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処女のまま死んだら転生してユニコーンになり童貞に捕獲されました。

作者: ぎる太

やたらと処女や童貞、ビッチという言葉が出てきます。

そろそろ日付が変わる時分。

今朝から激しい雨が降り続いている。

歩行者信号が点滅し、赤に変わった。

近くには、ボンネットが凹みフロントガラスに雨とは異なる液体が付着している白のミニバン。

その左側には奇妙な体勢の女性。

彼女の頭部を中心にじわじわと水溜まりが広がっている。

周辺には、彼女の持ち物であろう持ち物とひしゃげた水玉模様の傘が散乱している。

それは、交通量の少ない路地の出来事だった。



享年32歳、処女のまま死にました。

ふざけんな、ちくしょー!!

せめて一度でいいから、彼氏欲しかったよー!!



◆◆◆◆



真っ白で艶やかな長い毛並み、影が落ちるほど長い睫毛、黒目がちのくりくりした瞳、すらりとした美脚、そして真珠色に煌めく真っ直ぐな角。

そう、私ユニコーンに生まれ変わりました。


恨み言を言った後、ぐるぐるぐるーとどっかに吸い込まれ、暖かく居心地のいい場所でゆらゆらと微睡んでいたら、おぎゃーと産まれた訳だ。

まぁ、ユニコーンだからおぎゃーじゃなくてヒヒーンって産声だけど。


乳離れをしたら親はどこかに行ってしまったけど、万年新婚夫婦かってくらいラブラブだから、私の知らない間に兄弟が出来てるかもしれない。


ユニコーンの知識は血に宿っているから、一人で生きていくのに支障はない。


私達ユニコーンは当然の事ながら、草食である。

馬だからね。草と水が有れば生きていける。ただし、私はグルメだからそんじょそこらの草は口に合わない。

美味しい草を探してさ迷っていると素敵な花畑を見つけたのは、私の日頃の行いの良さだ。

ちょっと行けば綺麗な泉もあるし、私はここを住処にした。


私の住んでいる花畑を含むここは広大な森で、人間は気安く入られないからモンスター達の楽園らしい。

モンスターというのは、RPGのゲームに出てくる敵の事だと思えば大体あっている。

スライムとかゴブリンとかその辺だ。

彼らとは友好な関係を築いている。

というか、彼らは私を害することが出来ない。


ユニコーンは一角獣だ。

固体によって色は異なるが、私は真珠色で一番の美人ユニコーンだと自負している。

いやもうホントに優美ってこのことだなって思う。

何時間でも泉に映った自分を見ていられる。

それは置いといて、ユニコーンの角には強力な解毒作用があると思われているが少し違う。

害ある物を退ける力がある。解毒も出来るし解呪や治癒も出来る。

あと、聖属性の魔法も使える。

なんだか、ユニコーン強いなとしみじみ思ってしまう。


そんな訳で、友達の多い私だが最近特に仲がいいのは、ペガサスのマルカブだ。

いつものように花畑で日向ぼっこしていたら、空から落ちてきてビックリした。

彼は遠いところに住処があるみたいだが、一日おきにお土産を持って遊びに来る。

果物だったり花だったり綺麗な石だったり、非常に気が利く友達だ。

昨日は、大きくて綺麗な翼を使いながら奇妙なステップを見せてくれた。

よく分からないが覚えたてのダンスを見せてくれたのだろう、実に芸達者だ。


さてと、そろそろ現実逃避はやめにしよう。

何故ここに人間がいる!?


この花畑って結構奥まったとこにあるはずなんだけど。

見た目10代後半の女性は笑顔でこちらにゆっくり近づいてきている。

中々の美人で清楚って言葉が似合うそんな女性だ。


臭ぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!

こいつはぁ、清楚ビッチの匂いがプンプンするぜぇえええええええええええええ。

あれだろ、私なんにも知らないんですみたいな顔で誑し込んで貢がせてんだろ。

きええええええええええええええええええええ!!!!

近寄んじゃねぇ、くそビッチが。

匂いで分かるんだよ、ユニコーン舐めんな。

処女厨で有名なユニコーン様だぞ、すぐにわかるんだよ。

あいにく処女に会ったことはないけど、ビッチは人工的な甘い匂いがして臭い。

前世から香水が苦手だった私にはキツいんだよ。


とりあえず、威嚇して近寄らせないようにしよう。

よしよし、悲鳴をあげて後ずさったな。

さっさと立ち去って欲しいんだけど。

なんで、騎士みたいな人間がぞろぞろ出てくるんだよ。

揃いも揃って整った顔しやがって、匂いでわかるんだよ。

てめぇらも、童貞じゃねぇんだろ?

特に先頭の一番イケメンのお前だよ。

色んな香水が混ざって酷い悪臭だよ、バカ野郎。

騎士道に人生捧げろよ、色に走ってんじゃねぇよ。


なんだ、私を捕獲しようとしてる?

ふざけんな、悪臭まみれの人間達のところに行ったら死んでしまう。

ええい、立ち去れ立ち去れぇええええええ!!

とりあえず威嚇してやろう。近づくと一突きするぞ。


ん?

いい匂いが今したぞ。

この悪臭まみれの中で、清々しい香りが。

誰だ誰だ、この森林のような落ち着く香りの持ち主は。


くんくんと匂いを辿ると、いかつい顔のおっさんだった。

鈍い色をした髪は短く刈られ、大きくがっちりした体躯は鍛えられている事が一目でよく分かる。

鋭く三白眼気味の瞳と眉間に刻まれた皺は深い。

はっきり言ってめっちゃ強面だ。その筋の人だと言われたら納得してしまうほどに。

でも、このおっさんからいい香りがするんだよなぁ。

武人って感じだから、剣に生きてきたタイプなんだろう。

にしても、いい香りだなぁ。


いきなり大人しくなって近づいてきた私に、おっさん含む人間達は驚いて固まってるようだけど。

その隙にこの香りを十分堪能しよう。




香りを堪能しているうちに捕まってました。

畜生、これがハニートラップか!!!!

思いついたとこだけ書いたらこんなことになりました。



ペガサスのマルカブ君は、主人公に一目惚れをし、貢ぎまくったあげく求愛ダンスを披露したものの、全然伝わってません。頑張れマルカブ。


清楚ビッチは、ユニコーンの捕獲に処女が必要なため呼ばれました。


おっさんは、童貞です。

処女だとお日様の香りがします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです(笑) [一言] >畜生、これがハニートラップか!!!! 童貞おじさんによるハニートラップ(笑) もしや運命の相手なのでは? 続編プリーズ!
[良い点] 面白い!兎に角、私のツボでした! 何故、ユニコーンを捕獲しなければいけなくなったのかが気になります。 清純派ビッチざまぁw そして何より、続編が無いのが残念です… [一言] ぞくへんぷりー…
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