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R E D - D I S K 0 2  作者: awa
CHAPTER 17 * LAST DAYS
102/119

* Mine

 祖母の家。

 話をして、抱き合って、ふざけて──私たちが眠ったのは朝方だった。ふたりとも携帯電話の電源を落としていて、それは起きてからも続いた。完全に引きこもっていた。

 午後四時すぎ、試しに電源を入れてみると、どちらの携帯電話にも、ブルからメールが届いていた。アゼルには、邪魔はしないから、マブにいないならせめてそう言えと。飯が無駄になるからと。私のほうには、けっきょくソフトクリームはどうなったんだと。私は店が閉まっていたことと、今日も祖母の帰りが遅くなること、昨日と同じで夜の九時頃帰ってくれるなら、夕食を食べにきてもいいと返事を送った。

 笑えることに、彼はマスティとリーズとニコラを連れて、ほんとに来た。前日と同じような夕食会兼飲み会が、またはじまった。しかもマスティ、ゲーム機を持ってきた。リビングでバカ騒ぎになった。

 そして夜の九時すぎ、彼らは帰っていった。アゼルに関しては、祖母が帰ってくるまでいることにした。今夜も帰ってこないけど、と思いながら。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 普段は私しか使わない、一階のバスルームで一緒にシャワーを浴びたあと、ナイトスタンドの灯かりだけを灯し、ふたりしてラグの上、ひとつのビーズクッションを枕にして仰向けに寝転んだ。

 「私はね、二十五歳で死ぬのが理想」

 「異論はないな」アゼルが答える。「なんで二十五なのか知らねえけど」

 「キリがいいから」

 「三十になるまでには死にたいよな」

 「そう。二十代のうちに死にたい」

 「なに考えて七十年も生きてんのか教えてほしい」

 「仕事が充実してたら、もっと長生きしようとか思うのかも。っていうか、どっかの誰かさんがめちゃくちゃすぎて、安心できないとか」

 彼は笑って納得した。「なるほどな」

 「もし別れてて、あんたが他の女としてる最中に私が死んだって知らせが入ったら、どうすんの?」

 「どうするってなにが」

 「最後までするの?」

 「さあ。なんならお前の死体とヤるけど」

 「すごいこと言うな」

 「お前なら死体になってても、普通に濡れてる気がする」

 「ねえ、私、さすがにそこまで異常じゃないと思う」

 「お前は? どうすんの? 逆だったら」

 「とりあえず最後までするかな」

 「すんのかよ」と、アゼル。「ま、どうせ誰と何回ヤッても不満だらけだろうけどな」

 “アゼルの方法”が、身体中に染みついている。

 「慣れたら平気よ」と、言ってみた。

 「んじゃ慣れるために、今日はやめとくか」

 「そんなことできるの?」

 「生活戻さなきゃなんねえし。わりと眠いし」

 「じゃあしないで寝る」

 「お前に嫌がらせして寝る」

 「話が違う気がするんですけど」

 アゼルはすっとぼけた。「ヤらねえってつもりでやめとくかとは言ったけど、嫌がらせまでしねえとは言ってねえよ」

 「やだよ、そんなのやだ」

 「お前はしないで寝るっつったから、嫌がらせだけして終了」

 「やだって言ってんのに!」

 「さてと」こちらを向くと、彼は悪戯に微笑んだ。「どこまで耐えられるか見物だな」

 まただ。

 私は叫んだ。「悪魔!」

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 深夜。

 ベッドで眠っていると、ふと目を覚ました。

 うっすらと目を開けたけど、なにも見えなかった。

 真っ暗な部屋。再び目を閉じる。

 私は寝ぼけていた。

 足音がし、ベッドに誰かが腰かけた。

 誰かの手が、自分の右頬に触れる。

 私はその手に触れた。

 「起こしたか」アゼルの声だ。

 私は寝ぼけていた。

 「んーん」

 彼はベッドに横になった。

 「寝ろ」

 私は、寝ぼけていた。

 「んー?」

 アゼルは静かに笑った。

 笑って、私の頬を撫で、キスをした。

 頬にではない。額にでもない。唇にだ。

 「寝かせてやる」と、彼はつぶやいた。

 次の瞬間、寝起きには激しすぎるキスと愛撫が私を襲った。

 私は抵抗しなかった。眠くて眠くて、身体がすっかり疲れている状態で、頭がほとんど眠っている状態で、それでもひとつにつながって、彼にされるがまま、全身で、彼のすべてを感じた。

 「お前は俺のもん」

 私の耳元で、アゼルがそう囁いた。

 私たちは、同時に果てた。

 だけど私は、やっぱり寝ぼけていたのだろう。避妊具をつけていなかったことに、この時、はじめて気づいた。

 私の中は、アゼルで溢れていた。

 だけど、それを気にする余裕はなかった。

 再びの快感と眠気と疲れに襲われた私がベッドに倒れこむと、アゼルはまた、私の頬を撫でた。

 「寝ろ」

 そう言われて、私はすぐに眠った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 夢をみた。

 真っ暗な場所に、いくつかの赤い光があった。

 その中心に、誰かが居た。

 アゼルがひとりで、立っていた。

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