表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

施設育ち、高校中退、バイトクビ。本物の最底辺が送る、静かすぎる異能日常。――「それでも、僕は生きている」

掲載日:2026/02/16

携帯のアラームが鳴る。

画面には「午前11時」の文字。

俺は布団…というか、煎餅みたいに薄くなった汚れた敷布団から起き上がった。

及川透、18歳。身長165センチ、体重49キロ。平均以下の体格だ。

児童養護施設出身。

平均以下の出身だ。

高卒認定試験になんと3回も落ちている。

平均以下の知能だ。

現在は残念ながら無職。そら当然だよな。

部屋を見回す。

6畳、風呂なし、トイレ共同。家賃2万3千円。壁には染みがあって、窓ガラスは一部ヒビが入ってる。家具はプラスチックの衣装ケース一つと、誰かが捨てたちゃぶ台だけ。

冷蔵庫はない。仮にあっても使わない、電気代がもったいないしな。

「……さて」

誰にともなく呟いて、水道の蛇口をひねる。

冷たい水で顔をゴシゴシと罰すかのようにキツく洗う。タオルはもう何日洗ってないか覚えてない。

ゴシゴシと肌を痛めつけるように拭った。

朝食?

ない。昨日コンビニで買った賞味期限切れのおにぎり(半額の半額、40円)は昨夜食べた。財布の中身は427円。給料が入るのは…いつだっけ?

はぁ...先月までは頑張ったもんな。

金額には期待したい。

携帯を開く。

LINEの通知ゼロ。

公式ラインを含めて良いならあるぜ。

着信ゼロ。メッセージゼロ。

友達はいない。正確に言えば、施設に一緒にいた奴らとは連絡が途絶えた。向こうも忙しいんだろう。俺みたいな負のオーラ出してる奴と繋がってても意味ないし。

今日の予定は…ハローワーク。

3日前にコンビニのバイトをクビになった。理由は「無断欠勤」。いや、行こうとしたんだ。でも朝起きれなくて。目覚ましが鳴っても体が動かなくて。

店長に電話したら「もういいよ」って言われた。優しい声だった。それがまた辛かったなぁ。

着る服を選ぶ。選ぶって言っても、持ってるのはTシャツ3枚とジーパン1本だけだから、選択肢はない。全部施設のバザーでもらったやつ。

鏡を見る。目の下にクマ。髪はボサボサ。歯を磨く。歯ブラシの毛先が全方向に広がってる。新しいの買わなきゃ。でも100円ショップに行く気力が出ない。

部屋を出る。鍵をかける。廊下には誰もいない。隣の部屋からはテレビの音が聞こえる。楽しそうな笑い声。

俺には関係ない音だ。

アパートを出て、駅に向かう。歩いて20分。電車賃がもったいないから、いつも歩く。

途中、公園がある。ベンチに座ってる老人が新聞を読んでる。犬の散歩をしてる主婦。ジョギングしてるサラリーマン。

みんな「普通」に生きてる。

ハローワークに着く。受付で番号札を取る。78番。待合スペースは人でいっぱい。でも、みんな黙ってる。

検索端末で仕事を探す。「高卒以上」「要普通免許」「経験者優遇」。

俺に当てはまる条件、ほぼゼロ。

唯一あったのは「未経験OK・学歴不問・深夜清掃スタッフ」。時給950円。週5勤務。

まあ、これでいいか。

応募ボタンを押す。「後日担当者から連絡します」の文字。

連絡、来るかな。

ハローワークを出る。時刻は10時半。昼まで時間がある。でも行く場所がない。

図書館に行く。無料で時間が潰せるから。エアコンも効いてる。

適当に本を手に取る。『人生を変える7つの習慣』。

ページを開くけど、文字が頭に入ってこない。3ページ目で諦めて、本を閉じる。

そのまま椅子に座って、ぼーっとする。

周りを見ると、勉強してる学生、新聞読んでる老人、絵本読んでる親子。

みんな「何か」がある。

俺には何もない。伽藍堂。

午後2時、図書館を出る。腹が減った。でも金がない。

コンビニに入る。見切り品コーナーを漁る。パンが100円。買う。

レジで店員が「温めますか?」って定型句で聞いてきやがる。

「いいです」

温めても冷たくても、味は変わらない気がするからな。

アパートに帰る。部屋に入る。

パンを食べる。水道水で流し込む。

それから、布団に横になる。

天井を見る。染みの形が、何かに見える。でも何だかわからない。

携帯を開く。通知ゼロ。

そうだよな。誰も俺に用はない。

窓の外から、子供の笑い声が聞こえる。

俺も昔は笑ってたのかな。覚えてない。

目を閉じる。

明日も多分、こんな日になる。

明後日も。

それでも、とりあえず生きてる。

生きてるだけで、まあ、いいか。

中学時代の自分をイメージして書きました。

あの頃は非常に無気力で人生に絶望していたんですよ。

ガキの分際でね。

笑っちゃいますよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ