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風と羽の商隊譚  作者: くうねん。
第1章
5/7

第4羽 『 塔に入る条件(後編)』

第5章:塔に入る条件(後編)


塔の前に広がる、幻の空間。


4羽は、それぞれ“自分の心の中”を見せられていた。



アカツキの幻


白い舞台。

アカツキが、誰もいない客席に向かって歌っている。


♪「風にのせるよ、オレのうた〜…」♪


でも、その声はどこにも届かない。


「……なんで、聞こえないの……?」


彼の目に映るのは、背中を向けて消えていく“誰か”。

パーカーの中の顔が、少しゆがむ。


「歌えば、誰かとつながれるって……思ってたのに」


ふと、客席の一番奥に、クロメンが座っている。


静かに、羽を叩いて拍手する。

アカツキの目が、少し潤んだ。



クロメンの幻


無音の世界。


ただ、白い空間にぽつんと“黒い自分”が立っている。


「……誰も、近づかなかった」


「変わってる」「怖い」「しゃべらない」


小さな頃に聞こえた“声”が空間に反響する。


でも──

誰かが近づいてくる足音がする。


それは、あの赤いパーカーの鳥だった。


「おーい!ここ、空いてる?」


クロメンは初めて、自分の“羽”を差し出した。

その日から、世界は少し、うるさくなった。


でも、それが──

ちょっとだけ、あったかかった。



ジールの幻


古い書庫。

天井まで続く本棚。そのすべてを読み切っても、空は見えない。


「知識で、空が測れるなら……」


ジールは、そう信じていた。


けれど、ふと目の端に「光」が差す。


そこには、マントを広げて、空を見上げるレコルの姿。


彼は笑っていた。


「本じゃわかんねえこと、あるよな!」


その笑顔に、ほんの少し、心が動いた。



レコルの幻


あの時の“港の空”。


「見せたい空」があった。でも、「見せたかった誰か」の顔が、どうしても思い出せない。


「……思い出さなきゃ、登っちゃいけない気がする」


でも、そのときジールの声が聞こえた。


「思い出せなくても、行くべきときがある。お前は、前にしか飛べないんだろ?」


レコルの目に、光が戻る。



──そして。


幻がすべて収束したとき、塔の扉が音もなく、開いた。


> 「よかろう。4羽とも、“本音”を携えている。 特例により、通過を許可する」




ジール:「……え? 特例って何だよ」


アカツキ:「うわーん!恥ずかしいとこ見せたー!!」


レコル:「まあ、いいじゃん。旅は道連れ、空も分け合おうぜ」


クロメン:「……やかましいぞ」


4羽は、ついにグラスの塔の内部へと歩を踏み入れた。


物語は、空の記憶を越えて、

今、"本当の空"に触れようとしていた第5章:塔に入る条件(後編)


塔の前に広がる、幻の空間。


4羽は、それぞれ“自分の心の中”を見せられていた。



アカツキの幻


白い舞台。

アカツキが、誰もいない客席に向かって歌っている。


♪「風にのせるよ、オレのうた〜…」♪


でも、その声はどこにも届かない。


「……なんで、聞こえないの……?」


彼の目に映るのは、背中を向けて消えていく“誰か”。

パーカーの中の顔が、少しゆがむ。


「歌えば、誰かとつながれるって……思ってたのに」


ふと、客席の一番奥に、クロメンが座っている。


静かに、羽を叩いて拍手する。

アカツキの目が、少し潤んだ。



クロメンの幻


無音の世界。


ただ、白い空間にぽつんと“黒い自分”が立っている。


「……誰も、近づかなかった」


「変わってる」「怖い」「しゃべらない」


小さな頃に聞こえた“声”が空間に反響する。


でも──

誰かが近づいてくる足音がする。


それは、あの赤いパーカーの鳥だった。


「おーい!ここ、空いてる?」


クロメンは初めて、自分の“羽”を差し出した。

その日から、世界は少し、うるさくなった。


でも、それが──

ちょっとだけ、あったかかった。



ジールの幻


古い書庫。

天井まで続く本棚。そのすべてを読み切っても、空は見えない。


「知識で、空が測れるなら……」


ジールは、そう信じていた。


けれど、ふと目の端に「光」が差す。


そこには、マントを広げて、空を見上げるレコルの姿。


彼は笑っていた。


「本じゃわかんねえこと、あるよな!」


その笑顔に、ほんの少し、心が動いた。



レコルの幻


あの時の“港の空”。


「見せたい空」があった。でも、「見せたかった誰か」の顔が、どうしても思い出せない。


「……思い出さなきゃ、登っちゃいけない気がする」


でも、そのときジールの声が聞こえた。


「思い出せなくても、行くべきときがある。お前は、前にしか飛べないんだろ?」


レコルの目に、光が戻る。



──そして。


幻がすべて収束したとき、塔の扉が音もなく、開いた。


> 「よかろう。4羽とも、“本音”を携えている。 特例により、通過を許可する」




ジール:「……え? 特例って何だよ」


アカツキ:「うわーん!恥ずかしいとこ見せたー!!」


レコル:「まあ、いいじゃん。旅は道連れ、空も分け合おうぜ」


クロメン:「……やかましいぞ」


4羽は、ついにグラスの塔の内部へと歩を踏み入れた。


物語は、空の記憶を越えて、

今、"本当の空"に触れようとしていた

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