第17話魔の本能
久しぶりのユウの登場回です。
ここから最終回までスパートかけていきます。
一面真っ暗な景色
どうやら私はまた夢を見ているらしい
前方下に目を向ければ、いつも私の前に現れる白髪の少女が立っていた
「久しぶりだね。」
「今回はまた何か用でも?」
私はストレートに少女に問うた
「最近アナタ不眠気味だし念じても夢を見てくれない。
だから直接伝えに来た。」
そういえばあの一件以来、私は安心してまともな睡眠をとれていない
「今向かってる国の奥地にある山脈を目指して。」
「そこには何かあるのか?」
私は少女に再び問う
「貴方が今しようとしている事に比べれば全然勝算はある。」
そう少女は私の問いには答えずそう返す
そして少女は暗闇に姿を消した
本当に不思議な少女だ
最近になって気付いたのだが、予知夢を見たり夢にあの少女が現れる時は決まって予言通りの出来事が未来に起きる
そしてその出来事は改変する事が可能らしい
私にもいくつか思い当たる節があった
豪雪の時の予知夢もそうだ
分岐となるやり取りで夢と相違があれば未来が変化したのだ
私はますます夢に出てくる少女の正体が気になってしまった
***
私は目が覚めた。
どうやら馬車の荷台で眠りこけていたらしい。
「……そろそろ降りる準備をせねば。」
私は大きく欠伸をした後、馬車を降りるべく荷物をまとめる。
華都国で起こした事件の噂が大陸の商人伝で耳に入る頃、私は大陸東の国ファフコールに来ていた。
東の国ファフコール。
険しい山脈地帯の多い国で森や洞窟には魔物が多く棲息している。
そしてそこかしこにダンジョンが存在する為、冒険者が多く集まる国として有名だ。
そんな住みにくそうな国に思えるが鉱物資源や燃料、魔石や魔物の魔核が多く取れる為、肉体労働者も多く時にギルド経由で冒険者と協力して仕事をこなす事も珍しくないらしい。
そしてファフコールはかつて、大陸に存在したアウルム帝国の始まりの地としても有名なのだ。
今でも国の奥地にある山脈にはアウルム帝国時代からのシンボルである黄金のドラゴンが眠っているとの噂らしい。
私がこの地に来た理由はいくつかある。
一つは私の正体を巻く為だ。
あれだけ華都国の村であの様な騒ぎを起こしたのだ。
そんな私が見つかってしまうのは時間の問題だろう。
そしてもう一つがお金の問題だった。
長い旅で貯めていたとはいえ、路銀も尽きそうだ。
なので稼ぐのが困難になる前に蓄えを作ろうと思い、まずは流浪の身でも稼げる方法としてダンジョンの探索を思いついたのだ。
しかし夢であの少女の発言が気になる。
(今向かってる国の奥地にある山脈を目指して
貴方が今しようとしている事に比べれば全然勝算はある)
私は本来この国で冒険者として稼ごうと思っていたがそれを取りやめる事にした。
私はファフコールの首都オールに到着した後、次の旅立ちの為に買い出しに出かけた。
恐らく山脈の奥地という事は暫くの間帰ってこれない可能性が高い。
とりあえずは余分過ぎるくらいの携帯食と保存食を買い込んだ。
そしてこの国の露店ではどの国でも見た事も無い様な魅力的な品が多く揃えられていた。
主に冒険者向けのアイテムばかりだが、ダンジョン攻略で荷物の嵩張らないマジックバックに傷や状態異常を治癒するポーションなど様々な便利アイテムが数多く取り揃えられていた。
私は少々値は張るがそれらのアイテムもいくつか購入した。
「両手が軽いのは楽だ。」
私はマジックバックの利便性に感動してしまう。
今まで大きなトランクを抱えて旅をしていた身としてはこういうアイテムに早く出会っていたかったとつくづく思う。
そしてその日は山脈の奥地に潜る為の旅支度と情報収集で一日が終わった。
その晩私は久々の宿で旅の疲れを癒した。
「風呂に入るのも久々だったな。」
最近は水辺で水浴びするかタオルで体を拭くだけで済ませていたのでとてもサッパリとした気分だ。
風呂から上がった後、私はベッドに転がり仰向けになる。
そしてふと自分の腹に目が行く。
最近は体調を崩す事は少なくなってきた。
そして時折私の腹の中を動く何かがいるのを感じることがある。
だが私の腹に本当に子供が居るのなら、そろそろ時期を考えても腹が出てきてもおかしくないはずだ。
しかし私の腹は想像していたよりも大きくはならなかった。
薄いままの腹で中に居る我が子が無事に成長できているか心配ではあったが今しがた私の腹を元気よく蹴りあげてくれたので問題無さそうだ。
私は久々のベッドで横になっているうちに安心感と疲労からすぐに眠りについた。
***
翌日、私は例の山脈へと向かった。
山脈の途中まで馬車で送ってもらい途中から自身の歩みで進んで行く。
噂ではこの山脈の一番奥の奥の岩山に住んでいるとの事だった。
途中で小休憩を取りながら山脈へと足を進めていく。
山脈の途中で何種類かの魔物にも遭遇した。
そいつらはセンチュラルでは見かけない上位種ばかりだった。
「流石、魔物とダンジョンの国なだけはある。」
大概は私を見れば逃げてしまうが、稀に襲いかかってくる勇敢な魔物もいた。
しかし私は襲いかかってくる奴らを全て仕留める。
中には一匹でも人里に出れば街が滅びると言われているワイバーンなんかも居た気がする。
できればこれから長い旅路になるのだ、食事は現地調達できるならしておきたい。
私は狩った魔物の魔核を取り出してマジックバックに収納していく。
そして私は食べられそうな魔物の部位を解体して肉のブロックにして同様に収納していく。
『今晩はこの肉をいただく事にしよう。』
その晩私はちょうど良さそうな平地に野営をする事にした。
久しぶりの野営だ。
私がユウと出会った晩の事を思い出す。
「あの時は確か近くの洞窟で野営したんだっけ。」
ワイバーンの肉は特有の臭みは少しあったが、気になる程でもなかったので塩と香辛料で誤魔化ししっかり加熱しながら食していく。
そして今回私は魔核も同様に下処理を行ってみる事にした。
ずっと魔核はそのまま食す事が多かったが、今回は加熱し味付けをしてからソレを口に運ぶ。
『……悪くないな。』
口に広がるのは生特有の臭みのない肉の味。
だが内包されている魔力は他の部位に比べて格段に濃度が高い。
私はそれを味わい食した。
人らしい食事をしたのはいつぶりだろう。
最近は保存食や狩った獲物をそのまま食すことの方が増えてきている。
「なんだか獣みたいだな。」
最近の私は何処かおかしい。
時折無差別に命を狩り尽くし魔核を貪り喰らいたいという衝動に駆られる事が増えた。
私はアレが表に出てきてしまってはコントロールができなくなってしまう。
今は自分の意思で自制できているが、気を抜けば華都国の村の時の様になってしまうだろう。
「……早く寝てしまおう。」
私は食事も早々に目を瞑った。
今は一人だから熟睡はできないが、こうして目を暫く閉じているだけで疲れは幾分かマシになる。
***
暫く経った頃だろうか。
何かが私を呼んでいる様な気がした。
『—————』
「………」
声はノイズがかかった様に途切れ途切れで聞き取れない。
『——キて——』
「………」
徐々にその声は私に向かって近づいてくる。
『———ね
ェ———!』
声は大きく私の耳元直ぐで語りかけてきた。
その瞬間私の背筋に悪寒が走る。
私はいきなりの事に驚き飛び起きた。
「なんだ……!?」
だが側を振り返っても人影の一つもない。
「……気のせいか」
『やっと起きてくれた——』
「!?」
どうやらこの声は外部からではなく私の中で響いていた様だった。
「……君は誰なんだ?」
『何を言っているの?
ワタシは涼香よ。』
私は突然の出来事で頭がこんがらがる。
「……何を言ってるんだ……?」
『あらあら、じゃあ涼香の中にある"魔の本能"って言えばわかるかしら?』
私はこれまでの無意識の行動が全て魔の本能の仕業である事を悟った。
『だから
これカらも
繧医m縺励¥縺ュ
涼香 ——』
to be continued……




