表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
R E D - D I S K 0 2  作者: awa
CHAPTER 06 * PLANNING DAYS
33/119

○ Invitation

 八月九日、木曜日。午後六時前。

 花火を買った私とアニタ、ナンネ、ジョンアはひとまず、祖母の家の私の自室に集まった。

 「なんて言って誘えばいいんだっけ?」携帯電話を両手に握ったナンネが不安げな様子で訊いた。

 アニタが応じる。「さっき言ったじゃん。あたしはペトラとカルメーラに電話。ベラはゲルトとイヴァンに電話。ベラが花火に誘ってるってのだけ言えば、わかるから。今ベラはゲルトたちに電話してて、あたしはペトラたちに電話してるって。七時にキャッスル・パーク横のコンビニに集合。ベラがアイス奢るから──とまでは」私に言う。「言わなくていいか」

 「ちょっと変だよ。会話的には」訂正してナンネに伝える。「コンビニに集合、まででいい。っていうか電話したら、ダヴィはイヴァンに電話して、あいつの家に行くはず。とりあえず今日花火決行だってのを言えば、わかる。ちゃんと言ってあるから、あいつらは毎日身構えてるはず」

 アニタが笑う。「超ヒドイよね。とりあえず花火買って、いつくるかわかんない呼び出しを待ってるんだから」

 「ゲルトにはミッド・オーガスト前に、しかも六時頃電話するって言ってあるから、だいじょうぶよ。話は伝わってるはず。あまりにも不自然だったら、ジョンアに代わってもらえばいい。っていうか」ジョンアに言い添える。「見てられなかったら、電話取り上げていいから、代わって」

 彼女は苦笑って了承した。「代わりたくないから、がんばれ」

 ナンネは身構えた。「わかった」

 「よし、行こ」

 立ち上がり、私はデスクに、アニタは階段へと向かった。

 チェアに腰かけ、私はゲルトに電話をかける。

 「暑いんだけど」と、これが彼の第一声。

 「アイス奢る。あとジュース。だから今日、七時にキャッスル・パークに集合。花火は買った。もうイヴァンのところに行く準備、してあんでしょ?」

 「してる。全員してる。お前の唐突の呼び出しに備えて八月の一日から」

 「じゃあ大丈夫だよね。さっさと夕飯食べて、七時。遅くても七時半までに。それ以上遅れたら、えらいことになるわよ」

 彼が笑う。「花火攻撃だよな、絶対。で、誰にまわせばいいわけ? 全員?」

 「んーん。セテだけでいい。イヴァンたちにはこっちから電話する」

 「了解。じゃな」

 「うん、あとでね」

 電話を切り、今度はイヴァンに電話した。おそらく男たちは全員、だいじょうぶなはずだ。問題はペトラとカルメーラだ。

 イヴァンが電話に出た。「はいよ」

 「久しぶりな気がする。元気?」

 「んー。それなりに」

 「それなりに元気あるなら、平気だよね。夕飯食べたらみんなが来るよ。んで、七時にキャッスル・パークに集合。早く夕食済ませて、みんなをハグで迎えてあげて」

 「ヤだよ。変だろ。さっさと荷物上げて家出なきゃいけない時に、なんでハグで迎えなきゃいけないんだ。アホか」

 「ひどいな。まあ、暑いからしたくはないだろうけど。じゃあ、ニュースペーパーで剣作って迎えるのはどうよ。ひとり一発ずつお見舞いすんの」

 「あ、それならいい。足ひっかけるとかな──って、さすがにそれは折れるか」

 私は笑った。「折れる。絶対折れる。とりあえず、カルに電話してくれる? ゲルトたちには」言いながら、ナンネのほうを見やった。ちょうど電話を終えたのか、ラグの上、ジョンアと手を取り合って喜んでいる。成功したらしい。「もう連絡済みだから」

 「わかった──あ。ダヴィに聞いた。カルロのこと、お前に相談したって。今日花火終わったら、あいつに訊いてみる」

 「うん。妙に突っ込んで訊かなきゃ、大丈夫だと思う。なんか修学旅行の夜みたいだけど。そんでたぶん、ダヴィからオマケ話が聞けると思う」

 「は? なに?」

 「ダメ。言わない。これはダヴィしだいだから──って、ゲルトもセテも知ってることだけど。あいつが言わなさそうだったら、訊けばいいよ」

 「ふーん? わかった。んじゃ、あとでな」

 「うん。あとで」

 電話を切ると、こちらへ来るアニタが声をかけてきた。

 「ちょっと問題発生」

 「なに? ペトラたち、無理だって?」

 「や、違う。ペトラは即オッケー。んで、カルメーラがさ。アウニと一緒にいるらしいんだ。今日アウニ、カルメーラの家に泊まるんだって。んで、アウニも来たいって言ってる」

 「いいんじゃないの? べつに」

 彼女は顔をしかめた。「それが、ヤーゴも呼んでくれとか言っておりまして」

 「は? マジで?」

 「マジで」彼女は肩をすくませた。「でもアウニが、自分が呼んでほしいって言ったの、ヤーゴに知られたくないとか言ってる。内緒にしてくれるなら、トルベンには知られてもいいけどって」

 笑える。「おもしろい。あいつ、喧嘩売ってんじゃないの? ヤーゴとか言いながら、私に喧嘩売ってんじゃないの?」

 「わかんない。どうしよう。どうすりゃいいの、これ」

 しかたない。「あんたが電話する? トルベンに」

 「そんなの即拒否に──」勢いよく答えたものの、最後はおとなしく締めた。「決まってんじゃん」

 「番号教えて」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 トルベンは、二回目の呼び出し音が鳴り終わる前に電話に出た。

 「誰?」

 「ものすごく不快なお誘いです」と、私。

 沈黙約四秒。

 「──なんで、お前が」あからさまに、不機嫌そうな声。「俺の番号、知ってんだよ」

 「すごいね。声だけでわかっちゃうんだ」

 「切る。電話が壊れる」

 「あんたの電話が壊れようと、私はなんにも困らない。むしろ一生音信普通になれ」

 「あ?」不機嫌な声が返ってきた。「お前がなれよ。なに? 勝手に電話してきといて、なにわけのわかんねえことばっかほざいてんだ」

 「ほざいてるのはお前だよ。とりあえず話を聞け。今日の夜、七時頃から、ゲルトたちと花火する。キャッスル・パークで。そんでね、女子のひとりが、ヤーゴを呼んでほしいって言ってんの」

 「は? 知るか。勝手に呼べ」

 「じゃなくて」ああ、面倒だ。「私たちだけだと、なんでそこにヤーゴを呼ぶんだって話になるじゃん。あからさまに不自然じゃん。でもあんたがいれば、不自然じゃなくなるじゃん」

 「いや、不自然だろ。お前のいるところに俺が行くみたいになるのが、この上なく不自然だろ」

 素晴らしい正論だった。「でもヤーゴは、そこは不自然に思わないかもしれない。A組にネタよこせってあんたが言ってきた時、そこにヤーゴがいたんだもん。あんたが連れてきたんじゃない」

 彼はまたほんの数秒、黙りこくった。

 「──なに。今度は脅し?」

 私もアニタも、おせっかいにも程があるというか、なんというか。「脅していいなら脅すわよ。A組の担任に私がネタ提供したって言えば、反対するかもしれない。けっきょくまた振り出しに戻って、A組は地味なゲーム屋をやることになるかもしれない。あんたのこの一件のせいで」

 またも沈黙を作ると、彼は溜め息でそれを破った。

 「連れてきゃいいんだろ」投げやりだ。「なに? 七時?」

 勝った。「七時にキャッスル・パーク横のコンビニに集合する。でも急な話だから、七時半とかでもかまわない。コンビニでアイスとジュース買ったら、キャッスル・パークのベンチのとこに行くけど。大丈夫、ダヴィもいる。花火は買ってこなくてもかまわない。こっちで用意してるから」

 「あいつら、飯は?」

 「食べて行く」

 「あっそ。んじゃヤーゴに電話して、飯食ったら行く」

 「うん、じゃね」

 「ん」

 電話を切ると、にやつくアニタに迷惑女への報告を促した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ