を取得しました》



 称号【アシャの剣】は刀剣含む剣術系スキルにクリティカルが出やすいボーナスと成長補正。

 称号【木々の守り】は木のあるところで【結界】などの守護系のスキルを使うと補正がかかったり、良い枝が手に入りやすい。――杖用ということだろうか? とりあえず木に愛されるらしいです。これから家に手を入れようとしている身には、材料にし辛くなるので微妙な気分だ。

 称号【ヴェルスの理】封じられた力を解放した時、効果が数倍になる。効果の大きさ・時間は封印していた期間による。……ヴェルスが試練がどうこう贈るモノがどうこう言ってたのはこれだろうか、らしいといえばヴェルスらしい効果だ。しかし、【傾国】を封印するつもりなのだが、解放したらどうなるんだこれ。


 スキル【技と法の称号封印】は自己の称号の封印が任意で可能。技と法はルシャとタシャのことか? 基本神々の力は同格なので、属性(あいしょう)が偏るとその神の影響が強くなり、その系統の称号を抑えきれない場合もあるようだ。あと、使用者(わたし)が怒りに我を忘れたりしても解放される。少し効果が緩いところがあるようだが大変ありがたいスキルだ。


 【スキル倍返し】はあれです、字面の通りです。発動自体はレベルによる確率と、私が同じスキルを持っているか否か、対象のスキルを受けた回数などで判定があるようだ。もちろん同じスキルを持っていて、対象のスキルを受けた経験があるほど発動しやすい。


 『アシャの火』は黒い二つの石の中に炎が揺らめいて見え、その石を軽く打ち鳴らすと火がつく火打石(ひうちいし)だ。『白炎の玉石』は火属性大増強、杖や剣などに付ければ火属性の攻撃が威力増大、防具につければ火属性のダメージを無効とする。

 『宿り木の杖』は魔法威力増大、特に木属性系統。【木魔法】だけでなく、【時魔法】なども入る。そういえばユリウス少年のところに、新しい杖が出来たかどうか様子を見に行かねば。

 『ヴェルス白星のズボン』は待望のズボン、こう言うと普段穿いていないみたいであれだが。効果はクリティカル率の上昇と稀に攻撃回避。攻撃回避は私が避けるのではなく、攻撃そのものを消し去るらしい。なかなかトリッキーで一筋縄ではゆかない効果な気がするのがヴェルスらしい。


「主、ラピスに【アシャの祝福】と【タシャの加護】【ヴェルスの加護】がついた」

「僕には【タシャの祝福】と【アシャの加護】【ヴェルスの加護】が。……称号【従う者】が出ていますがこれはカル殿に出た【身を捧げる者】と同じ部類のようです」

「ラピスもでてる」

ぶふっ! いや、そうだな、展開的にこうなるよな。【傾国】の効果のせいで慌てていて考えが至らなかった。


 何故だか大変嬉しそうにキラキラした目で見上げられるのだが、何故だ。その歳で人に縛られるのってどうなんだおい。……ああ、狼の獣人は群れのリーダー、思い定めた主人に従うのが幸せなんだったか。独立して自分が誰かの主人になるか、新たな主人を見つけて従うか、成人した時に再び選ぶ時が来るそうなので、それまで親代わりを務めてもいいとは思う。


 だがしかし、私のステータスはお子様には見せられないよ! な、気がしないでもない。かといって大人(カル)たちにも見せたくないが。どうしようかと途方に暮れ気味になりながら、ラピスとノエルの頭を撫でる。柔らかいいい手触り、雑貨屋の風呂場にお高いシャンプーを設置した甲斐があった! 


 ……そんなことを考えている場合じゃないんだが。


「主、額に赤い模様がついてますよ」

ノエルが私を見上げて不思議そうに告げる。

「ああ、スキルの発現で出る模様らしい」

【技と法の称号封印】は封印中は額に蓮華(れんげ)模様がぶちっと浮かんでいるらしい。他はまだだが、いの一番に【傾国】を封印したからな。


「主、かっこいい」

「ありがとう?」

模様が気に入ったらしいラピスから褒められた。


「とりあえず雑貨屋にもどろうか」

「「はい」」


 ……またガラハドたちにジト目で見られるんだろうなこれ。カルとレーノの時は予測できなかったし、私のせいではないと訴えたいが、今回は言い訳がちょっと難しい。




□   □   □   □

・増・

称号

【アシャの剣】

【木々の守り】

【ヴェルスの理】

スキル

【技と法の称号封印】

【スキル返し】【倍返し】→【スキル倍返し】

【降臨】『アシャ』『タシャ』

□   □   □   □


ステータスはだいぶ文字数が増えまくってしまったので

申し訳ないですがレベルアップの時に……(ぐふっ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
緊急事態だから仕方ない。 本人達は喜んでいるし。
[一言] 影響をモロに受けたカミラに押し倒されて欲しかった気がしないでもない。
[一言] これはプレイヤー同士の戦いで怒ってスキルが開放されてまた、掲示板で騒がれるやつですね。わかります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ