02 私に話しかけたのは貴方だけ
私たちが付き合いだしたのは・・・
彼から話しかけられたのがきっかけだった。
入学してすぐお決まりの噂が流れてた。
それを聞くのが嫌で、いつも図書室に逃げていた。
図書室が一番静かで落ち着けるから
休み時間にいつものように図書室に逃げ込んでいた時
何度か哲くんも図書室に本を借りに来たりしていたのを何度か見たことがある。
哲くんの友達を連れて・・・
最初見たときはこんなにかっこいい人もいるんだなって。それと同時に私には関わりのない人だって思っていた。
教室でも最初は名前知らなくて誰かわからなかったけど
「王子今日もかっこいいね~」「彼氏にしたい~」「王子と遊ぶ約束しっちゃった♪」
とか色々なことが教室内に飛びかわっていた。
王子こと蛭魔 哲。
いつものように昼休みになると図書室に来ていて本を読んでいた。
本に集中していたのか私に近づいてきている足音があったなんて気がついていなかった
「なぁー・・・ちょっといい?」
「へっ?!?!」
「いつも図書室にきている渚さんだよね?隣いい?」
返答も聞かずに彼は隣に座った。
「え、・・・はい」
彼は
「俺、蛭魔哲な!」
みんなから影で王子と呼ばれている彼だった。
「知ってる・・」
「あ、マジで?」
「・・・うん」
「じゃー話はやいな!よろしくな!」
「え?」
突然のことで頭が付いていかない紗綾
「やべっ、明日もここにいるよな?」
「うん、そーだけど・・・」
「じゃー明日もここでな?」
「え、あ、・・・なんで?」
「なんでって言われても・・・今日から友達だからだろ?いつも図書室にいたし、一度話してみたかったんだ。はっ、時間がなかったんだった!明日な!」
「うん・・」
返事をする前に彼は嵐が去っていくように慌てて図書室から出ていった。
蛭魔くんと話してることが信じられないし、私とは違う世界の人と思っていたから今彼に話しかけられている状況についていけない・・・。なんで私に話しかけてきたんだろ?
「もしかして、からかわれた?」
翌日も一人で図書室で本を読んでいる時に彼は一人で現れて私に話しかけてきた。それが数日たつたびに2人の間の隔たりも少しずつなくなっていた。
「なぁ、俺ら付き合う?」
「え?」
始め聞いたときは冗談だよ思った。けど彼の瞳は真剣で、冗談を言っているとは思わなかった。そして私は毎日図書室で話しかけてくれる彼に惹かれていた。
「俺渚の事好きなんだ…。それとも誰か好きなやつおるんか?」
「いないけど・・・」
「じゃー、何も問題ないな!俺の彼女な!」
結局押されるがままに付き合うことになった。
私は彼に惹かれていたし、好きだったから何も問題はないけど・・・
彼が私の事を好きだってことに自信がなかったし、信じることが出来なかった。私のどこに惹かれるのかが理解できなかったから。
それは、今でもそう。
蛭魔くんと付き合うことになってから電話やスマホのアプリで連絡をとることが頻繁になった。最初図書室で出会った翌日に連絡先の交換をしていたけど、頻繁にはしてなかった。そして、私に気を使ってか、あるいは私とのことは秘密にしたいのかわからないけど、教室では話しかけて来ないし、一緒に帰る時はいつも人目につかない場所で待ち合わせをしている。
彼と付き合ってはいるものの自身のなさでどこか彼との間に壁を作ってしまっている。
遊ばれているんじゃないか、いつか捨てられるのではないか、「本気にしてた?」とか言われて鼻で笑われるんではないかと、いつも心の奥底に居座り続けているからこれ以上は進めない・・・。
私と彼とは釣り合わないと思ってるから。
今でも信じることが出来ない・・・。