ホワイトアイズ王家の一日
いま、ルーカスお兄様を観察しているの。クリスもばれちゃだめよ!
お兄様が遊んでくれない理由を突き止めるんだから!
しぃー。お兄様が見えなくなったわ。追いかけるわよ!!
侍女ニナ(エミル様、どこにいらっしゃるのですかー!!)
「エミル様、いなくなっていることばれてますけどいいんですか?」
「お兄様にばれていなかったら大丈夫よ。」
「ルーカス様にはばれていると思うんですけど…」
エミル様に捕まったのは自分だからしょうがない。後で一緒に怒られるかと内心で考えているとルーカス王子様の部屋の前で王子補佐のヘンドリックさんが待ち構えていた。
「エミル様、ルーカス様が中でお待ちですよ。お茶を準備しております。どうぞお入りください。」
ヘンドリックさんに案内され中に入るとルーカス様がお茶を飲んで、僕たちを待っていた。
エミル様が席に着くと、
「やあ、エミル。今日は楽しかったかい。今日はスーザンと会う日なんだけど、予定外の怪獣の動きがあってね。ニナが大変そうだよ。」
「ひどいわ、お兄様。怪獣だなんて。ニナにはばれてないから大丈夫よ。それよりもスーザンお姉さまが今日来られるの!!私も会いたいわ!!」
(エミル様、ニナさんにバリバリばれてますよ!大丈夫じゃないって。)
「ブルスレカ公爵家から3時ごろに来ると連絡があったから、ちょうどエミルの授業が終わったころに来るね。でも、スーザンと大切な婚約者としての時間を割くのは嬉しくないねぇ。エミル、授業終わりにドレス着替えてから来なよ。」
(スーザン様は1時に来られる予定では…。ヘンドリックさんをみると頷いた。予定は変わっていない。エミル様、頑張ってください!)
「お兄様。着替えに何分かかるか知ってらっしゃるの?30分かかるのよ!!ニナたちに頑張ってもらってよ。」
「でもスーザンの前で作法きちんとしたいだろう。ならその動きやすい格好のワンピースじゃなくてドレスを着ないと。」
(さすが、エミル様の兄上。エミル様を分かってらっしゃる。)
「お兄様、いいことを言うわね。お姉さまに褒めてもらう機会だわ。
でも授業後からじゃなくて今着替えるわ!!お兄様、驚きなさい。すぐに来るんだから!
3時ぴったりについてお兄様と一緒に出迎えるわ。クリス、ニナを捕まえに行くわよ。」
部屋を出ていくエミルとクリスの姿を見て
「僕の妹は簡単すぎやしないかい、ヘンドリー」
「ルーカス様、焚きつけたのはあなた様でしょう。それに、ルーカス様。
気づいてないのかもしれませんけど、お二人は似てらっしゃいますよ。
エーテル様に同じことされていたではないですか。」
「かわいいじゃないか。エーテル姉様も同じ気持ちだったのな。
でも、姉様はからかうのが好きだからなあ。
クリスも苦労性だな。労わってやれよ。いつも振り回されているんだから。」
「今はあなたが振り回していますが…。クリスはよく気が回りますからね。
ルーカス様のいつもの姿に憧れているようですよ。その姿になったらどうです。
スーザン様が来るまでに午前の業務は終わらせて下さいね。」
「そうなのか。僕の背中に憧れてくれてるんだね。もっと可愛がることにしよう!」
「あまりからかいすぎないでくださいよ。」
「わかったよ。始めるか。この城壁の損害による資料は・・・・・・」