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SIDE:OTHERS 原初の魔物

 エルザが出陣した後の戦場は、瞬く間に形勢を盛り返していた。

 一刀の元に切り伏せられ、あるいは鍛え抜かれた腕に叩き伏せられ、操られた憐れな魔物たちは次々と葬られていく。


 エルザにとってほとんどの魔物は脅威とはならない。


 それは群れを成して襲い来る狂狼(ハティ)も、類まれな速度と瞬発力を誇る殺人兎(ボーパルバニー)も然りである。如何なる魔物も、幼年からの勉学と傭兵としての十年の経験に裏打ちされた彼を追い詰めるには至らない。


 まさしく人間台風。慣れぬ武装を扱っているなどと誰が思うだろう。

 ただの一度も止まることなく、エルザは魔物を葬り続けた。


「見てごらんよユーリスくん。やっぱり凄まじいね我らが団長は」


 カインが漏らしたのは、呆れてしまうほどの乾いた笑い。

 エルザとそれ以外の団員との間に、傭兵としての実力差に大きな隔たりがあることは先の一件で既知のことだ。『技』や『火力』のみに限ればカイルとミーティアも匹敵するやもしれないが、彼のような『圧倒的な暴力』ともなれば、その二人でさえ並べるべくもない。


喧伝(けんでん)とは流布される間に大抵誇張されてしまうものだけれど、団長さんに関しては一切の虚偽なしだ。見習うとかそういう次元じゃないよ、アレは」

「俺の知ったことじゃない。口ばかりじゃなく、手を動かしたらどうだ」


 ユーリスは振り下ろした剣でもって魔物の頭を切り落とした。

 かれこれ十回以上だろうか。この乱戦では交戦回数を数えることにさした意味はないが、それでも傷や疲労は蓄積していくものだ。


 しかし、先ほどからユーリスはほとんど休まずに戦い続けている。

 無論、魔物はひっきりなしに来る為、そう長く休めるわけではない。が、それでも退くところは退いて余力を残しつつ戦っているカインとは違い、そろそろ限界が来るはずだ。


「そう言う君は、少しは手を動かすのを止めて休んだらどうだい。さっきからぶっ続けで戦ってる。どうせ限界も近いんじゃないかい?」


 エルザの手前あんなことを言いはしたが、実際、カイン自身もそろそろ限界が近かった。

 が、返ってくるのは素気のない辛辣な言葉だ。


「お前と違って俺は鍛えてるんだ。舐めるな」


 ユーリスは剣を振って血を払い、再び魔物へ向かっていく。

 相変わらず気骨はあるんだよなぁ、とカインは辟易半分感心半分の溜息を吐く。


 カインとユーリスは、実力的にも立場的にも団内で最も近しい仲間だ。ユーリスの方は死んでも認めないだろうが、カインの方からは一方的に親近感を抱いている。


 英雄に対する強い願望を持つ友の背に、カインはにやりと笑みを浮かべた。

 あんなことを言われて、黙っていられるわけがないではないか。


「まあ待ちなよユーリスくん。仲間同士助け合って共に戦おうじゃないの」

「勝手にしろ」

「ではお言葉に甘えて。――背中は僕に任せろ。……くぅう! 一度は言ってみたかったんだよねぇ!」

「……。……はぁ」

「おやおや大きな溜息だ。疲れが来たかな?」

「お前、鬱陶しいんだよ」

「もうその手のことは言われ慣れたね。君も早く慣れた方が良いよ」


 軽口を叩き合う二人は、お互いの隙を潰すような形で連携を取って戦う。

 同じような光景が戦場に広がる中で、グリードは手元で麻縄を回しながら独り黙考していた。


「これだから乱戦はメンドクセェ」


 戦況全体を俯瞰し、剣を持つ者全てに対して援護射撃を行う。

 傭兵の背後に迫る狂狼(ハティ)を吹き飛ばし、魔術師を狙って滑空して来た巨鳥(ルフ)を撃墜する。城壁を抜けて街に入ろうとする魔物はけして許さず、並の傭兵らを蹴散らし自分に狙いを定めて突進してきた戦猪(ヒルディスヴィーニ)(イノシシの魔物)は貫通力を極限まで高めた一閃でもって沈めて見せた。


 自身とエルザの加勢により、既に劣勢を覆し防戦は攻勢となった。

 故に戦況は悪くない。魔物どもの群れを一掃するのは時間の問題だろう。


 しかし、長年の経験から、グリードは肌で『ソレ』を感じ取った。


 言葉にはしない。代わりに舌打ちが漏れる。

 前線にいるエルザも既に『ソレ』を感じ取っているのだろう。暴れまわるだけだった戦い方から一転、何かを警戒するように堅実に立ち回り始めている。


「クセェ。イヤな感じだ」


 一瞬の逡巡。

 エルザから聞いた『ヤタガラス』らしき黒い鳥の位置は補足済みだ。この距離からならば問題なく撃墜できる。

 撃つか。それとも待つか。


 グリードは答えを得ようと無意識にエルザの背に目をやった。

 武器は不慣れな細剣。

 この場に優れた回復術師はいない。

 仮にいたとして、衆目の前で『龍樹細胞』など使えない。


 再び『ソレ』を勘で感じ取る。


 時間がない。答えは出なかったが、グリードは結論を出した。

 麻縄を回していた腕を振り抜く。音を置き去りにした光の一閃が、空を割いてヤタガラスの頭部を薙ぎ払った。


 戦場に出ていた魔物が、一瞬、動きを止める。

 つられて傭兵や魔術師らも、動きを鈍らせた。


 その判断が吉と出るか、凶と出るか。


 グリードは視線を上げる。頭上の遥か上、雲の上まで。

 この場において二人だけが感じ取っていた『ソレ』が、姿形を伴って戦場に降り立った。





 ズゥウウウウウウウウウウウウン――――――





 地鳴りが起こり、凄まじい衝撃波が広がる。

 真正面から突風を受けたように髪や黒衣がばたばたと靡き、衝撃波と共に土煙が過ぎ去った後、ようやくグリードはその全貌を目撃した。


 鳥のような鋭い嘴、獅子のような雄々しい(たてがみ)、馬のような屈強な四肢。

 そして巨大な体躯を覆って余りある神々しい両翼。

 幻獣・グリフィス。

 龍樹(ジュナルナーガ)古代竜(エンシェントドラゴン)と並んで太古から存在する『原始の魔物』だ。


 突如として現れた巨大な幻獣に、人間は恐れ戦く。

 身が竦み、動けぬ者も多い。


 しかし、魔物の混乱具合はそんなものの比ではない。

 己よりも明らかな格上。生態系の頂点を、さらに上から小指の先で踏み躙る超越者。そんな存在を前にして、全身の細胞の一つ一つが全力で警鐘を鳴らし、この場から逃げろと叫ぶ。


 動けずにいる人間など歯牙にもかけず、蜘蛛の子散らすように散っていく魔物たち。この場に留まれば死ぬという事だけを本能で察知し、闘争心など肥溜めに捨てて脱兎が如く走り去る。


「幻獣と魔物を同時になんざ相手してらんねぇ。撃ち落して正解だったわけだ」


 己の直感が正しかったことにほくそ笑みつつ、グリードは麻縄を振り回す。

 かつて古龍と交戦し、それを打ち倒したことにあるグリードは、幻獣を前にしてもまったくもって動じることはない。


 狙うは幻獣・グリフィス。

 今、グリフィスの最も近くにいるのはエルザだ。既に走り出し、跳躍の為に地面を踏みしめている。


「【――悪徳と頽廃(たいはい)、その罪を焼くのは火と硫黄】」


 詠唱を開始する。


「【――肉欲に溺れ、水底に沈む。その名はソドム。罰は見せしめ。その名はゴモラ。戒めはなく】」


 詠唱を続けながら、麻縄から魔法の連打。グリフィスから視界を奪い、エルザの姿を捉えられないようにする。


「【――愚衆は踊る、大火の中で。穢れは(つい)ぞ払われず】」


 詠唱の佳境。グリードの立つ場所からグリフィスまでを結ぶ一直線上に、溶岩が(はし)ったような痕が刻まれる。伸びた痕は黒雲のような黒い影と形を変え、グリフィスを包み込むように覆った。

 そして、詠唱が完了する。


「【降り注ぐ裁きの地熱】」


 黒い影からぽたりと、火の雫が落ちる。

 放たれたのは、影で覆われた範囲に夥しい火と熱を降らせ続ける超大規模の殲滅魔法。粘性を持った火はまさに溶岩の雨に等しく、一度捕らわれれば灰となるまで逃げること能わず。


 だが、相手は古来より生ける幻獣。この程度では葬れまい。

 グリードは魔力供給を維持しつつ、恐怖と衝撃で呆気に取られたままの周囲へ向けて発破をかけた。


「木偶どもが、ぼーっと突っ立ってんじゃねぇ!」


 その怒声に気を取り直し、傭兵は剣を、魔術師は杖を構えなおす。

 しかし。


「グォアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!」


 それとほぼ同時に、苦悶と怒気に満ちたグリフィスの咆哮が戦場に轟き渡った。耳を塞いでいても眩暈と耳鳴りを起こすほどの衝撃。凄まじい音の波に多くの者が仰け反り体勢を崩す。耐えられなかった者は後方へと吹き飛ばされ、それは街を覆う巨大な外壁さえ例外ではなかった。


 人間側の優勢だった戦場が一転、死屍累々の荒漠と化す。

 ただの咆哮が、まるで呪砲の一撃のようだ。

 身を屈め、爪を地面に突き立てることで何とか踏ん張り堪えきったグリードは、未だ脳裏にこべりつく轟音のような耳鳴りを打ち払おうと、()えた。


「――ッっせぇんだよ、デカブツがぁあっ!」


 苛立ちを露わにした全力の振り抜き。

 集積した魔力が魔晶の許容値を越え、振り抜きと同時に砕け散る。

 それでも魔法は憂いなく放たれ、まさに光の矢と呼ぶにふさわしい速度と威力でもってグリフィスの首を一閃した。


「――――――――――――――――――――!」


 金属が奏でる不協和音のような、甲高く耳障りな悲鳴。

 それを誰よりも近くで浴びているエルザは、目を細めて顔をしかめる。

 しかし、グリフィスが大きく身じろいだ。好機。降り注ぐ火の雨を躱しながらグリフィスの身体を足場にし、機動力を生かした乱撃を敢行する。

 が。


「浅い……っ!」


 やはり重量に欠ける細剣では、巨大な体躯の分厚い肉を引き裂くことが出来ない。

 そもそも細剣を使い慣れていないという事もあるだろう。

 であれば普段の戦い方では駄目だ。攻め方を変えなくては。

 すると。


「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 グリフィスが雄叫びを上げ、駆けだした。

 エルザは咄嗟にグリフィスの横腹に剣を突き立て、振り落とされぬようしがみ付いた。

 ただの一歩が地面を抉り取り、地揺れを引き起こす。

 徐々に迫りくる幻獣の姿に、皆、立ち上がることもできぬまま恐怖に顔を引き攣らせた。


「怖気づくんじゃねぇ! 歯ぁ食いしばって立ちやがれ!」


 グリードの号令に鼓舞された一部の魔術師たちが、ありったけの威力を込めて魔法を放つ。

 放たれた魔法は数十。

 対し、有効打はグリードを含めてもたったの数発。

 それもわずかに動きを鈍らせるだけで、勢いは止まらない。


 誰かが恐怖に濡れる吐息を漏らし、誰かが震え、誰かが歯を揺らしてカチカチと鳴らした。それは伝染病のように瞬く間に波及し、誰しもが意識の濁流へと飲み込まれていく。

 しかし、それでもなおグリードの怒号は続いた。


「手ぇ休めんな、撃てるだけ撃て! 傭兵どもは身体張って止めろ!」


 その言葉に、無茶を言うなと誰もが思った。

 あれは例えるなら、天が齎す災害のようなものだ。

 吹き荒れる嵐と同じ。荒れ狂う海原と同じ。人の力では如何様にも出来ぬ災厄そのもの。

 古代から生きるその幻獣は、まさしく天変地異と呼ぶにふさわしい存在だ。

 だが、ただ一人だけ、その無茶を通そうとする者が居た。


「ちょ、ユーリスくん! 無茶だ!」


 カインの悲鳴にも似た声。

 剣を地面に突き立てて咆哮を凌いでいたユーリスは、単身、グリフィスに向かって駆けだした。そのまま接近し、タイミングを見計らうと、地面を踏みしめた瞬間の前足に剣の穂先を突き立てる。


 が、健闘も空しく、前進の勢いに揺すられて易々と弾き飛ばされる。

 しかしユーリスはすぐに立ち上がり、短刀を抜いて再び突貫した。


「うぉおおおおおおおおおおっ!」


 勇猛。あるいは蛮勇。

 万に一つも勝算などない、賭けにも満たない犬死特攻。

 誰もがそう思った中で、しかし、その勇気と行動をグリードは高く評価した。


「はっ、ツラに似合わず骨のある奴じゃねぇか!」


 グリードは殊更露悪的に、周囲でしりもちをついて震える者らへ言葉を投げた。


「見えてんだろ腰抜けども! あれほどの気概すらねぇ奴ぁ、今すぐ杖も剣も捨てて壁の中に逃げ帰りな! そんで一生涯、逃げ出した己を恥じ、他者には軽蔑されながら惨めに生きて死んでゆけ!」


 謂れのない、あまりにも侮辱的な言葉に皆、怒りを覚える。

 しかしその怒りが、グリードに向けられることはない。


 触発され、鼓舞され、傭兵や魔術師たちが迎え撃とうと駆けだした。

 剣を掲げ、杖を掲げ、槍を掲げ、戦斧を掲げ、戦槌を掲げ、幻獣を押し留めんと気勢を上げる。


 グリードは『傭兵』というものの扱い方を知っている。


 傭兵は端的に言えば、魔物と戦い、報酬を得る仕事だ。

 しかし、命を懸ける割に、一部の名を馳せた団に所属していなければそれほど高給な仕事というわけではない。自警団や軍という似た役割で待遇や給料が優れている類似職もいくつかある。


 ではなぜ彼らが傭兵であり続けるか。

 それはけして、困っている誰かを助ける為ではない。グリードの数少ない友人は本気でそう思っているだろうが、これはまったくの否である。


 人間とは社会性を持つ群れを育む種でありながら、常に己の為だけに生きている『個』でもある。とりわけ他の動物と比べて発達した知能は『承認欲求』などと言う強烈な欲望までをも生んだ。


 その『承認欲求』こそが、彼らを『傭兵』足らしめているものの正体だ。

 誰かに認められたい。

 誰かに褒められたい。

 誰かに必要とされたい。

 そういった、人間誰しもが持つ欲を過剰に欲する者たちが傭兵となり、戦果を上げ、讃えられることで自尊心を満たすのだ。


 だからグリードは逃げ出す口実を与えない。

 恐れをなして逃げて助かって、後になって「あれは逃げるべき場面だった」などと慰め合うことなど許さない。

 今ここで逃げるのは、賞賛に値しない惨めな敗者だけである。

 傷の舐め合いなど、死んだ後にでも墓場ですればいい、と。


「くっ――! と、まれっ……!」


 そして脇腹からよじ登るようにしてグリフィスの背中に上ったエルザは、剣を逆手に持ち、その穂先を何度も何度も首の付け根に突き立てた。


 たとえひとつひとつの攻撃は些事であろうと、何十何百と重なればそれは重撃と変わらない。グリフィスは足を止めると、身体を大きく揺らし、集る小蠅を振り払おうと暴れはじめた。


 首を振り、翼を羽ばたかせ、地団太を踏む。

 ひとつひとつの攻撃が強烈。いや、グリフィスにとっては攻撃ですらないのだろう。ただの一挙手一投足が、地を揺らし、風を起こし、致命を振りまく暴虐の権化なのだ。


 向かっては蹴散らされる傭兵。絶え間なく降り注ぐ魔法。

 エルザは知識を振り絞って考えた。


 見た目の特徴からしてグリフィスを分類するならば肉食の鳥類だろう。全長三十mを越える体躯。翼を完全に広げればさらに数倍。これだけの巨体を活動させるには相当な栄養と、高効率な酸素の循環が必要なはずだ。


 となれば、狙うべきは心臓ではなく肺や気嚢(きのう)

 基本的に肺や気嚢は他の臓器よりも背骨側にある。全てとは言わずともいくつかあるはずのソレらを傷つけることが出来れば、相当な深手を負わせることが出来る筈だ。致命傷を狙って心臓を刺すよりも幾分か狙いやすい。


 エルザは手持ちの細剣を突き刺し、背中から身を乗り出してあらん限りの声で叫んだ。


「誰か大物を寄こせ!」


 数瞬の後、エルザが意図を言う間もなく一人の傭兵が大きな戦斧を投げる。

 それを掴み取り、エルザは細剣でつけた傷に戦斧を渾身の力でもって振り下ろした。


 何度も何度も繰り返し振り下ろすと、グリフィスが甲高く嘶いた。

 確かな手応えを感じるが、しかし、分厚過ぎる肉を断ち切るには至らない。


 すると突如、グリフィスが四肢を踏ん張り、大きく前足を蹴り上げた。

 さながら昂った馬のように上体を起こし、背中に乗っている殊更鬱陶しい小蠅を振り払おうとする。


「うおっ……!」


 突然の衝撃にエルザの身体は撃たれたように跳ね上がり、大きく宙を舞う。

 そのわずかな間に、グリフィスは身体を捩り、群がる傭兵を薙ぎ払いながら後退し、寄る辺なく落下するエルザを視界に捉えた。


「まずっ――」


 エルザの顔に焦燥が滲む。

 次の瞬間、グリフィスの体内で臨界へと至った膨大な魔力が、エルザを飲み込んだ。それだけではない。彼を飲み込んだ魔力の塊は残ったキヴァニアの外壁をまるごと粉砕し、一瞬で街の中央部にまで及んだ。


「エルザァ!!」

「団長さんっ!」


 グリードとカインの叫び声が遠くで重なる。

 しかしその叫びすらかき消すように、凄まじい嵐が巻き起こった。

 今し方放たれた魔力の塊が大気に穴を開け、一時的にこの場に真空を生み出したのだ。その結果、真空を埋めようと押し寄せた膨大な量の空気が、台風のように荒れ狂った。


 ただの咆哮とは比にならない圧倒的な『力』。


 上がった気勢など霧消した。

 止み切る事など無い嵐の中、一人として立っている者はおらず、皆が地に伏し、もはや立ち上がる気力さえない。


 幻獣・グリフィス。

 古来より数え切れぬほどの生存競争を勝ち抜いてきた原初の魔物の前には、何人たりとも立ちはだかる事などできない。

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