表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非現実への訪問者達   作者: イトツ
第一章 非現実への訪問
2/10

非現実への訪問1


くふ……くふふ…ひひひっ………。


あはははははははは………。



「可愛いな…俺の……あみたん…」



あみたんとは、俺の彼女である。

しかし、彼女とは言っても、この現実世界に存在するはずがない…。


そう、

俺が現在、攻略中のギャルゲー、

『幼なじみに萌えやがれっ』

のヒロインである。

ちなみに、全年齢対象版だ。


そして、このゲームをプレイしている気持ち悪い、俺とは誰か?


俺は…


名前:平林 人

性別:男

中学3年

部活:帰宅部

特技:影を薄くすること

ギャルゲー攻略

今思ってること:世界滅びねーかな。


とまぁ、こんな感じである。


これじゃ、ただのニートじゃないかと言われるが、まぁ勉強もそこそこ出来てるし、運動能力も人並み程度にはあるし、全然、生きていくのに問題はないのだが…。


「可愛い……可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」



ただ一つ、この世界になんの関心も持っていないということを除いては…。


俺がこうなってしまったのは、ちゃんとした原因があり、それは、ニ年前の入学式のあることが原因である…。






二年前…。


俺は遂に中学生になるんだ。


と、心を弾ませて迎えた入学式。


俺だって最初は、友達が何人出来るかだとか、彼女は作れるだろうかなどと今になって見れば、下らない話に花を咲かせていた。


そして俺は、体育館で開かれた入学式で自分の名前が呼ばれるのを待った。


一組、二組、三組……。


生徒の名前が次々と呼ばれる中、遂に俺の番が来た。俺はあまり目立たないような奴だったが、ココでは精一杯の大声を張り上げてやろうと意を決したのだが……。





名前が呼ばれない・・・。





その時の俺の心境はまさに地獄。

穴があれば直ぐにでも入りたいくらいだ。


しかし、誰も俺の名前が呼ばれていない事に気付かない。

隣の奴ですら俺をスルーして、式を進めて行きやがる。


そして、俺はその時、悟った……。




あぁ、俺って空気なんだ。






入学式が終わり、俺は、重い足取りで教室へと向かった。


席に着くと、隣の席の女の子が不思議そうな顔で俺を見ている。


俺は、話せる気分ではなかったが、ここで挽回しようとまたも、意を決して、どうしたの?と話しかけてみたのだ。



どうやらその子は、筆箱を忘れてしまったらしい。

なので、俺は、シャーペンを一つ貸してやった。


そして、その子が貸した後に言った言葉…。



「ありがとう、幽霊さんでも私を助けてくれるんですね。」



遂に、俺は死んでしまったらしい。


その言葉は余りに、心が発達していなかった俺の心に大ダメージを与えた。



それからの二年間、俺は、教室では影を消し、誰とも話さず、授業が終われば直ぐに下校という、友達いないぜライフを過ごしたわけだ。



こうして俺は誕生した。


常に、部屋に引きこもり、ギャルゲーをこなす…


新たな自分が……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ