非現実への訪問5
天使は、本当にいるのだろうか。
天使とは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖典や伝承に登場する神の使いである。
英語で言えばangelだ。
この腐った世界(現実)にそんなものがいるのだろうか。
しかし、俺の脳内には数分前の出来事がフラッシュバックしてしまう。
「あの、私、無花果 朱理です…。」
俺は夢を見ていたのだろうか。
転校してきた無花果さんは、編入の手続きがどうたらこうたらで、職員室に行ってしまった。
俺は、思う。
あれは、俺の嫁だ。
と…。
無花果さんこそ、まさに、俺が求め続けていた現実の壁を超えた美少女だ。
あんな可憐な美少女をこんな、世界の男に渡していい筈が無い。
だから、俺は決意した。
無花果さんは俺のものにする。
しかし…俺よ、忘れてはいないだろうか。
そして、俺は自分に問いかける。
今の俺の状況、分かってるのか?
顔もそこそこ、成績もそこそこ
運動は中の下…。
そして、性格は…
現実世界で言う、キモオタ。
この状況でどうやって、無花果さんを落とすんだ?
遂に、いかれたか俺よ。
もう一度、考え直そう。
やはり、無花果さんだってこんな、現実世界で言うキモオタとやら、と付き合うよりも、もっと顔立ちが良いイケメンに食いつくに決まってる。
決意から、五分後…。
諦めよう。
そんなことを思っていたそんな時。
ガラガラ…。
「お、無花果、戻ってきたか。
無花果は………、
あそこの席に座ってくれ。」
そして、担任が指差した席は…。
俺の隣だった。
無花果さんは、そのまま俺の方に歩いてきて俺の隣に座った。
そして、男なら誰でも失神してしまいそうな笑顔を見せて言った。
「初めまして。
平林君だよね。
君、非現実にくる気は無い?」