非現実への訪問8
俺は、体育館の裏で考えていた。
いや、まず、状況判断からいこう。
無花果さんとの出来事はあっという間に過ぎてしまって、考えている暇が無かったからな。
まず、第一に、俺が知る世界が二つになったということだ。
一つは、俺がよく知っている現実。
もう一つは、非現実という謎に包まれた空間。
そして、その、非現実というのは一種の仮想空間のような物で、自分の思った通りの事がそのまま起きるという、
まさに、楽園な場所なんだそうだ。
次に、その非現実に無花果さんが関与しているということ。
そして、なんの因果か陰謀かは知らないが、何かしらの事情、又は事件があって、仮想空間に住む無花果さんが俺を非現実に連れ込もうとしているわけだ。
その、仮想世界の無花果さんとやらから仮定するに、どうやら、非現実にも現実と同じ人間が存在していると考えていい。
そして、そいつ等は非現実、俺らは現実で生きているということになるのか?
俺のクローンも?
そして、その世界では、何でもヤりたい放題…。
これが何を意味するか。
How I envy you。
というわけだな。
さて、だが、俺もその非現実とやらに行けるようになった?わけだが。
自発的に行くことが出来ない。
これが何を意味するか。
つまり、The. End
というわけだな。
だがしかし、この俺がその程度の事で諦めると思うか?
なんでも思い通りのパラダイスが目の前にあると言うのに見逃すと思っているのか?
答えは、否。
なんとしてでも、俺はその世界に行けるようになってみせる。
と、
また、いつもの儚き決意を胸に宿し、この俺、平林 人は新たな世界への第一歩を踏み出すのだった。