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 その頃創平は二人の黒服に連れられ、とある事務所へとやってきていた。この組の前の事務所はもっと閑散とした場所にあったのだが、今はその真逆・なんと歓楽街のど真ん中に位置しているようだ。

 運転は美丈夫が行った。その間創平は中年男・行平と二人で後部座席に座っていたのだが、奈何せんこの行平が執拗に手やら腹やらに触れてくる。創平はさすがに頭にきて、数分前にぶん殴ってやった。彼らしくない汚い脅し文句を徹底的に行使した結果、事務所についた頃には、すっかり中年男と創平の立場が入れ替わっていた。

「相模氏はここか」

 尋ねると、彼は「ええ」とやたら丁寧な口ぶりで頷く。彼らの間に具体的に何があったのかは、あの美丈夫以外知る由もない。

 創平は彼らに案内してもらい、ビルの四階に位置する事務所までやってきた。先に中年男が入り、相模氏にかけあってくれるそうだ。相手はヤクザ者ではあるが、一応こちらはアポなしで来た人間。それなりの手順を踏むのが表裏問わず社会の基本というものだろう。

 しばらくそのまま待機していると、中年男が戸の隙間から顔を出した。

「入れ」

 と短い一言。どうやら本当に話を通してくれたらしい。創平は無言で首を縦に動かすと、事務所へと足を踏み入れていった。

 事務所の中には二人掛けのソファがひとつと、高さのある棚がいくつか。奥にもうひとつ部屋があり、どうやらそちらが相模氏の本拠地らしい。前に連れてこられたときよりも、些か簡素さが増した気がするが……まあ、それはかの義兄の功績ということにしておこうと創平は思う。

「連れて来ました」

 行平が奥の扉を開けた。創平は一瞬ためらいを覚え、自然と立ち止まる。脳裏によみがえる忌まわしい記憶。――しばらく考えて、それらを全てなかったことにした。いい加減断ち切らなくてはならない。例え一生忘れることができなかったとしても、それをずっと引きずっていてはいけない、と思う。

 あの日、佼輔が飛び込んでこなかったら。間違いなく、今の自分はなかった。こういう風に物を考えることもなかったはずだ。だから今度は、己の手でそれを引き離すべきなのだ。

 創平は、ゆっくりとした足取りで部屋へと足を踏み入れた。

「――久しぶりだね、帷子創平君」

 彼の目線の先には、一人の男が居る。黒の髪は後ろで一つに束ねられ、無精髭を蓄えた男は、穏やかな部類の表情で創平を見つめている。彼が創平の言うところの「相模氏」――相模礼一さがみれいいち。現松本組の若頭である。最後に会った時よりも、大分痩せてしまった気がした。

「どうも」

 創平は短く切り返し、軽く会釈する。そして、相模の右肩のあたりをじっと見つめた。しばらくそのまま彼の動向を観察し、納得したのか首を小さく横に振った。

「てっきりくたばったと思ったんですが」

「嫌な冗談はよしてくれないか。こちらこそ……、君がまさかまた姿を現すだなんて思ってもみなかった」

 座るように指示されたので、一礼した後対面式のソファに腰かけた。後に美丈夫の方が茶を出してきたが、それには一切手をつけず、じっと創平は相模の右肩を見つめ続けている。

「それで? 君の用件はなんだ。なんとなく予想はつくが」

「なら話は早い。単刀直入に言います、『隻影』を返してください」

 慇懃無礼な口調で創平は言い放った。「彼岸堂うちの所有物だってことは、一応知っているだろう?」

「ああ、あれか」

 それなら、と相模はおもむろに立ち上がり、引き出しから何やら取り出して見せた。藍色の紐で仮綴じにされた状態の、痛みがやたら激しい「本」だ。

 実物は見たことがなかったが――あれが、探し求めていた『隻影』だろう。それ、と珍しく動揺した声を創平があげるも、相模はその本を己の横に放り出してしまった。それ以上こちらに見せる気はないようだ。

「これ、一応担保だからさ。無条件で渡す訳にはいかないよ。なにせこっちも商売がかかってる」

「それじゃあ、条件が揃えば引き渡してくれるんですね?」

「考えてもいい」

 その条件はなんだと問う前に、彼はもうひとつ、創平と相模を隔てる高さの低いテーブルの上に何かを乗せた。鮮やかな色彩と緻密な絵柄が放つ、小さな美術品。

 花札だ。

 創平は目を瞠り、確認するために再び顔を上げる。

「イカサマはなしだ。君が勝ったら、『隻影』を渡す」

「おれが負けたら?」

「言わなくても分かるでしょ? 一度そういう目に遭ってるんだから、さ」

 にこりと笑った相模の表情に、創平は背筋が凍りついた。彼が言わんとすることはなんとなくだが理解した。その証拠に、相模はやんわりとした口調で決定的な言葉を投げかける。

「今回、本当に手に入れたかったのは『本』じゃなくて『君』だから。帷子創平君」



 篠宮は車を走らせる。助手席には桜が座り、困ったような表情を浮かべながら彼の横顔を見つめている。

 彼は先程の電話で佼輔から指示を受けた。まずは『彼岸堂』に行き、そこから円と佼輔自身を車に乗せること。『彼岸堂』に着くまでに佼輔が松本組の現本拠地を調べると言っていたので、それからはほぼ直行だろう。

 桜を連れていることも佼輔に伝えてあるので、児童相談所になんらかの連絡はしてあるはずだ。だが、どう考えてもこれはただの幼女誘拐である。篠宮の脳裏にぼんやりと「これで前科がつくのかな」という妙な一言がよぎったが、今更だ。

 そう思っていると、桜が突然口を開いた。

「おじちゃん……おとうさんのところにいくの?」

 どうして? と篠宮は答えた。その声色に自分らしからぬ焦燥感がにじみ出ており、それが彼女を不安にさせているようだ。桜の声は、それだけ不安そうにしていたからだ。

「さっきのこわい人の肩にね、おとうさんがいたから……おんぶしていたんだよ」

 心臓が跳ねた。

 まさか、と篠宮は思う。彼女は我々芦田財団が言うところの「見鬼」なのだろうか。そういえば、先程の幹部との対峙の際、創平はしきりに彼らの右肩ばかりを気にしていた。でも、もしそれが本当ならば。

 最悪の展開じゃないか?

 篠宮は唇を噛んだ。そうだ、彼女の言い分が正しいのなら、――我々が探している武下巽は既に死亡しているということになる。こんな小さな子供を遺して、彼は。

 彼女は、自分が変なことを言ってしまったのではないかとさらに不安そうな顔をした。それに気がついて、篠宮は素直に詫びた。

「……そうだね。おじさんたちは、桜ちゃんのお父さんのところに行くんだよ」

 『彼岸堂』に着いた。連絡を佼輔の携帯電話に入れると、すぐに佼輔と円が飛び出してきた。先に円が車に駆け寄り、後部座席への扉を乱暴に開ける。

「篠宮! 今度ばかりは殴らせてもらうぞ!」

 きっと創平を危険な目に合わせたことへの怒りだろう。その赤い瞳に鋭さが増し、鬼独特の恐ろしい形相へと変化している。篠宮は短く、

「子供がいるんだ。怒鳴るのはやめてくれ、説教はあとで聞く」

 そして助手席の桜を見遣る。彼女は、突然現れた円に驚いたのか目をぱちくりさせている。だがすぐに「本当は怖い人ではなさそうだ」となんとなく思ったらしい。にっこり、と無防備に笑いかけてきたのだった。それに驚かされたのは円の方だ。まず自分の姿が見えているということ、それから「コイツ、全然ビビらないんだけど。何で?」というところに思考が持っていかれたらしい。

「早く乗れ、詞喰鬼。その子は武下桜ちゃん、四代目から聞いているだろ? 武下巽の娘だ」

 円が乗り込んだのと同時に、反対方向から佼輔が乗り込んできた。おそらく篠宮の様子からして右側には円がいるのだろうと思ったようで、わざわざ反対側へと回りこんできたのである。

「篠宮。お前、減給モンだぞ」

 こちらも乗り込んで早々、短く文句を言った。表情からして相当怒っているらしいが、今ここで篠宮を責めている場合ではないと理解している。これがおそらく、円との違いだ。

「すみません、俺のせいで……」

「まぁ、創平の奴がタダでやられることはないとは思うがな。ええと……」

 そして、佼輔は助手席に座っている桜へと顔を覗かせた。「君が武下桜ちゃんだね。僕は芦田佼輔。お父さんのお友達だ」

 車が発進する。篠宮が指示を仰ぐと、佼輔は繁華街だ、と鋭い口調で言い放つ。

「あとは、多分隣にいるんだろう詞喰鬼から聞け。そいつと創平はいろんな意味で『繋がっている』。それを手繰ってもらえ」

「多分って。見鬼がないと大変だな。篠宮、右」

 円の言葉は、佼輔には届かない。姿が見えなければ、その声すらも聞こえない。篠宮が返事したので、やはり己の隣には得体の知れないものがいるのだろう。全くもって理解できないが……しかしまぁ、それで創平の元へ辿り着けるのなら。得体が知れなくとも、利用できるものはとことん利用しておくべきだ。

「次は左。……佼輔のやつ、本当に見えてないのか。つくづく、芦田の人間としては変わってやがる」

「普通は見えないものだよ、詞喰鬼」

 篠宮が唐突に口を開いたので、佼輔がぴくりと眉を動かした。

「隣の奴、なんて?」

「いや、たいしたことでは。『本当に見えていないのか』だそうです」

「あっそ。見えねぇよ。ったく、親父も祖父ちゃんも揃って一人で話し始めるから、気味悪いっつぅの」

 不服そうに佼輔が口をとがらせた。「……だから、あいつらは創平がいいんだろ。あいつの方がよっぽど芦田『らしい』」

 ふと垣間見せた彼の本音に、篠宮も円も口を閉ざしてしまった。そうだ、彼は名目上四代目芦田團十郎ではあるが、本来襲名する際に持ち合わせているはずのものをほとんど持ち合わせていなかった。見鬼もまた、然り。佼輔の性格を考えたら、それを気にしないはずがないのである。

「――失礼。余計なことを言ってしまった」

 その沈黙に耐えかねて、ごまかしのために佼輔はひとつ咳払いする。「とにかく、早く行くことだ。桜ちゃんのことを考えて、出来る限りの安全運転で」



 創平の口から「勝負」のコールがかかる。第四回戦が終了。役の七文以上の獲得により、配点は二倍。三十六文を獲得した創平は、次に向けて札を切り始める。

 青タンで十五文、カスで三文――久しぶりとはいえ、腕が鈍っている感覚は否めない。そりゃあそうだ、あの夜を最後に、賭けごとからは完全に手を引いていた。花札に触れること自体、六年ぶりなのである。

 札を八枚引き、同数を相模にも配分する。そして彼らを隔てる机の上に、絵柄を表に向けて札を並べてゆく。親は創平だ。

 簡略版のルールで行うことは事前に相模との了解を得ている。そこまで長引かせる勝負ではない、ということだろうか。これ幸い……と思いたいところだが、全六回戦の間に、さっさと二〇〇文稼いで終わらせてしまいたい。長くなればなるほど自分が辛くなる。これが創平の本音である。

 数回札を取ると、すぐに組み合わせはできた。

 三光。

「こいこい」

 まだ手元には半分以上の札が残っている。ちらりと相模の右肩を見ると、やはりそこには通常視えてはならないものが視えていた。別にイカサマしている訳ではない。そこに、俗に言うところの“幽霊”がおぶさっているのである。青白い光に包まれながら、その“男”はじっとこちらを見つめている。一回戦が始まる前に、創平は相模に「ここ数日、自分の姿を鏡で見たことがありますか?」と念のため確認してみたが、彼は曖昧に笑い、

「え、俺の顔になにかついてる?」

 と言っただけだった。やはり、創平の目は通常の人間とは大分異なるようだ。自分で言うのもなんだが……できることなら、普通に戻りたい。

 そう考えているうちに、再び己の手札が整った。カス。これ以上やっても勝機は見えない。既に七文以上獲得は確定しているので、創平は続けて「勝負」のコールをかけた。

「さすが、出入り禁止の称号を持つ帷子君だね」

「どーも。褒められて嬉しいもんじゃねぇっスけど」

 つい昔の口調がついて出て、心の奥底に嫌気の塊がどろどろと溜まってゆくのが分かった。ああ、こんなこと、もう二度とするもんか。そう思っていたのになぁ、と彼の後悔は次から次へと垂れ流されてゆく。

 再び相模の肩を見つめると、“男”の表情が若干変わったのが分かる。嬉しそう、と言ったら語弊があるのかもしれない。能面のような状態から、ほんの少しだけ口の端がつり上がったのである。その頃には札を切り終わり、各々に配布し終えたところだったので、創平はてっきり「あっちの札はかなり揃ってるのかなぁ……」と思ってしまったほどだ。だが、その真意はすぐに知ることとなる。

 机上に札を八枚並べようとした刹那、ノックもなしにあの中年男・行平が入り込んできたのである。

「大変です、若頭!」

「ノックくらいしろ、行平」

 相模が窘める口調で言うと、それどころじゃないと言わんばかりにまくし立てる。なんだ、敵対するヤクザでも殴りこみに来たか。

「芦田佼輔が乗り込んできやがりましたッ!」

 聞き慣れた名だ。まさか、と創平は思う。彼の知る中で、芦田佼輔はただひとりだ。もしや相模には同姓同名の知り合いがいるのでは、と思ったが、彼の忌々しげな表情から察するにおそらく同一人物を想像しているのだろう。佼輔は、一度この松本組を半分潰した男。まして、この相模は数十分前に「創平が欲しい」発言をした男だ。前回創平を奪取した男の話など聞きたくないはずである。

 ……だから、なんでおれがいつもそういう対象になるんだよ。みんな趣味がおかしいんじゃねぇの?

 相変わらず、緊迫した状況でずれたことを考える創平である。

 額に手を当て渋い顔をした相模は、溜息混じりに行平に言い放った。

「排除して。多分無理だろうけど」

「善処します」

 行平が再び部屋を出て行ったのを確認してから、相模は「仕切り直し」と胸の前で手を打った。創平はただただ生返事をするだけである。

「さあ、続きを」

 八枚の札が露わになる。親は引き続き、創平だ。

 部屋の外からぎゃあぎゃあと喚く声が聞こえてくる。佼輔と――ああ、円の声が混ざっている。おそらく本格的にもめているのは佼輔だけだ。円は、あの連中には見えない。そもそも円が人間相手に興味を持つことの方が圧倒的に少ないのである。だから、だろうか。

 彼の声がすぐに創平に向けられたものだと理解できたのは。

「またお前の人生無駄にする気か!」

 ――無駄にする気なんか、さらさらないよ。

 ふ、と自然と唇から笑みがこぼれた。理解してくれないなら、それでいい。

 創平は思う。

 ただ、決着をつけておきたかった。自分と、目の前のこの男と。昔の自分とは違うということを、この男に分からせてやりたかった。ただ、それだけなのかもしれない。これはエゴだ。

 組ができた。月見酒。……ただし、雨流れ。点は入らない。

 試合はまだ続く。向こうもそれなりの枚数を稼いでいるし、初回配分の八枚の中に自分にとって不利となる強力な札が紛れているのかもしれない。

 同じエゴなら、なるべく「自分がそう在りたいと願うかたち」でいるべきだ。

 創平が札を取るのと、佼輔が部屋の扉を突き破ったのはほぼ同時だった。だが、創平は目もくれない。続いて飛び込んできた円が、唯一彼の異変に気がついた。

 普段から創平にまとわりつく『不幸』が、なんだか妙に増幅されている。

「そうへ……!」

「勝負」

 雨四光。

 七文以上獲得により、得点は二倍、したがって四十二文。よって、創平の獲得点数は総じて二〇〇文。相模から持ち点をすべてもぎ取ったことにより、彼らの勝負は終わりを迎えた。

 ほっとして創平が手持ちの花札をテーブルに置いた。

 刹那、焼けるような痛みが全身を駆け巡った。体液が身体を巡るように、その痛みは四肢の自由を奪ってゆく。

「ッあ……!」

 創平の左手首から突如縹色の炎が噴き出した!

 通常人間には視えない、かの『鬼火』が渦を巻いて相模に襲いかかる。炎の根源である創平ですらその猛火に飲み込まれ、円には姿が見えなくなってしまった。異変はそれだけではない。はっとして円が佼輔や行平に目をやると、彼らにもその炎が視えていたのだ。顔面蒼白で、炎に呑みこまれた二人を呆然と見つめている。

 一体彼らになにが起こったのか。円は、炎に呑みこまれる寸前の相模の右肩を思い出した。“男”が相模の背中におぶさり、右肩からひょっこりと顔を覗かせている。相模はそのせいで上手く動けなかったのだ。

「あの男……!」

 間違いなかった。おそらく、『鬼火』の異常燃焼も半分は“男”のせいだ。もう半分は、本人の問題だろう。

 円は炎の中にその身を投じ、そのまま創平を後ろから抱きしめた。じりじりと凍れる炎の冷たさが円の頬に伝わってゆく。そしてそのまま創平の左手首――鎖型の痣に触れ、これ以上『鬼火』が燃え広がらないように強い念を込めた。

「聞こえるか、創平」

 耳元で声をかけると、創平はゆっくりと首を縦に振った。かろうじて意識はあるらしい。ほっと胸をなでおろし、円は彼に炎を抑え込むように告げる。

「違う」

 それに反論したのは創平である。「これはおれの意思じゃない」

「だが、“不幸”が過剰反応しているぞ。これ以上『鬼火』を燃やし続ければ、核であるお前の命が危ない」

 創平は首を横に振る。コントロールが効かないんだ、とかぼそい声で彼は言う。

 相模が目の前で悲鳴を上げながら炎に呑みこまれた。彼の眼にも『鬼火』が視えている。本来実害がないはずの炎だが、思いこみの力が働く可能性がある。このままでは全身火傷にもなりかねない。円は小さく舌打ちし、怯える創平の身体を己へと向けた。今にも泣きそうな創平の表情。

「こんなに燃えるってことは、お前が現在進行形で相当の“不幸”を思い出しているってことじゃないのか? お前はもう、昔とは違うんだろ? お前はもう“あの”帷子創平じゃない。今は芦田創平、だ」

 言い返すための言葉はいとも容易く飲み込まれてゆく。

 創平は驚きのあまり目を瞠っていた。唇に感じる柔らかさ。円に口付けされていると気がつくのに、そう時間はかからなかった。

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