第4羽 『 塔に入る条件(後編)』
第5章:塔に入る条件(後編)
塔の前に広がる、幻の空間。
4羽は、それぞれ“自分の心の中”を見せられていた。
—
アカツキの幻
白い舞台。
アカツキが、誰もいない客席に向かって歌っている。
♪「風にのせるよ、オレのうた〜…」♪
でも、その声はどこにも届かない。
「……なんで、聞こえないの……?」
彼の目に映るのは、背中を向けて消えていく“誰か”。
パーカーの中の顔が、少しゆがむ。
「歌えば、誰かとつながれるって……思ってたのに」
ふと、客席の一番奥に、クロメンが座っている。
静かに、羽を叩いて拍手する。
アカツキの目が、少し潤んだ。
—
クロメンの幻
無音の世界。
ただ、白い空間にぽつんと“黒い自分”が立っている。
「……誰も、近づかなかった」
「変わってる」「怖い」「しゃべらない」
小さな頃に聞こえた“声”が空間に反響する。
でも──
誰かが近づいてくる足音がする。
それは、あの赤いパーカーの鳥だった。
「おーい!ここ、空いてる?」
クロメンは初めて、自分の“羽”を差し出した。
その日から、世界は少し、うるさくなった。
でも、それが──
ちょっとだけ、あったかかった。
—
ジールの幻
古い書庫。
天井まで続く本棚。そのすべてを読み切っても、空は見えない。
「知識で、空が測れるなら……」
ジールは、そう信じていた。
けれど、ふと目の端に「光」が差す。
そこには、マントを広げて、空を見上げるレコルの姿。
彼は笑っていた。
「本じゃわかんねえこと、あるよな!」
その笑顔に、ほんの少し、心が動いた。
—
レコルの幻
あの時の“港の空”。
「見せたい空」があった。でも、「見せたかった誰か」の顔が、どうしても思い出せない。
「……思い出さなきゃ、登っちゃいけない気がする」
でも、そのときジールの声が聞こえた。
「思い出せなくても、行くべきときがある。お前は、前にしか飛べないんだろ?」
レコルの目に、光が戻る。
—
──そして。
幻がすべて収束したとき、塔の扉が音もなく、開いた。
> 「よかろう。4羽とも、“本音”を携えている。 特例により、通過を許可する」
ジール:「……え? 特例って何だよ」
アカツキ:「うわーん!恥ずかしいとこ見せたー!!」
レコル:「まあ、いいじゃん。旅は道連れ、空も分け合おうぜ」
クロメン:「……やかましいぞ」
4羽は、ついにグラスの塔の内部へと歩を踏み入れた。
物語は、空の記憶を越えて、
今、"本当の空"に触れようとしていた第5章:塔に入る条件(後編)
塔の前に広がる、幻の空間。
4羽は、それぞれ“自分の心の中”を見せられていた。
—
アカツキの幻
白い舞台。
アカツキが、誰もいない客席に向かって歌っている。
♪「風にのせるよ、オレのうた〜…」♪
でも、その声はどこにも届かない。
「……なんで、聞こえないの……?」
彼の目に映るのは、背中を向けて消えていく“誰か”。
パーカーの中の顔が、少しゆがむ。
「歌えば、誰かとつながれるって……思ってたのに」
ふと、客席の一番奥に、クロメンが座っている。
静かに、羽を叩いて拍手する。
アカツキの目が、少し潤んだ。
—
クロメンの幻
無音の世界。
ただ、白い空間にぽつんと“黒い自分”が立っている。
「……誰も、近づかなかった」
「変わってる」「怖い」「しゃべらない」
小さな頃に聞こえた“声”が空間に反響する。
でも──
誰かが近づいてくる足音がする。
それは、あの赤いパーカーの鳥だった。
「おーい!ここ、空いてる?」
クロメンは初めて、自分の“羽”を差し出した。
その日から、世界は少し、うるさくなった。
でも、それが──
ちょっとだけ、あったかかった。
—
ジールの幻
古い書庫。
天井まで続く本棚。そのすべてを読み切っても、空は見えない。
「知識で、空が測れるなら……」
ジールは、そう信じていた。
けれど、ふと目の端に「光」が差す。
そこには、マントを広げて、空を見上げるレコルの姿。
彼は笑っていた。
「本じゃわかんねえこと、あるよな!」
その笑顔に、ほんの少し、心が動いた。
—
レコルの幻
あの時の“港の空”。
「見せたい空」があった。でも、「見せたかった誰か」の顔が、どうしても思い出せない。
「……思い出さなきゃ、登っちゃいけない気がする」
でも、そのときジールの声が聞こえた。
「思い出せなくても、行くべきときがある。お前は、前にしか飛べないんだろ?」
レコルの目に、光が戻る。
—
──そして。
幻がすべて収束したとき、塔の扉が音もなく、開いた。
> 「よかろう。4羽とも、“本音”を携えている。 特例により、通過を許可する」
ジール:「……え? 特例って何だよ」
アカツキ:「うわーん!恥ずかしいとこ見せたー!!」
レコル:「まあ、いいじゃん。旅は道連れ、空も分け合おうぜ」
クロメン:「……やかましいぞ」
4羽は、ついにグラスの塔の内部へと歩を踏み入れた。
物語は、空の記憶を越えて、
今、"本当の空"に触れようとしていた




