第8話 欲望
「クソッ!あのアマ調子に乗りやがって!」
豪雪は近くにあった木を殴りつける。
『全部あの女のせいだ。
あの女のせいで俺の人生は滅茶苦茶だ。
アイツは俺の人生の不純物だ。』
豪雪の生まれた村はには昔から言い伝えられている話がある。
その昔、雪女ととある男が恋に落ち家庭を築いた。
それが豪雪や涼香達一族のご先祖様。
故に髪が白く生まれてきた女児はもれなく当主として育てられ一族の為また白髪の女児を産み一族皆で育てるのが雪女の一族に生まれた者の責務だ。
しかし涼香の髪は黒かった。
故に涼香とその母親は一族内でもカーストは最下位。
皆していい様に二人を扱き使い、時にはサンドバッグにしていた。
そうしていたら涼香の母親は自ら命を絶った。
その後直ぐに涼香の叔父である氷高様が当主の代理として空いた席に座ったのだ。
それからだろう更に涼香を一族皆で虐める様になった。
そして氷高様に娘、小雪が生まれてすぐ涼香は屋敷から姿を眩ませた。
これか向けられるであろう今まで以上の屈辱から涼香は逃げ出したのだ。
その頃の一族は皆、涼香を心配するどころか穀潰しが減ったとさえ喜んでいた。
小雪が無能力者と発覚するまでは。
あの涼香でさえ一才になる前には扱えた雪女の力が小雪には全く使えなかったのだ。
そして一族内は正統後継者を巡り小雪派と涼香派で完全に敵対することとなった。
しかしその張本人である涼香は小雪の生まれたその日に屋敷から姿を眩ましたままだった。
「全く何処までも自分勝手な奴らだ……!
全部尻拭いをするのは番わされる俺だと言うのに!!」
だがこのまま手ぶらでノコノコと村へ帰るわけにもいかない。
豪雪は小雪派の者達から預かったとある呪具を取り出す。
「今に見ていろよ……!」
それは周辺の村に伝わる呪石だった。
小雪派の人間はいつしか涼香の力を奪う事を考えはじめた。
そしてこの呪石は大陸では別名【悪魔の石】と言われている。
この呪石を使えば石が吸収した者の能力を使用者が扱えるという代物だ。
そんな石にあの女……涼香の能力を取り込むのだ。
方法は至って簡単。
「涼香アイツの魔核に魔力を込めた呪石コレを突き立てればいいだけだ。」
待っていろお前の死はもうすぐだ。
***
豪雪を追い返した後、私はユウに手を引かれ寝室に連れて行かれた。
ユウは豪雪との件で完全に火がついたのだろう。
その勢いは収まることを知らず、まるで枷の外れた獣の如く、私の身体を隅々まで暴き、燻っていた欲望を吐き出す様に私にぶつけてきた。
私も頭では駄目だと分かっていながらも抵抗できなかった。
結局あの晩だけと割り切っていた筈の関係は欲望に負け二回目を迎えてしまった。
もう何度目かもわからない程まぐわい子種を腹の中に注がれる。
駄目なことだと判っている筈なのに止められない。
罪と言う名の背徳感は枷になるどころか私の快楽を増長させる為のスパイスになってしまっている。
だがユウにとっての私もそうなのだろう。
逃げ出したとはいえ一応私にも婚約者はいるのだ。
ふと気付けば外は少しずつ明るくなってきており、時計を見れば朝の五時を指している。
「……ではそろそろ私は自室に戻ります。」
私は服に着替え仕事前の湯浴みに向かう為準備をしようと起き上がる。
だが、ベッドを抜けようとすれば唐突に私の腰にユウが抱きついてくる。
「……何処にも行ってくれるな。」
「無茶を言わないでください私にも仕事があるのです。」
ユウはまるで子供の様に拗ねている。
私だってもっとユウの側に居たい。
だが現実ずっとこのままではいけないのだ。
こんなどうしようもない私達にも朝が来てしまうのだから。
私は自分を奮い立たせ寝室を出た。
to be continued……




